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歯髄炎について
神経のある歯に起こる病変 歯の中には神経と血管があり、この部分を歯髄と呼びます。歯髄炎は、歯髄に何らかの刺激が加わることによって発生する炎症のことをいい、生活歯(歯髄が生きている歯)に起こります。ここでは、歯髄炎の原因、症状、診断方法、治療方法についてご紹介します。 歯髄炎を引き起こす原因 歯髄炎を引き起こす原因として、下記のようなものがあります。 ■細菌感染 虫歯が歯髄まで波及した場合や、歯周炎の炎症が歯髄に波及した場合に起こることがある。この他に、他の部位の炎症細菌が血液により歯髄に運ばれ、虫歯や外傷がない健康な歯に起こることもある。歯髄炎の中で最も多くみられるのは、虫歯によるものといわれている。電気的根管長測定器 ■物理的刺激 外傷などによる歯の損傷や、歯ぎしりや食いしばり、歯科治療時に発生する切削などの刺激によって起こることがある。 ■化学的刺激 歯髄と近接した歯科治療を行い、薬剤や材料の刺激によって起こることがある。 歯髄炎の症状の特徴 〔急性状態の場合〕 何もしていなくても痛みがある 甘い物や、冷たい物、熱い物、酸っぱい物を食べると痛む 歯を噛み合わせると痛む 〔慢性状態の場合〕 自覚症状がない 不快感や違和感がある お口の状態によってさまざまな症状が現れます。このような症状がありながら放っておくと、歯髄が死んで歯根嚢胞(顎の骨に膿がたまる病気)や顎骨骨髄炎(顎の骨に炎症が波及した病気)などが起こることもあり、その後の治療が難しくなったり、治療に時間を要したりすることが考えられます。症状がある場合は、速やかに受診し、適切な処置を受けることが必要です。 診断方法について 症状についての問診や、視診、触診、打診、歯の動揺の検査、レントゲン撮影などの一般的な検査に加えて、温度診(冷たい物や熱いものを歯にあてる)、電気診(微量の電流を歯にあてて反応をみる)などを行い、歯髄の生死を判定し診断を受けます。 治療法について 適切な治療方法については、診断によって異なりますので、詳しくは担当の歯科医師とご相談ください。下記は、主に行われる治療です。 ■歯髄の鎮痛消炎法-歯髄を残せると判断された場合に行われる治療 虫歯がある場合はその部分を削り、薬剤をつめて歯髄に加わる刺激から保護し、仮の詰め物で歯を覆います。1~6ヶ月様子をみて症状が落ち着いた場合は、被せ物や詰め物を入れることができ、再び歯の機能を取り戻すことができます。 ■根管治療-炎症が強くみられ、歯髄を残すことができない場合に行われる治療 歯や詰め物などを削り、歯髄を取り除いて清掃、洗浄、消毒を行います。根管治療によって痛みや炎症などが治まったら、根管に薬剤を詰めて被せ物や詰め物を入れることができ、再び歯の機能を取り戻すことができます。 ■抜歯-どの方法を用いても歯を残すことが難しい場合 抜いた歯を補う治療法としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。 歯髄に関連する治療を歯科用語で「歯内療法」、または「歯内治療」といいます。より精度の高い治療を受けたいとお考えの方は、歯科医院のホームページやパンフレットなどに、それらについて記述のあるところを検討してみてはいかがでしょうか。
こんな症状があったら歯髄炎を疑ってみよう
歯に強い痛みが生じるのは、歯の内部の歯髄と呼ばれる神経組織に、何らかの刺激が加わっているからです。神経付近での炎症になるので、通常は大きな痛みを伴いますが、自覚症状の少ない慢性的な歯髄炎もあります。 歯髄とは、歯の組織の中心部で、血管や神経が通っているところです。歯髄炎とはその部分が炎症している状態。神経が通っているので、ここに細菌が入り炎症が起こると、当然、大きな痛みを伴います。 1 激痛をもたらす歯髄炎とは 歯髄が炎症を起こすと、血液が増えるとともに免疫細胞が送り込まれ、すぐ近くの神経を圧迫するので、激しい痛みが生じます。従って、脈のリズムに合わせて、ズキズキとした強い痛みになります。主に、虫歯や歯周病が原因で、歯髄に細菌が入り、歯髄炎へと至ります。 2 急性の歯髄炎の症状 急性状態の場合、食事中以外の、何もしていないときにもズキズキとした強い痛みがあります。また、歯を噛みあわせたときに痛みが生じ、冷たいものや熱いもの、甘いもの、酸味のあるものを食べたときなどにも、大きな痛みを感じます。 3 自覚症状の少ないのが慢性歯髄炎 慢性状態の場合には、噛んだ時の歯の不快感や違和感はあるものの、激しい痛みを伴うような大きな自覚症状がないケースもあります(電気的根管長測定器)。 4 歯髄炎かどうか歯科医に診断を 大きな痛みを伴う場合は、歯髄に何らかの刺激が生じていると考え、少しでも早く、歯科医に診てもらうべきです。噛んだ時の不快感や違和感がある場合でも、そのまま放置せずに、歯髄炎を疑って、速やかに歯科医に相談してみましょう。
歯が痛い原因、歯髄にあるかもしれません。歯髄炎って一体なに?
