口臭、虫歯、歯周病の対策として、自宅で簡単にできる方法はないものでしょうか? 歯学博士で口腔(こうくう)衛生・口腔外科がご専門の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎先生にお話を伺いました。 ■歯ぐきの血流を促して組織を活性化 「口臭や虫歯の原因に、『歯周病』と『唾液(だえき)の不足』が大きくかかわってきます。 歯周病とは、歯の周りの疾患の総称です。 歯周病の症状には、歯ぐきから血が出る、歯ぐきが腫れる、歯ぐきが膿(う)む、歯ぐきが黒ずむ、歯ぐきが痛む、歯がぐらぐらしてくるなどがあります。 唾液(だえき)は口の中を掃除する働きがあるので、ストレスなどで唾液(だえき)の量が減ると、口臭や虫歯のもとになります」と江上先生はまず、口の中の健康について説明します。 次に、そうなることを防ぐためには、 「歯ぐきの血行を促すことが重要です。dentalzz 肩こりや腰痛も、血流が悪くなると起こりやすくなるでしょう。それと同じで、歯も歯ぐきという筋肉によって支えられていますので、血液循環を促して歯ぐきの働きを活性化する必要があります」と江上先生。 肩こりや腰痛に例えると理解しやすいですが、続いて江上先生は次のように話します。 「朝起きたとき、関節や筋肉が硬くなって痛いことがあるでしょう。歯ぐきも寝ている間に老廃物がたまり、血流などが滞ってむくみが出ます。 口腔(こうくう)の状態が悪くなると、歯ぐきの免疫力が弱ってくるのです」 歯ぐきの血行を促すには、どうすればいいのでしょうか。 「人さし指で、歯ぐきのマッサージを行いましょう。 歯ぐきには毛細血管が無数に通っています。マッサージをすると血行がよくなって、滞っている不純物を排出することができます。 歯ぐきの場合、少し刺激を加えることでそれらの効果が得られます」(江上先生) ■バスタイムに1日1回、なでるように ここで、「人さし指で歯ぐきマッサージ」の方法を教えていただきましょう。 1.手をきれいに洗う。 2.歯磨きをして歯の汚れを除く。 3.人さし指の腹で、歯ぐき全体をゆっくりとなでる。下側の左奥から中央へ向かって2~5回、右奥からも同様に。次に上側の左奥から、右奥から同様に。 4.歯と歯ぐきの境目をていねいにマッサージ。指はつまようじではないので、つめを立てて歯ぐきを傷つけないように注意しましょう。 5.歯ぐきと唇、歯ぐきと頬(ほお)の境目部分をそれぞれ2~5回マッサージ。 いずれも、刺激をし過ぎないで、なでるように優しく行いましょう。 マッサージのタイミングや回数について、江上先生はこう話します。 「いつでもいいのですが、お勧めは、『入浴タイムに1日1回』です。指や口の中の洗浄がしやすいこと、習慣化することができるからです。 湯船に浸かって手足や肩をマッサージすることがあるように、歯ぐきも行ってください。20秒~1分ぐらいでできる作業です。 また、歯周病の症状がある、口の中がよく乾く、唾液(だえき)量が少ないと感じる、起床時に口の中のねばねばがひどいなどの症状がある人は、1日に3回食後に行うなど、回数を増やすとよいでしょう」 歯ブラシを使うより、人さし指のほうがいいのでしょうか。…
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