あなたは何本ある?「歯の本数と食事の満足度の関係性」が判明
自分の歯が何本あるか数えたことはありますか? 通常、乳歯は20本、永久歯は親知らずをいれて32本(親知らず無しでは28本)あります。
しかし、むし歯が進行してしまったり、何かがきっかけで抜けてしまったり、先天的になかったりして、“通常の本数よりも少ない”という人も多くいます。
すると、食事が食べにくくなるだけでなく、全身の健康に悪影響を与えることもあるのです。
今回は、食べるために必須の器官である“歯”が健康ではないことによるリスクを、管理栄養士の筆者がご紹介します。
■1:本数によって食べられるものが変わる
食べることは生きるために大切な毎日の行動です。通常20本以上の歯があれば、イカやタコなどの噛みにくいものや、おせんべいのような硬いものも含め、ほとんどのものが美味しく食べられるとされています。
しかし、6〜17本ほどに減ってしまうと噛む事がやや難しくなり、かまぼこやおこわ、薄切りのお肉のような柔らかいものなら食べられるという状況になります。
さらに5本以下になると、バナナやうどん、ナスの煮浸しのような柔らかさでないと食べられなくなってしまいます。
実際に、歯の本数が多い人は少ない人に比べて、野菜の摂取量が多いということもわかっています。
■2:歯の本数と食事の美味しさとの関係
この歯の本数と食べられる品数との比例関係は、“食事への満足感”とも実は比例しています。
“80歳までに20本以上保とう”という厚生労働省と日本歯科医師会の取組みを進める『8020推進財団』が行ったアンケートによると、食事が「とてもおいしいorおいしい」と感じている人は、平均で約20本の歯がある人で、「おいしくない」と答える人は、平均で約11本しかない人でした。
つまり、食べたいものを食べられるのは、自分の歯があるからこそなのです。よく噛むことができ、食事も味わいながら美味しく食べられることに繋がっています。
■3:歯を失う主な原因はむし歯と歯周病
そんな大事な歯を失ってしまう主な原因は、むし歯と歯周病。
歯を不衛生にしていたり、あまり噛まないことで、殺菌力のある唾液の分泌が減ってしまったりすることで、むし歯や歯周病は悪化します。
また、むし歯や歯周病は歯を失うだけでなく糖尿病や動脈硬化、認知症やがんなど様々な病気をも引き起こしてしまいます。
日頃からよく噛むことに加え、食後の歯磨きでセルフケアを行い、少なくとも1年に1〜2回は検診を受けるようにすると安心です。
■3:噛むだけでダイエットに!今からしたい歯の健康法
満足感につながるからこそ大切にしたい自分の歯ですが、実は日頃の食習慣で歯を健康に保つために“簡単に出来ること”があります。それは、よく噛んで食べること。歯模型
“よく噛んで食べること”で得られる代表的な嬉しい効果をご紹介します。
(1)胃腸の働きを促進
食べ物をよく噛み砕いて飲み込むことで、唾液が分泌され、胃腸での効率よい消化をサポートします。
(2)味覚の発達
味わいながら食べるので、食べ物がもつ本来のおいしさを感じることができ、味覚の発達に繋がります。
(3)脳の発達
よく噛む事で、脳への血流が促進され、脳の活性化が期待できます。
(4)言葉の発達
よく噛む事で、顔の筋肉が発達し、正しい言葉の発音ができるようになります。
(5)歯の病気を予防
よく噛む事で、唾液の分泌が促され、歯周病や虫歯の予防に繋がります。
(6)全身の体力向上
よく噛む事で、噛みしめる力もつき、全身にも力が入りやすくなり、体力や運動神経が向上します。
(7)肥満の予防
よく噛む事で、満腹中枢が刺激を受け、食べ過ぎを抑えてくれます。
(8)がんの予防
唾液成分の酵素“ペルオキシダーゼ”が、発がん性を抑制する働きがあります。
これ以外にも噛むことは、私たちにたくさんの嬉しい働きをしてくれます。
いかがでしたか? 今回は歯の本数と健康についてご紹介しました。
健康に生きるためには、よく噛んで食べることも大事です。できるだけ多くの自分の歯を大切に維持して、美味しく食事を食べて健康も維持していきたいですね。