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歯肉炎を放置しておくと口臭や早産リスク増大につながる!
歯みがきをしているときや硬いものを食べたときに、歯茎から血が出てしまった――。そんな経験のある人は、歯肉炎を疑ったほうがよいだろう。現代人の多くが患っているという歯肉炎だが、その症状とは具体的にはどのようなものがあるのだろうか。 今回は、矯正歯科クリニック院長の今村美穂医師に、歯肉炎の症状と歯肉炎になりやすい時期や、生活習慣などについて詳しく解説してもらった。 歯肉炎は歯周炎の前段階 歯肉炎は「歯周炎」と深い関わりがある。歯周炎はかつて「歯槽膿漏(のうろう)」と呼ばれており、歯の周りの骨が溶けて最終的には歯が抜けてしまうという怖い病だ。歯周炎と歯肉炎をまとめて「歯周病」と呼び、歯肉炎は歯周炎の前段階だと今村医師は話す。 「歯周炎を引き起こす細菌が歯槽骨(しそうこつ: あごと歯を結ぶ骨)に入っていくときの最初の症状が歯肉炎です。細菌が歯槽骨まで到達せず、歯肉のところで炎症を起こして腫れている状態になります。それがもう少し深部まで入ってくると、歯周炎になってしまいます」。 悪化して歯周炎になる前に、何とか対処しておきたいもの。自分が歯肉炎かどうかは、どこで判断すべきだろうか。 「歯周炎のように口臭がするなどの症状が出にくいので、知らずに進行してしまっているのが歯肉炎です。歯みがき時に『痛む』『しみる』などの症状がある場合には要注意ですし、出血があれば、ほぼ歯肉炎と考えて問題ないと思います。歯肉に炎症ができることで腫れてしまって、出血するというのが最も大きな特徴です」。 歯茎から血が出てしまえばほぼ間違いないが、歯肉炎はそれ以外には自覚できる症状が少ないことから、いつの間にか病状が進行してしまうところが怖いところ。血が出ていなくても、歯茎が腫れて赤くなっていたり、痛んだりしみたりするようなことがあれば、早めに歯科クリニックなどに行って対策したほうがよさそうだ。では、歯肉炎になりやすい生活習慣や環境はあるのだろうか。 「細菌感染ですから、口腔(こうくう)内に歯周病菌が生息しやすい環境を与えたり、細菌の温床になってしまうような場所があったりすると、そこに棲みついてしまいます。結局は、歯みがきなどで口腔内のよい状態を長い時間持続させることが一番です。また、歯列が良くないと歯周炎の温床となる場所を作りやすいですね」。 歯みがきで温床となる部分を除去することも重要だが、口腔内の乾燥も悪化の要因となるので、口呼吸ではなく鼻呼吸を心がけよう。他に血糖値が上がると歯肉炎が改善しないというデータもあり、間食をなるべく控えることも推奨されている。 思春期や妊娠期は歯肉炎になりやすい つまるところ、口腔内をいつも清潔に保ち、プラークや歯石などのない状態をなるべく長く保つことが何よりの予防になるわけだ。だが今村医師は、特に歯肉炎になりやすい時期があると解説する。それは思春期と妊娠期だ。 「思春期や妊娠期はホルモンのバランスが変わって新陳代謝が激しくなり、細胞の活性が盛んにおこなわれます。そのような時期は、歯肉炎の原因となる菌に過剰に反応してしまいます。また、妊娠初期のつわりなどで吐くこともあるでしょうが、嘔吐(おうと)で口の中が酸性になって虫歯のリスクも上がってしまいます」。 つわりがつらくて歯みがきを簡単にすませてしまい、いつの間にか重度の歯周炎に移行してしまうケースも多くあるという。X線フィルム自動現像機 さらに、妊娠期についてはおなかの中にいる子どもへの影響も懸念されている。歯肉炎が悪化した歯周炎を持つ患者における早産・低体重出産の出産リスクは、通常時の約倍にもなるというデータや、歯周病菌が母体を通じて胎児にも感染してしまうという報告もある。どんなにつわりがつらくても、子どものためにはしっかり口腔内をきれいにしておきたいところだ。 「妊活のお気持ちがあるのであれば、その時点で口腔内の状態をよくしておくことが、お母さんの心構えのひとつだと思います。歯周病菌が一度でも口腔内に着床してしまうと、完治することはありません。お子さんへのリスクを考えると、妊活の前に口腔内のよい状況を維持できるように改善していくことが大切です」。 「ちょっと血が出たくらいだから」と軽く考えている人も少なくない歯肉炎。ところがそれを放置していると、水面下で静かに歯周炎へと進行して取り返しのつかない事態になりかねない。毎日の歯みがきで自分の口の中をしっかりと把握し、歯や歯茎からのサインを見逃さずに対処することが歯肉炎を寄せ付けない最善の方法といえるだろう。
