他国と比べ歯のケアにかける時間と投資意識が低い日本
サンスター株式会社は、6か国20~69歳の男女2280人を対象に、世界のオーラルケア・歯周病事情に関する調査を実施した。調査の結果、日本は調査6カ国の中でも「歯周病」という言葉に対する認知率がドイツと並び非常に高いにも関わらず、「歯のケアには時間やお金をかけたくない」と感じている人の比率が高いという結果になった。今回の調査により、日本では自分が歯周病患者の該当者及び該当する可能性があるという意識が非常に高く、また、日本ではオーラルケアのアイテムとして、ハブラシとハミガキペーストのみを使用するケースが多く、デンタルリンスや歯間ブラシなど他のアイテムの普及率の低さが顕著に現われた。
■オーラルケア・歯周病に対する意識は日本が圧倒的高さを誇るも、3人に1人がケアに消極的
「歯周病をご存知ですか」という問いに対し、オーラルケア先進国の中でも最高の97.9%が認知しているという結果となった。また、「自分が歯周病だと思うか」という問いに対し、「歯周病ではなく今後もならないと思う」と回答した人が17.1%で、2位のドイツ49.5%に対して大きく差が出た。一方で、自分自身の「歯」に対する考え方を聞いたところ、「歯のケアに時間やお金をかけたくない」と回答した人が日本は全体の30%であり、6カ国中最もケアに時間・お金をかけない国であるという結果となった。
この結果について、神戸常盤大学の野村慶雄教授は以下のように分析する。
「歯周病を含め当該対象者層には生活習慣病が増加する一方、歯周病の症状がなければ歯科医院を受診しない人が多い現状です。どのように予防あるいは治療すればよいのか、また、歯を健康な状態で残すことの意義についての情報が日本では不足していると考えられます」
■治療以外にオーラルケアにかける費用、日本はハブラシのみが多数
オーラルケアに関する商品で、最もよく買っている価格帯を聞いたところ、日本は6カ国の中でハブラシにかける費用が最も低いという結果となり、日本での購入価格帯で1本平均233円という結果になった。朝・昼・夜の各シーンで歯みがきに使用しているアイテムを聞いたところ、いずれのシーンでもハブラシ使用は95%を超えているものの、その他のアイテム使用率については他国と比べて低いという結果に。中でも、デンタルリンスやマウスウォッシュの使用率が著しく低く、また各シーンでハミガキペーストの使用率が75%を下回るのは日本だけという結果になった。
神戸常盤大学の野村慶雄教授は以下のようにコメントしている。
「歯周病の予防のためには、歯肉に接する歯面に付着するプラークを除去すること、そのためにはハブラシの毛先が歯肉に接触することが大切です。また、ハブラシだけでは完全にコントロールできないため、歯間ブラシ・タフトブラシなど補助的清掃具をもっと活用し、それでも残ってしまう細菌に対してデンタルリンスなどを併用することをお勧めします」
■歯周病を正しく理解している日本人25%、“感染”への恐怖心は各国有数の高さ
「感染症」に対する恐怖感を聞いたところ、日本は93.9%が「怖い」と回答し、他国を大きく引き離す結果となった。「歯周病は感染症だと思うか」という問いに対し、日本は「接触感染だと思う」と答えた人が25%という結果に。現在、歯周病の感染経路は思春期以降の唾液感染であると推測されており、歯周病の意識は高いものの、正しく理解している日本人は全体の1/4に留まる結果になった。1日歯みがきをしなかった人と、3回歯みがきした人との歯周病菌画像を見比べた感想を聞いたところ、「怖い」と感じた人が日本は88.1%で、歯周病菌の拡散に対する恐怖心が浮き彫りになった。
これについて、神戸常盤大学の野村慶雄教授は以下のように解説する。
「歯周病は感染症です。歯周ポケットの歯肉側は表面がただれた潰瘍になっていて、血管の開口部も存在します。ポケット内は様々な細菌の温床であるため、それらの細菌や細菌が出す病原因子は容易に血管の中に入り込み、血流に乗って離れた臓器や組織に運ばれ、時には全身疾患の発症や進展に関わることになります」(
超音波スケーラー)
今回の調査で、多くの人は重篤な感染症に対しては恐怖を覚えるものの、症状に乏しい歯周病が口腔内細菌による感染症と理解している人は必ずしも多くないことが浮き彫りとなった。また、歯周病と全身疾患との関わりに関する情報により、歯周病に対する理解度や歯周組織が健康であることの大切さを改めて考える機会となった。自分一人ではお口の現状をチェックする事はできないので、定期的に歯科医院などを受診し点検してもらうとともに、適切なアドバイスももらい日々実践することを心がけたい。(
歯科診療ユニット)
■調査方法
・調査期間:2014年9月2日~17日
・調査方法:インターネット調査(マクロミル)
・調査対象:6カ国(日本、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、イギリス、スウェーデン)20~69 歳の男女 各国 380 人
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