30歳のアマ棋士、天野貴元さんが死去。口内炎と似ている「舌がん」の初期症状とは
将棋のプロ棋士を目指していた期待のアマ棋士、天野貴元さんが27日、舌がんによる多臓器不全のため30歳という若さで亡くなりました。天野さんは96年に棋士養成機関「奨励会」に入会。16歳で三段に昇段したものの年齢制限である26歳までに四段に上がれず、2012年に奨励会を退会しました。その後、舌がんであることが発覚し、舌の大半を切除する手術を受けました。退院してからは闘病しながら棋士になる夢に挑み続けたといいます。
まだ若く、夢のあった彼の命を奪った「舌がん」とはいったいどのような病気なのでしょうか?
「舌がん」とは
舌がんは口腔がんのひとつで、舌の前方3分の2と舌下面の範囲で発生する腫瘍のことをいいます。95%以上が舌の側縁にでき、舌の中央部に発生するのはごくまれです。口のなかやその周辺組織にできるがんのことを「口腔がん」と言いますが、口腔がんは部位によって「舌がん」「歯肉がん」「口底がん」「頬粘膜がん」などと呼ばれます。そのなかで、もっとも発生率が多く、口腔がん全体の30~60%を占めるのが「舌がん」です。
舌がんの男女比は2:1と男性に多く、50歳未満のがんの発症率が4分の1を占めます。ほかの口腔がんと比べて若い年代での発症が多く、20~40代でもかかることがあるのが特徴です。なかには10代で発症したケースもあります。
「舌がん」の初期症状とは
舌がんの初期症状は口内炎と似ています。そのため、舌がんを放置したままがんが進行し、転移してしまうことがあります。主な症状は次の通りです。
・食べ物がしみる
・舌に違和感がある
・舌にしこりができる
・舌の一部が赤くなったり出血したりする
・口臭がきつくなる
ほかにも潰瘍や、舌の表面に粒状のものができ、白斑や紅斑を含むことがあります。症状が進行すると、疼痛や出血を起こす、舌の動きが悪くなってろれつが回らない、食べ物を飲み込みづらいなどの症状が出てきます。
ほかの口腔がんに比べて、早期発見の時点で転移していることが多くあります。特に顎下リンパ節や内頸静脈リンパ節に転移することが多く、肺や気管、胸膜、肝臓、骨、心臓などにも遠隔転移します。(
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「舌がん」の原因と予防法とは
舌がんの原因はまだ明らかにはなっていませんが、体質や生活習慣が関係あるのではないかといわれています。生活習慣としては、飲酒と喫煙が原因として考えられます。次のポイントに当てはまる人は舌がんになりやすい傾向があるので気を付けましょう。
□1日に煙草を10本以上吸う
□飲酒時に煙草も吸う
□飲酒すると顔がすぐ赤くなる
□強いお酒をよく飲む
□歯を磨かない・入れ歯の掃除をしない
□舌や頬の粘膜をかむ癖がある
□ビタミンや鉄分が不足している
舌がんを予防するには、口腔内の衛生を心がけることが大切です。食後には歯を磨く習慣をつくり、細菌感染や虫歯を予防する必要があります。また、飲酒や喫煙はできるだけ控え、バランスのいい食生活を送ること、そして香辛料の多く入っているものや過度に熱いもの、塩分の多い食品は避けることも舌がんを予防します。
昨年の5月には肺への転移が見つかりましたが、今年の2月、3月とアマからプロへの道を開く奨励会三段リーグ編入試験に挑戦していた天野さん。突破はならなかったもののがんと闘いながら、最期までプロを目指して挑み続けました。天野さんのご冥福をお祈りします。
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