3DSに期待大! 歯肉炎ケアのコツと最新治療法の正体
歯茎からのちょっとした出血のつもりが、そのままにしておくと静かに症状が進行して歯周炎などへとつながる歯肉炎。重篤な症状が出てしまう前にできるケアにはどのようなものがあるだろうか。 今回は、矯正歯科クリニック院長の今村美穂医師に、自宅で簡単にできる対策から歯科でできる最新の治療法まで、歯肉メンテナンスのノウハウを教えてもらった。 歯肉炎ケアの基本はきちんとした歯磨き 歯磨き時に血が出てきてしまったので、歯茎を傷つけないためにもそれからしばらくは歯磨きを控えめにした経験はないだろうか。実は歯肉炎の度にこのような"対症療法"に終始してしまっては、全く意味がないと今村医師は話す。 「血が出てしまう原因を知って、それに対応した歯磨きをしていかなければなりません。ご自分にあった歯磨きスタイルを作って、それで磨き残しがないかどうか歯科医院でチェックしてもらうといいと思います。そうやって確立したスタイルを励行していただくのが一番です」。 歯肉炎を歯周炎へと悪化させないためにも、まずは歯科医院で血が出る原因を究明し、それから自分に合った歯磨き方法を指南してもらうことが重要だ。その際、よく磨けるように電動歯ブラシやフロス、洗口剤などを活用するのもよいが、やはり使いこなせないと意味がない。 「電動歯ブラシについては、すごくいい製品を使っている方でも、ヘッドの大きさなどから奥歯にちゃんと届いておらず、きれいに磨けていない患者さんもいらっしゃいました。機器は高度化しているんですが、使いこなせている方は意外と少ないと思います」と今村医師。 洗口剤も殺菌効果は高いが、すぐに口腔内環境は元通りになってしまう。食後すぐに外回りや会議があり、歯磨きまで時間が空いてしまうときなどの「つなぎ役」として活用するといいだろう。 歯磨き粉の"3刀流"も有効 磨き残しがないかを可視化しやすくするため、歯の汚れに色を付けるという方法もある。実際、既に日本でも汚れに色をつける歯磨き粉が市販されているという。 また歯磨き粉は、プラークコントロールを目的としたもの、歯肉炎の細菌などに対する殺菌効果のあるもの、虫歯に対してよい効果のあるものなど、いろいろな種類のものが今は販売されている。 そこで、「朝はプラークコントロール用」「昼は虫歯対策用」「夜は歯肉炎対策用」などと使い分けると、「口のトータルケア」が期待できそうだ。ただ、うがいをしすぎてしまってはせっかくの高濃度の薬効成分も口腔内に定着しづらい。口のゆすぎすぎには注意しよう。 歯磨きなどのケア以外でも、歯肉のために積極的に摂取したい栄養素がある。それは、オレンジやレモンといったフルーツなどに多く含まれているビタミンCだ。 「ビタミンCはお肌のためにサプリなどで毎日摂(と)っていらっしゃる方も多いですが、歯肉にもとてもいいものです。ビタミンCは血行の循環をよくしてくれるので、炎症があった歯肉の治癒を促進することが期待できます。また、ビタミンCはコラーゲンを増やしてくれますが、コラーゲンがあれば歯肉の修復がより早くなります」。 歯肉炎対策以外にも使える3DS 手軽にできるホームケア術もいいが、いざというときはやはり医師にきちんとした治療をしてもらう必要がある。 歯肉炎治療は、炎症部分の歯石やプラークを取り除いたうえで、殺菌効果のあるものを入れて炎症を治めていくという方法がスタンダードだ。だが一度改善しても、歯並びの問題などから再発してしまうケースも少なくない。 