数回にわたりお届けいたしました、歯科インプラントの具体的な治療費について。今回は入れ歯編です。インプラントで入れ歯?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。以前までの費用に関わる記事「歯科インプラントにかかる費用」「歯科インプラントの治療費の内訳について」や入れ歯式のインプラントについての記事「取り外し可能なインプラント治療…オーバーデンチャー」も合わせてご覧ください。 基本的な治療費 取り外しができるタイプのインプラントですがしっかりと咬むことができます。 歯科インプラント治療は固定式以外に取り外しの出来る入れ歯タイプ「オーバーデンチャー」もあります。非常に大掛かりなインプラント手術ができない方や将来のメインテナンスに不安がある方にはとても有効な方法です。固定式のインプラントを埋入した方で、ある程度の年齢になってから取り外し式に変える方もいらっしゃいます。 もちろん、固定式のインプラントの方が天然歯に近い為、咬み応えも有りますが、一般的な歯茎にかぶせるだけの入れ歯よりは圧倒的に咬合力を回復することができます。その上、取り外すことにより入れ歯自体をしっかりと清掃したり口腔内のお手入れも出来るので、この超高齢化社会を迎えている日本では入れ歯タイプのインプラントを希望している方も多いのが現状です。 1.精密診断料 入れ歯タイプとはいえ歯科インプラントを埋入するのですから、通常のようにレントゲン撮影、口腔内写真、3DCT撮影といった事前精密診断を行います。顎の部分の骨量・骨質・危険個所(上顎洞や下歯槽神経など治療の際に触れたり傷つけたくない箇所)を確認し安全な手術を行えるよう下準備をします。入れ歯タイプのインプラントは比較的短めのものを使用しますので、手術の危険度は低くなります。3DCT撮影&事前診断料としての全体の相場は他の歯科インプラント治療と同じくおよそ1万~5万円です。 2.サージガイド製作費用 単純な症例の場合は無料で製作する場合もありますが、特殊ケースの場合は費用が発生致します。相場はおよそ2万円~。インプラントを埋入する本数によっても金額は変動します。多くのインプラント埋入が必要な場合は10万円程度になる場合もあります。医院によっては1の精密診断料に含まれているところもあるようです。 3.インプラント手術費用 数本のインプラントで広い範囲の入れ歯を固定する。 手術は片顎2ヵ所から4か所のインプラント埋入をおこないます。固定式のインプラントよりも比較的短く細めのインプラントを使用しますので、歯肉を切開剥離する範囲もかなり小さく術後の痛みや腫れも小さくなります。全身疾患をお持ちで手術自体が不安な方にも比較的取り組みやすい手術です。歯模型 相場は1本当たり20万円~30万円程度になります。オーバーデンチャーの場合、入れ歯を取り付ける範囲にもよりますが、2本以上の複数のインプラントを埋入することがほとんどですので、最終的な費用は埋入する本数により異なってきます。 4.アタッチメントに掛かる費用 他のインプラントと違う点が「アバットメント」ではなく「アタッチメント」を使用する点です。インプラントと入れ歯を繋ぐ部分。ボール、バー、マグネット、ロケーターといった様々なタイプのアタッチメントで入れ歯とインプラントを固定します。中でもロケーターは維持力が弱った際でも簡単に調整できる最新のアタッチメントシステムで需要が増えています。大切なのは使用する人の生活環境や口腔内状況に合わせてアタッチメントを選択することです。相場は1か所あたりおよそ10万円~となります。 5.入れ歯・義歯の製作費 部分入れ歯なのか総入れ歯なのか…。バイオコバルトかチタンか…。 欠損の状況と使用する素材によって料金は大きく変わってきます。相場は50万円~75万円。個人的に一番のおすすめはアレルギーの可能性が限りなく少ないチタンフレーム。厚みも少なく熱伝導性も良く、とにかく軽いので装着時の違和感を少なくすることができます。インプラントオーバーデンチャーの場合は、粘膜同士で支え合う通常の入れ歯と異なりインプラントが咬合力を大きく負担してくれるので、入れ歯そのものをとてもスリムに仕上げることができるのです。様々な理由で金属フレームに出来ない場合は、既にお使いの入れ歯を使用することも可能です。 以上が基本的な入れ歯タイプのインプラント治療費となります。たとえば、現在使用中の入れ歯を使い、無歯顎に3本のインプラントを埋入する場合は3+4の金額です。入れ歯を現在の物よりスリムで違和感のないタイプにしたい場合はこの金額に5が加わります。 入れ歯をインプラントにすることのメリット 通常の入れ歯と比べた場合、何よりも一番のメリットは咬合力が大幅にアップすることではないでしょうか?支えの無い粘膜同士だけでの装着ではなくインプラントという支柱が有る為、本来の咬む力に近い咬合力を発揮することができます。更に粘膜の負担を軽減でき、現在の歯槽骨が更に吸収してしまわないように予防をすることができます。歯槽骨が吸収されなければ長期にわたり入れ歯が安定するのです。 自分に合った治療方法を提案してもらうこと 冒頭でも述べさせていただきましたが、自分の生活環境や口腔環境、様々な要因によってどのような治療が自分に向いているのかを見極めることが大切です。 青年期に不意の事故で多くの歯を欠損しインプラントを埋入することになった。青年期、壮年期には出来ていたインプラントの清掃や定期的に通院してのメインテナンスが老年期になり億劫になってきた。足を患い通院が難しい。他の天然歯も欠損が目立ってきた。在宅での治療を希望するが、日頃の清掃はなるべく簡単なものにしたい。ならば入れ歯にしよう。でも食事は楽しみの一つだから充実させたい。それならインプラント式の入れ歯にしよう。 このように人生の移り変わりの中で自分にぴったりの治療をしていくことで「骨が痩せて入れ歯が合わなくなってきた」「とにかく痛いから咬むのが辛い」「食事をするのが楽しくなくなった」「上手に喋ることが出来なくなった」という肉体的だけでなく精神的なダメージも減らすことが出来ると考えます。超高齢化社会、長くなった人生を充実した物にする為にも気軽に訪れることの出来る歯科医院を見つけておきましょう。
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