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歯科用ハンドピースの滅菌及び注油
歯科治療は血液や唾液と接触する処置が多い事から、治療器具の消毒・滅菌が不十分だと、B型肝炎やC型肝炎、HIVなどに感染するリスクが高くなります。 すべての器具を清潔に保ち、ハンドピースなどの精密機器の滅菌、洗浄作業などを行うことは、多くの手間と費用がかかりますが、最適な治療を行う上で欠かせないものだと考えております。 一般に歯科医院の感染対策といえば、「高圧蒸気滅菌器」「超音波洗浄器」「薬液滅菌」の3つによる滅菌対策がほとんどです。簡単に消毒して後続けて使う歯科医院もあります。ハンドピースを滅菌するとなると、滅菌中に使用するハンドピースの本数を増やさなければなりません。また滅菌はハンドピース内部部品の耐久性を低下させるため、ハンドピースの寿命が短くなります。でも、器具の滅菌が不十分であれば、患者様に感染する恐れがあります。 徹底的に滅菌するのは、超音波洗浄器を使って汚染された器具から血液や有機質的な汚れが完全に除去されます。高温、高圧蒸気で滅菌を行います。MRSA,HIV,肝炎ウィルス、一般細菌、真菌、芽胞菌、結核菌など、ほとんど全ての微生物に有効で、130度熱に耐性のある器具は全てに滅菌を行っています。血液や組織の付着した器具を流水下で洗った後、消毒薬の入った超音波洗浄器にて洗浄、消毒します。 オートクレーブやガス滅菌などの完全滅菌をする前に、予備洗浄として使用します。 治療器具を洗浄した後は、専用のパックに入れて滅菌器に入れます。 感染予防のため、治療の直前に開封します。 ハンドピースの細部まで洗浄・注油ができます。 手での洗浄が難しい器具も、適切なメンテナンスを行っています。 注油時のチェックポイント 部位ごとに注油を行っていますか? エアーと水の回路にだけ注油していれば良いというわけではありません。ヘッド部分、チャック部分への注油も確実に行いましょう。 また、分解できる場合はできるだけ分解して、それぞれの部位に注油を行ってください。特にポリッシングに使用しているハンドピースは、ペーストなどがヘッド部分に入り込んでしまうこともありますので、使用後すぐの通常よりも丁寧な洗浄・注油が効果的です。
秘技!院内感染防止対策をちゃんとやってる歯科医院の見つけ方(読売滅菌報道シリーズ3/3)
読売滅菌報道シリーズの最終回です。「安全な歯科医院にかかりたい」というのはみなさん共通の願いだと思います。そこで、本日はプロ仕様の安全な歯科医院の見つけ方をお教えします。 知識は力なり! わたしは歯科医師なので、ある地区で滅菌をちゃんとやっている歯科医院を探そうと思ったら、ネットで5分も調べれば大体のことがわかります。もちろん100%ではありませんが、かなり高い確率でイケてるクリニックを見つけることができます。そして、実際に現地に足を運んで診療室に5分もいればどの程度の滅菌レベルなのかほぼ完全に把握できます。べつに自慢げにいわなくてもプロなんだから当然です。でも患者さんはプロじゃないので、本当にちゃんとやってるかどうかわかりませんよね?これは、食肉のプロが産地偽装を見抜けるのに、一般のお客さんにはちっともわからないのと同じです。プロにはプロのノウハウがある・・・たぶんね 以下2つのエントリーで歯科における院内感染防止対策の現状と問題点について書きましたので、まだの方は合わせてお読み下さい。 歯科でシビアな院内感染が起きやすい物 No.1は皆さんの嫌いなあれです 歯科治療において、院内感染が起きやすいのは歯を削る道具です。その中でも特にタービンが要注意です。タービンといえばキーンという音がするあのイヤなやつです。昨日のエントリーでタービンの仕組みをざっと見ていただきましたが、中に小さな風車が仕込まれていて、圧縮空気を風車にぶつけることで回転させています。削り終わった後、回転が止まる瞬間に周囲にある液体がタービンのヘッドの中に逆流します。それをサックバックと呼んでいます。当然血液も逆流します。をして、それを適切な処理をせず、次の患者さんに使用すると、前の患者さんの血液が次の患者さんの口の中に飛び出します。タービンを使用するときは、出血を伴うことが多いので感染の危険性が高いのです。高圧蒸気滅菌器 前の患者さんの血液を、次の患者さんの傷口に吹き掛けてしまうかも知れない これがちゃんと処理していないタービンが危険な理由です。 サックバックについてはこちらをご覧下さい。私の知り合いの歯科医師がアップしたものでかなり衝撃的。「うへー」ってなります。 多くの歯科医院では、タービン使用後アルコールに浸した綿で外側をキュキュッと拭いて次の患者さんに使いまわしています。それがどれくらい危ないことかおわかりいただけたことでしょう。ちなみに、このタービンはやや昔の型のもので、新しいタイプのには逆流防止機能がついています。「新しいのは逆流しないから滅菌しなくても大丈夫」と主張する向きもあるのですが、本当にそうでしょうか? その疑問を解消するために当院で実験してみました。逆流防止機能付きのタービンを色のついた水の中で回して、停止させます。そして、アルコールに浸した綿で表面を消毒して、再度回したところ・・・ 回し終わった後、長らくブクブク泡が立っていたと思うのですが、それが逆流防止の一つの方法です。回転が止まった瞬間にドッと逆流してしまうので、しばらくの間空気を送り続けるという作戦です。もう一つの方法は逆流防止弁の設置です。これらのおかげで、確かに逆流はしにくくなりました。(最初の動画と比べて見ればずいぶんましなのが分かります)でも、ご覧の通り全く逆流しないわけじゃないんですよね。 つまり、タービンのような複雑な構造のものは使用後ただ、滅菌器に放り込めばいいのではなく、中に逆流している物をはき出させる、しっかり洗浄する、など滅菌以外の工程も重要なんです。ただ滅菌器を買って適当にやれば良いってもんじゃなく、キチンと勉強して理屈に合った取り組みを行う必要があります。 我々は「歯科ではタービンの滅菌ができれば対策の8割は終わり」という言い方をします。一番病気を媒介しやすいタービンが滅菌されているか否か、患者さんはまずそこに注目すれば良いということなんです。 ウェブサイトを見る さて、注目ポイントが分かったら、それを元に、まずはWebサイトで調べることから始めましょう。院内感染防止対策を頑張っている歯科医院は「自分の医院はよそとは違うんだ」というプライドを持っていますので、たいていWebサイトに滅菌していることを載せています。その際に気をつけて見ていただきたいのが滅菌器についての記述です。 滅菌器にはたくさん方式があって、タービンの滅菌に適さないものが多いのです。 現在日本で正式に薬事を通して歯科医院に対して販売されている器械に関して、タービンを安全なレベルまで滅菌できるか否かで分けてみました。 タービンの滅菌ができる滅菌器 クラスB滅菌器 クラスS滅菌器の一部 タービンの滅菌ができない滅菌器 クラスN滅菌器 (クラスS滅菌器の一部 ←これについては知りません、存在してるのかな?) プラズマ滅菌器 ガス滅菌器 医院のサイトに「歯を削る器具(タービン)を滅菌しています」「当院の滅菌器は●●クラス(または機種名)です」などと具体的に書いてあるところは相当勉強していますので期待が持てます。 ちなみにふくしげ歯科ではクラスSのステイティムという器械を使っています。もちろんキチンと滅菌できる機種です。 歯科医院でチェックすること 1.歯科医師とスタッフが患者さんごとにグローブを交換しているか…