そのようなケースに有効的な方法として注目されているのが、日本ではまだあまり知られていない「3DS(Dental Drug Delivery System)」だ。 「3DSは、マウスピースを使って薬剤を定着させる方法です。薬剤が浸透する時間を設けることで、口腔内の環境をよくしていくことができます。例えば、唾液量が減ってしまう睡眠中に、マウスピースを入れて寝ていただくことで清浄効果を高められます」。 この専用マウスピースは、歯科医院などで短時間で作成可能。自分の歯に合わせて作るものなので、一度作ってしまえば歯科医院で専用の薬剤を買い足すだけで長く使えるメリットも。歯科医療機器 耐久性にも優れ、厚さも自分でオーダー時に調整できる。例えば、いつも歯を食いしばったり、歯ぎしりが強かったりする人の場合、素材をやや厚めにできる。そういったクセがない人の場合、1mm以下のもので対応できるとのこと。 さらには歯肉炎対策だけでなく、薬剤を変えることでホームホワイトニングなど別の用途にも使える。オーラルケアの一環として、1つ作っておくのもよいのではないだろうか。
歯肉炎の治療(ブラッシング)
歯肉炎はブラッシングで治します 歯肉炎の原因は細菌なので、細菌を取り除くこと(プラークコントロールといいます)が治療の主体になります. 細菌が除去できれば、歯肉の炎症は改善され、ばほ健全な歯周組織の回復が望めます. プラークを除去するのに一番効果的なのはブラッシング(歯みがき)です. 歯周病治療のブラッシング・片山式ブラッシング法 私たちが行っている歯周病治療のためのブラッシング方法は片山式ブラッシング法です.歯科用高圧蒸気滅菌器 片山式ブラッシングは、通常行われているバス法、チャーターズ法などとはかなり異なったブラッシング方法です. 一番大きな違いは、その人の歯肉の炎症の程度や歯並びによって磨き方を変えていくということです. 同じ人でも、歯肉の炎症状態が改善していけば、その状態に合わせて歯ブラシとブラッシング方法を変えていきます. 片山式ブラッシングは細菌のコントロールを目的とした“突っ込み振るわせ磨き”と歯肉の賦活を目的とする“フォーンズ法”の2つの方法が基本形になります. また、歯周組織の病態や部位、またその治療目的によって、歯ブラシの種類や方法を変えていきます. 突っ込み振るわせ磨き フォーンズ法 …
歯磨きで出血!歯肉炎の症状体験談
はじめに 口は、人と話したり食べ物を食べたり、とっても大切な役割をしていますよね。そんな口の中は、いつも健康的でありたいものです。 でも、歯磨きをすると出血したり歯茎がブヨブヨしてしまうことがあります。これは歯茎の病気、歯肉炎で、放っておくと口内炎や口臭など、様々なトラブルの原因になるといわれています。 そんな怖い歯肉炎に、著者(女性)が今から3年前の2010年、24歳のときになってしまったときの体験談を紹介したいと思います。 経験したことのある歯肉炎の症状 普通に歯磨きをしていて、力を入れているつもりもないのに、歯茎から出血することが続いていました。歯茎がブヨブヨした感じがあり、「少し赤くなって、腫れているのかな…」と感じていました。 痛みなどはなかったので、病院で診てもらうことも考えずに、出血があるにも関わらず1か月ほど何も対処はしていませんでした。歯科用エアーコンプレッサー 歯科医師の診断とその後の症状 たまたま妊娠中だったため、歯も検診しておこうと歯医者を訪れ、診てもらったところ、歯肉炎であると診断を受けました。 歯肉炎の原因は歯の根元に付いた歯石だそうで、その歯石を取り除いてもらう治療をしました。歯石を取る治療は、時々痛みを伴いますが、虫歯を削るときほどではありません。 治療を受けてから、徐々に歯茎の腫れが治まってきました。1週間もするころにはすっかり出血もなくなり、完治しました。 治療は1回のみで済み、力を入れずに細かく歯ブラシを動かすブラッシング法の指導を受けたので、それを実践するようにしてからは再発しなくなりました。 おわりに 歯肉炎の原因となっているのは、磨き残しのプラークです。毎日の歯磨きを怠らず、甘いものを控えるようにして、虫歯と同時に歯肉炎もしっかり予防しましょう!
