虫歯は無いはずなのに、歯がしみたり、歯に激しい痛みが起きたりすることがあります。こういった場合は、歯周病が疑われます。歯周病とは、いったいどのような疾患なのでしょうか。主な症状と痛みの原因について解説します。

歯周病とは

歯周病はかつて歯槽膿漏と言われていた病気です。歯周病は、歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)が溶けて、歯茎が赤く腫れ上がり、膿が漏れる疾患で、ひどくなると歯が抜けてしまうこともあります。初期段階では症状がほとんど見られないため、気がつきにくいのも特徴です。歯茎が腫れたり歯が揺れ始めたりして、気づいたときには、すでに重症になっていることがよくあります。歯科用エアーコンプレッサー

歯周病の症状の変化

実際に、歯周病がどのように進行していくのか見ていきましょう。

・初期の症状と状態(歯肉炎)

歯ブラシを歯茎に当てて動かしたとき、出血が見られることがあります。また、歯みがきを忘れてしまった場合に歯がうずいたり、歯茎が腫れていると感じたりするケースもあります。次第に歯の周囲に歯石がつき始めますが、初期段階では歯茎に隠れる場所に付着するため、気がつきにくいのが特徴です。歯石とは、歯垢が硬くなったもので、歯垢と違い歯を磨くだけでは取り除くことができません。歯石を取るためには、歯科に行く必要があります。

・中期の症状と状態

初期段階から数年たつと、歯を磨くと歯茎から出血するようになります。時々、歯茎が腫れることもあり、押すと膿が出ます。また、口臭が強くなるのも特徴です。

この段階になると、歯と歯茎の溝が深くなって、歯を磨くだけでは汚れが取りにくくなり、症状の進行を止めるのは難しくなります。また、初期の頃よりも深い位置に、歯石がついていきます。歯茎が退縮するため(下がるため)歯がしみやすくなります。

・末期の症状と状態

歯を噛み合わせるだけで、歯がグラグラと動きます。歯を磨くたびに出血するようになり、歯の周囲を押すと、膿がにじみ出てくるようになります。

歯周病は、進行するにつれて歯を支える歯槽骨が溶けていきます。歯槽骨が溶けると、骨の上にある歯茎が下がってきて、歯が長くなったように見えます。一度下がってしまうと、もとの位置に戻すことはできません。

歯周病の治療法

歯周病の治療はどのように行われるのでしょうか。見ていきましょう。

(1)ブラシと歯間ブラシで歯垢を落とす

初期の歯周病の場合、歯周病の原因となる細菌を口の中で繁殖させないよう、歯ブラシやデンタルフロスで歯垢をしっかり落とすことが大切です。歯垢を落とすことができれば、治療は90%終了したと言ってもよいでしょう。

(2)歯垢と唾液によって作られる歯石を取り除く

歯石の中に繁殖している細菌は歯磨きをしても取れないため、特殊な器具を使って除去していきます。歯茎の中にこびりついた歯石も取り除きます。このとき、歯茎が腫れていたり出血があったりすると歯石を取り残しやすいため、出血がない状態にしてから行います。

(3)重度の場合の外科治療

歯周病も末期となって、歯茎の入り口から歯石を取ることができない場合は、外科的な治療を行います。麻酔をして歯茎を切開し、隠れていた歯石を取り除く「歯肉剥離搔爬術(しにくはくりそうはじゅつ)」(フラップ手術)は、保険が適用されます。フラップ手術と同時に、溶けた骨を再生する「歯周組織再生療法」が行われることもあります。

歯周病は、早期発見早期治療によって進行を止めることができます。歯科医院での定期検診を受けるように心がけ、毎日正しく歯磨きを行いましょう。