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歯周炎に野菜や果物が役立つかも ただし喫煙者以外で
カナダ、ブロック大学の研究者らは、歯周病の症状のひとつ、歯周炎の治療後の改善に野菜や果物の摂取が有効である可能性が高いと発表した。 歯周炎は歯の周囲の組織が細菌に感染することで炎症を起こした状態。歯肉が弾力を失い歯周ポケットができてしまい、さらに炎症が進むと歯肉の腫れや出血を起こし、最悪の場合、歯が抜け落ちることもある。 研究では、慢性的な歯周炎で歯科医に治療に通っている患者86人を対象に、野菜や果物、歯模型そのほかの栄養成分の摂取状況と、歯周炎の改善状況の関係を調査した。 歯周炎の改善は、歯周ポケットの深さを測り、浅くなるほど改善したものとみなしており、野菜や果物の摂取状況は患者へのアンケートで調査している。 その結果、野菜や果物を積極的に摂取していた患者は、そうでない患者にくらべ歯周ポケットの深さが最大で15ミリ以上改善していた。また、野菜や果物ではなく、サプリメントなどでβカロテンやビタミンC、αトコフェロール、EPA、DHAを摂取していた人でも改善が見られた。 なお、喫煙者の場合、改善効果は見られなかったという。 発表は米国栄養学会誌「Journal of Nutrition」オンライン版に、2015年9月30日掲載された。
歯のぐらぐらに再生医療の可能性、歯周炎の損傷回復か
歯がぐらぐらになるのはいやなものだ。 歯周炎が起きて、歯を悪くする人は少なくないはず。 再生医療が注目されているが、歯のぐらぐらに使える可能性が浮上している。 中国・西安の第4軍医大学歯科保存・歯内治療学部を中心とした研究グループが、歯科分野の国際誌であるバイオマテリアルズ誌2014年11月号で報告しているもの。歯科用高圧蒸気滅菌器 歯の組織を形成する力もある 歯の周りの炎症の部分から、細胞を取ってきて、それを増やして歯の周りの再生に使おうという発想だ。 取ってくる場所は、歯ぐきの炎症(歯肉炎)の部分のほか、骨まで溶けた歯周炎の歯の神経(歯髄)の辺りになる。骨や血管の細胞になれるような幹細胞で、「間葉系幹細胞」と呼ばれるものを取ってくる。 研究グループは、若い人で起きる歯周炎で、炎症が起きている部分の歯から取ってきた幹細胞がうまく再生医療につかえるかを検証した。正常な奥歯の周囲の細胞と比べるという研究となる。 結果として、悪化した歯周炎であっても、炎症があるところから細胞を取ってきて、活用可能であると分かった。 間葉系幹細胞が存在しており、細胞を増やしていくことが可能だった。 歯の根元に細胞を移植すると、歯を形作る象牙質、歯髄の特徴を持つ組織が作られて、正常な歯から取った細胞とやや劣るものの、再生医療に使える可能性を確認できた。 自分の細胞を使った歯の再生医療には前向きな結果といえる。
歯根膜炎(根尖性歯周炎)
家庭医学館の解説 しこんまくえんこんせんせいししゅうえん【歯根膜炎(根尖性歯周炎) Periodontitis】 歯は歯根膜という約300μm(マイクロメートル)(1μmは1000分の1mm)ほどの薄い座布団のような組織によって、あごの骨とつながっています。 歯の中にある歯髄(しずい)(神経)が炎症をおこしているうちは、むし歯ないし歯髄炎(しずいえん)と呼ばれ、歯自体の炎症ですが、その炎症がおさまらず、歯根の先端(根尖(こんせん))から炎症が歯の外に出ると、歯周組織、歯根膜に炎症がおこってきます。これが歯根膜炎です。 また、かみ合わせが高かったりする場合にも、歯根膜炎をおこすことがあります。 急性の場合は、歯の根もとに相当する歯肉(しにく)(歯ぐき)を押すと痛んだり、歯が浮いた感じがしたり、かんだり歯を叩(たた)いたりすると痛むなどの症状があります。 歯髄炎の症状よりは軽いのがふつうですが、この症状は持続的で、1日の間の変化があまりみられません。 症状が進むと、あごの下のリンパ節が腫(は)れたり、頭痛がしたりします。 しかし、慢性化してしまうと、歯が浮く、かむと痛む程度ですみますが、悪い方向に進行すると、骨が破壊されて膿(うみ)の袋(嚢胞(のうほう))ができたり、あるいは膿が歯肉から出てくることもあります(瘻孔(ろうこう))。 また、歯の根に膿の袋があると、そこから細菌が血液を通って遠方の臓器に運ばれ、リウマチ熱、心臓弁膜症、急性腎炎(きゅうせいじんえん)などをおこす可能性もあります(歯性病巣感染(しせいびょうそうかんせん))。 痛くなくても、歯が浮いた感じがしたり、なにか違和感を感じたりしたときには、早めに歯科医を受診することをお勧めします。 原因となっている歯の根をよく消毒し、細菌をなくして歯髄のあった部分の空間を充填(根管充填(こんかんじゅうてん))すれば、その上に金属で土台をつくり、人工的な歯をかぶせることもできます。しかし、膿の袋が大きい場合は、原因となっている歯の根に相当する歯肉を切り、膿の袋を骨の中から取り出したり、最悪の場合は抜歯(ばっし)することもあります。