歯肉炎を自宅で治療する7つの方法と歯医者で行う最新治療
歯磨きを頑張っているが歯肉炎が治らずどうしたらいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。歯肉炎とは歯茎が腫れて、出血や口臭などの症状が出ている状態のことです。しかし、実は歯肉炎は歯磨きだけで治らないこともあるのです。歯医者では歯磨きが足りません、もう少し頑張ってくださいといつも言われる方も実は他に原因がある場合もあるのです。今回は歯肉炎を自宅で治す7つの方法と最新治療法をお伝えします。ぜひ参考にしてください。 1.歯肉炎とは 歯肉炎とは歯茎が腫れている状態のことを言います。歯肉炎は乳歯や子供の時でも起こり、歯茎が赤くなったり、出血したりします。多くの場合はプラークが原因になります。しかし、砂糖が多い食生活をしていると血中の血糖値が上がり、歯磨きを頑張っても歯肉炎が改善しないことも分かってきました。また、風邪をひいたり、疲れている時など体の抵抗力が下がった時により悪化しやすくなります。 2.歯肉炎を自宅で治療する7つの方法 歯肉炎の多くは自宅で治療することが9割です。食生活の改善や歯磨きのやり方を変えるだけで多くの場合は治すことができます。歯科診療ユニット 2−1.甘いものを控え、食生活を改善する 歯磨きをいくら頑張っても歯肉炎が改善しない、いつも歯茎に赤みを帯びている、このような方は糖分の多い食生活になっていることが多いです。血液中の糖分が多いと歯肉炎になりやすいというデータがあります。甘いものを控えるだけで歯肉炎が改善します。3ヶ月甘いものを控えてみてください。見た目にも歯茎の色が変わるはずです。 2−2.体力を改善させ、免疫力を高める 風邪をひいたり、花粉症などのアレルギーがある方は免疫に異常が起き、歯肉炎が悪化することがあります。歯茎は常に口の中の細菌と体の抵抗力が戦っている場所です。歯茎の健康は体の健康を映し出します。運動などをして免疫力を高めておくことは歯肉炎の改善に役立ちます。 2−3.口呼吸から鼻呼吸に変えていく 歯茎の粘膜は唾液の力によって守られています。唾液の中には殺菌作用のある成分が含まれています。口呼吸によって歯茎が乾燥すると唾液のバリアーが無くなり、歯茎が無防備になるため歯肉炎が起こります。特に口呼吸の方は常に口が乾燥するため歯肉炎が起こります。また、口呼吸は風邪やアレルギーの原因にもなります。口呼吸から鼻呼吸に改善することによって歯肉炎だけでなく、体の健康を取り戻します。詳しくは「口呼吸によって起こる9つの危険と6つの改善方法」を参考にしてください。 2−4.飴やハイチューではなくキシリトールのダブレットに変える 口の中に長時間甘いものがあると、細菌が増殖し、歯肉炎が悪化します。口の中は適度な湿度と温度に保たれていて細菌が増殖するには格好の場所です。そこに細菌の餌となる甘いものがあれば、細菌は爆発的に増殖し、歯肉炎が起こります。飴やハイチューなどで長時間、細菌の餌を与え続けるのではなく、キシリトールのタブレットに変えるだけで歯肉炎を改善することができます。詳しくは「噛み方で変る!キシリトールガムで効果的に虫歯予防する方法」を参考にしてください。 2−5.歯磨きは磨いているではなく磨けているが重要 歯磨きをしていない方はほとんどいないのではないでしょうか。しかし、磨いていると磨けているは違うのです。歯磨きをした後、歯垢染め出し液を使ってみてください。どこに歯垢が残っているか一目瞭然です。この歯垢を自分で完璧に取れれば歯肉炎は早期に改善します。詳しくは「虫歯や歯周病を徹底的に防ぐ「歯磨き力」をつける6の秘訣」を参考にしてください。 2−6.歯磨き前のデンタルフロスで歯の将来が決まる 歯肉炎の80%は歯と歯の間で起こっています。歯肉炎を治すにはまず、デンタルフロスを使う、それも歯ブラシで磨く前に使うことが必要なのです。それだけデンタルフロスが重要なのです。デンタルフロスで歯肉炎の症状の出血や口臭もチェックできます。詳しくは「歯医者は絶対やっている!