歯のトラブルの代表といえば、虫歯、歯周病が思い浮かぶのではないでしょうか。このほかにも、歯髄炎が歯のズキズキとした痛みの原因になっていることがあります。ここでは、歯髄炎とはどのような状態なのかを見てみましょう。 歯髄はどこにある? 歯髄とは、歯の中にある神経と血管でできた部分のことです。歯髄は、歯茎の中にある2本または3本の歯の根から細く伸びて、上の方で合流しています。歯の表層から離れた奥の方に位置しているので、健康な歯であれば基本的には痛みを生じることはありません。歯科 口腔内カメラ 歯髄炎の原因で最も多いのは虫歯 <虫歯の進行の仕方> C1:歯の表面のエナメル質だけが虫歯になっている状態。虫歯の部分だけを削り、穴を埋める治療を行います。 C2:エナメル質の奥にある象牙質にまで虫歯が進行しており、冷たいものが歯にしみます。虫歯の部分を削り、穴を埋める治療を行います。 C3:虫歯が歯髄にまで達して歯髄炎を起こしている状態。神経を残せる場合と残せない場合があります。 C4:歯の根だけが残り、歯髄が腐敗している状態。抜歯が必要なこともありますが、根管治療によって歯を残せる可能性もあります。 ※詳しくは、「歯が痛い!?虫歯の進行度別にみる治療法と受診のめやす」をご参照ください。 虫歯がC3の段階にまで進行すると歯髄が炎症を起こし、熱いものがしみるようになります。何もしていないときでも歯が痛くなるようだと、歯髄炎はかなり進んでしまっていると考えられます。そのまま放置すれば歯の根に膿がたまって激痛を引き起こします。このほか、外傷や歯ぎしりによる歯髄への刺激によって歯髄炎になることもあります。 歯髄を残せる場合と残せない場合 歯髄炎は「神経を取る」治療の対象となります。しかし、すべての歯髄炎で神経を取るわけではありません。歯髄炎には、神経を残せるものと残せないものとがあります。 神経を残せないのは次のような場合です。 神経のダメージが元に戻らないと判断される場合(不可逆性歯髄炎) 神経が露出している場合 痛みの持続時間が長い場合 反対に痛みがなく、神経のダメージが回復すると判断される場合(可逆性歯髄炎)は神経を残せる可能性が高くなります。歯髄を残す治療では、虫歯になった部分を削り、薬剤をつめて歯髄を保護します。痛みを生じないようなら詰め物や被せものを入れて治療は完了です。 まとめ 歯髄炎は、虫歯が歯髄にまで達したときに引き起こされることが多く、中には歯を抜かなければならない場合もあります。神経のダメージが回復すると判断される場合は歯髄を残す治療を行います。また、神経のダメージが回復しないと判断され、神経を取らなくてはならない場合でも根管治療によって歯の保存を目指すことができます。 根管治療については、「虫歯を放置するのは危険!歯髄炎に必要な根管治療とは」でまとめておりますのでこちらをご参照ください。