デンタルフロスで虫歯や歯周病を防ぐ方法」を参考にしてください。 2−7.効果的な歯磨き粉の使い方で歯肉炎を改善する 最近の歯磨き粉は歯肉炎に効果の高い製品が多く出されています。効果的な使い方は歯磨き粉はたっぷり使い、歯磨き後のすすぎは少なめにして、味が残るようにします。歯肉炎用歯磨き粉の中には炎症を抑える成分が含まれています。成分を歯茎に浸透させるには時間が必要です。歯磨きをしている時間だけでなく、歯磨き後もその成分が浸透するようにすすぎを少なくすることによって歯磨き粉の効果が持続します。 3.歯医者で行う最新治療 3−1.3DSで直接、歯茎に薬を浸透させる 3DS(Dental Drug Delivery System)とはマウスピースの中に歯肉炎に効く薬を入れ、直接歯茎に浸透させる方法です。口の中には唾液があり、薬をつけても流されてしまいます。歯磨き後、マウスピースに薬を入れ歯茎に浸透させることによって歯肉炎を改善する方法です。歯肉炎の状態によって薬を選びます。まだ、多くの歯医者で行っているわけではないので、かかりつけの歯医者で相談してください。 3−2.抗生物質で歯肉炎の原因菌を叩く 歯肉炎の症状が強い場合には一時的に抗生物質を使うこともあります。歯肉炎の腫れが強く歯磨きができないなどの強い症状の場合は、抗生物質で改善させます。ただし、抗生物質はあくまでも一時的な改善のために使うものでその後の治療を行わなければすぐに戻ってしまいます。 4.治療が難しい歯肉炎 4−1.薬物性歯肉炎(薬物性歯肉増殖) 高血圧の薬やてんかんの薬で歯茎が大きく膨らむようになることを薬物性歯肉炎といいます。担当医にお薬を変更できるかどうかを確認します。お薬を変更しても治らない場合は膨らんだ歯茎を切除することがあります。…
歯肉炎の原因・症状
小学生から20歳代の歯茎のトラブルで最も多い「歯肉炎」。成人の口の2大トラブルは虫歯と歯周病ですが、歯肉炎は歯周病の初期段階に見られる炎症のことです。歯肉炎の原因と症状について、分かりやすく解説します。 歯肉炎の原因 歯肉炎はブラッシング不足の小学生でもよく見られる 成人に多い歯周病に比べ、ブラッシング不足の小学生にもよく見られる歯肉炎 歯肉炎は、普段から口の中に存在する細菌が原因で起こります。口内環境をしっかりと清潔に保てている時は大丈夫ですが、歯磨きが不十分な状態が続くと、口の中の常在菌が歯と歯肉(歯茎)の境目周辺に付着し、増殖。これは歯垢として目で見ても確認することができ、時には歯周病と同じように、歯石ができることもあります。 歯肉の表面に付着した細菌は、歯肉の内部に侵入しようとしますが、これを防御する際に炎症が起こります。この炎症が歯肉のみにとどまっている状態が「歯肉炎」です。 さらに炎症が広がって骨の一部が溶け始めた段階で、初めて「歯周病」と呼ばれるものになります。 歯肉炎の症状 歯肉炎では、次のような状態や症状がよく見られます。歯肉炎とは、歯茎が炎症を起こす病気。炎症が起きると、赤く腫れて出血しやすくなったり、超音波クリーナー 激安歯磨きの時に痛みを感じたり、膿や口臭が見られるなどの症状が現れます。 ■ 歯の表面のプラーク(歯垢) 歯肉炎になると、歯と歯茎の境目付近に必ず白い歯垢がたくさん付いた状態が確認できます。歯の表面に歯垢が堆積している場合、ほとんどの歯肉が炎症を起こしています。 ■ 歯肉の縁がはっきりしない 健康な歯と歯肉は指の爪のように、皮膚と爪の境目がはっきりしています。歯肉炎になるとこの境がはっきりせず、歯肉の縁が薄く伸びたり凸凹になったりします。 ■ 歯肉が縁に沿って赤くなる 鏡で歯肉を見たときに、歯の周囲に沿って明らかに赤い帯状のラインが見られることも。 ■ 歯肉の縁が腫れる 健康な状態だと、歯と歯の間の歯茎は固く鋭いV字の形。歯肉炎になるとこの部分の歯茎が丸みを持って膨らみ、指で押すと動いたり、ブヨブヨした感じがするようになります。 ■ 歯肉から血が出る 通常は歯磨き程度で出血することはほとんどありませんが、歯肉炎になると歯磨きで、すぐに出血します。もし歯磨きで出血した場合には、まず歯肉炎を疑います。 患者さんのお話を聞いていると、歯肉炎による出血を磨き過ぎだと勘違いして歯磨きをいっそう軽めにしてしまう人もいるようです。口内環境がさらに悪くなり、歯肉炎がいっそう悪化してしまうケースも少なくありません。 歯肉炎が歯周病のレベルまで悪化しているかは、外から目で見ただけでは正確な判断ができず、最終的な確認はレントゲンなどで行います。ただし1~25歳程度の若い年齢で歯肉の出血が認められた場合は、歯周病まで進行せずに、歯肉炎の状態でとどまっているのがほとんどです。 歯周病と歯肉炎の違い 歯肉炎は、歯肉(歯茎)のみに炎症を起こした状態。しかし歯肉炎を放置して歯周病に進行すると、歯を支えている骨が溶けたり、歯茎が下がって歯の根が露出などの歯茎の表面から顎の骨などの内部に向かってダメージが広がっていきます。 こうなってしまうと、いくら歯周病を治療したとしても、出血などの歯茎の炎症が改善するだけで、基本的には溶けた骨が元に戻ったり、歯茎が盛り上がって歯の根の露出が改善したりはしません。…
歯肉炎の症状や原因・診断と治療方法
歯周組織(歯肉、セメント質、歯槽骨(しそうこつ)および歯根膜(しこんまく)、図30)のうち、歯肉に炎症が限局してみられる場合を歯肉炎といいます。歯肉炎は、プラーク(歯垢(しこう)ともいう)によって発症するものが大部分ですが、ホルモンの変調によって起こるものや服用薬物の副作用によって起こるものもあります。 プラークがたまりやすい環境やプラークを除去しにくい因子(歯石、大きなむし歯、古くなった詰め物や冠など)、病状を悪化させる全身的な因子(口呼吸、血液疾患など)などが、複雑に絡み合って炎症が進行します。 一般的に経過は慢性に進行しますが、急性に起こることもあります(急性壊死性潰瘍性(えしせいかいようせい)歯肉炎)。 ●プラークによる歯肉炎(しにくえん) 歯肉炎とはどんな病気か 口のなかにすんでいる細菌(口腔常在菌(こうくうじょうざいきん))がつくるプラークが主な原因です。口腔常在菌は、皮膚や腸内にいる常在菌と同様に、健康な人の口のなかにもすんでおり、通常は病原性を発揮しない状態でバランスがとられています。 しかし、歯みがきを怠ったり、砂糖がたくさん入った食べ物を頻繁にとることによって、細菌が増殖しプラーク量が増えてバランスが崩れると、歯肉に炎症が起きます。プラーク中の細菌全体の病原性、すなわち非特異的な細菌によって起こる感染と考えられています。 プラークは、歯ブラシの届きにくい歯と歯の間や歯肉の縁にたまり始め、歯肉に炎症が起きます。歯と歯肉との間の溝は深くなり、ポケットができます(歯肉ポケットあるいは仮性ポケットともいう)超音波クリーナー 激安。 しかし、細菌それ自体が歯肉中に侵入して炎症を起こすというより、細菌が産生する酵素や毒素が直接歯肉に影響したり、これらの侵入を防ぐ体の防御反応が自己破壊的に作用して、炎症が進展していくと考えられています。 症状の現れ方 「なんとなく歯ぐきがむずがゆい」「リンゴを噛んだり、歯みがきすると血が出る」などの症状が現れます(表3)。 鏡で歯ぐきを見ると、赤くなっている部分やはれぼったくなっている個所があることに気づくでしょう。この部分を指で押すと、ぶよぶよしており、指に血がつくこともあります。しかし、一般にこれらの症状は軽度で、痛みを伴わないことが多いので、治療を受けずに放置しておく人が少なくありません。 治療の方法 歯肉炎の段階で歯科医を訪れ、早期に適切な口腔衛生指導を受け、生活習慣の改善に努めることが大切です。より重症な歯周炎になることを予防できるだけでなく、正常な状態に治ることも期待できます。 ●思春期(ししゅんき)にみられる歯肉炎(しにくえん) 歯肉炎とはどんな病気か 思春期(11〜14歳ころ)になると歯肉の炎症が悪化し、歯肉はより赤くなり、ぶよぶよし、出血しやすくなることがあります。とくにこの傾向は、女子に多くみられます。 女子の場合、思春期になると血流中に女性ホルモンのうちエストロゲン(卵胞ホルモン)の一種であるエストラジオールやプロゲステロン(黄体ホルモン)などが増え、歯と歯肉の間にある溝(みぞ)(歯肉溝(しにくこう))から出る滲出液(しんしゅつえき)中にもこれらの女性ホルモンがみられるようになります。ここにすんでいる歯周病原細菌のうち、プレボテラ・インターメディア、プレボテラ・ニグレセンスなどが性ホルモンを栄養源として発育し、これらの細菌が増えることで炎症が悪化するのです。 思春期のすべての子どもたちの歯肉に炎症が起こるわけではありません。思春期になる前から歯肉炎があった子どもたちの歯肉炎が悪化します。 歯肉に炎症がなければ、思春期になっても歯肉は健康状態を維持することができるので、心配はいりません。思春期が過ぎれば炎症はある程度軽減しますが、完全に治ることはありません。 治療の方法 治療の原則は、プラークコントロールを基盤とした早期発見、早期治療です。学校歯科医やかかりつけ歯科医のもとで、早めに適正な口腔清掃指導や生活習慣を改善するための指導を受けたり、歯石がある場合は取ってもらいましょう。 定期口腔検査が必要なことはいうまでもありません。 ●妊娠時(にんしんじ)にみられる歯肉炎(しにくえん) 歯肉炎とはどんな病気か 妊娠2〜8カ月の間に、歯肉の炎症が悪化することがあります。このことは、前項の思春期にみられる歯肉炎と同様のメカニズムによって起こると考えられています。 エストロゲン(卵胞(らんぽう)ホルモン)やプロゲステロン(黄体(おうたい)ホルモン)の影響で、もともとあった歯肉炎や歯周炎が悪化します。子どもと違い妊娠可能な女性では、年齢的にみても歯肉炎から歯周炎に進行していることもあるので、妊娠前から歯肉の健康維持に努めることが大切です。 まれに、歯肉が数歯に限局してはれて、妊娠性エプーリスがみられることもあります。妊娠自体が原因ではなく、プラークが主原因であることから、妊娠中はとくにプラークコントロールに配慮するとよいでしょう。 妊娠中の女性に重度の歯周炎があると、プラーク中の歯周病原細菌の影響で、早産や低体重児出産が起こると報告されています。…
歯肉炎 ストレスから免疫低下で出血食生活乱れ栄養不足も拍車
ストレスがかかると免疫機能が低下することは知られているが、その影響は意外な部分に現れることがある。その代表的な例が「口の中」だ。歯茎が赤くはれたり出血したりする歯肉炎も、ストレス反応の一種として現れることがあるというのだが…。 Iさん(34)はその朝、歯をみがいていて異変に気付いた。口をすすいで吐き出した水が、血でピンク色に染まっていたのだ。あわてて鏡に向かって「イーッ」とやると、みがいたばかりの前歯が血に染まっていた。 数日間、様子を見たが歯茎の出血とはれが引かないので、かかりつけの歯科医院を受診。はれて、じゃなかった、晴れて「歯肉炎」の診断が下された。口腔内カメラ しかし、Iさんは納得がいかない。ちゃんと朝晩歯をみがいているし、半年に1度は歯科検診にも行っている。永久歯になってからは虫歯もなければ歯周病を指摘されたこともない。なぜ突如歯肉炎に襲われたのか-。 「ストレスかもしれません」と指摘するのは、東京都目黒区にある新井デンタルクリニックの新井誠二院長。精神的な抑圧が歯肉炎を引き起こすことは珍しいことではないという。 「口の中には数多くの雑菌がすみついているけれど、普段は免疫機能の働きで、感染したり症状を引き起こしたりすることはありません。ところがストレスがかかると免疫力が低下する。それによって口の中の粘膜の防御機能が落ちてしまい、感染、発症することがあるのです」 たしかにIさん、この数カ月、奥さんとの関係が悪化しており、離婚を視野に入れた話し合いが続いている。ストレスは最高潮なのだ。 「ストレスがかかると食生活も乱れるので、栄養不足も加わって歯肉炎を引き起こしやすい環境ができやすい」と新井院長。Iさんの歯肉炎は、起きるべくして起きた症状だったのだ。 細かな血が飛び散った洗面台を、奥さんは「気持ち悪い…」と言って掃除もしてくれない。もはやこの夫婦に未来はなさそうだ。 Iさんが取るべき道は、夫婦仲を改善することではなく、自分の免疫力を復活させることだと思うのだが…。