8020(ハチマルニイマル)運動をご存じでしょうか。厚生労働省と日本歯科医師会が、平成元年から推進している、「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。
20本以上の歯があれば、食生活に支障がなく、ほぼ満足することができると言われる、健康寿命の基本です。
ぜひ、8020を目指したいものですが、実際には、大人の虫歯は多いのです。しかも悪いことに、大人の虫歯は痛みがない間に進行しています。油断できない大人の虫歯。どうしてこんなことが起きるのでしょうか。

やっかいな大人の虫歯

虫歯は、細菌が糖を利用して酸を作り、歯質が軟らかくし歯を溶かして崩壊させていく病気です。痛みが出て食事が取れなくなったり、睡眠を妨げたりします。原因はプラーク(歯垢)で、プラークは細菌の塊です。

大人になると、虫歯で痛みが起こる経験はあまりありません。ですから、大人になると虫歯が減ると思っている人もいます。でも、大人でも虫歯になります。それも、やっかいなことに自覚症状がないままに進行してしまいまうのです。

通常、虫歯ができると、歯神経が刺激されて痛みを感ずるのですが、大人の虫歯は、神経を防御する新たな象牙質ができてしまい、痛みが神経に届かないまま、虫歯が進行している状態になっています。(根管長測定器)
大人の虫歯ができやすい部位は、歯茎が下がってきてエナメル質で覆われていない、歯の付け根部分です。

1本抜けると、次々と抜ける!

1本の虫歯から、次々と歯が抜けていってしまう場合があります。歯が1本抜けてしまうと、それを支えていた骨が溶けて無くなり、抜けた場所の周囲の歯も、ぐらついてしまって、次々と抜けてしまうからです。

2月11日(水)放送の『ためしてガッテン』では、まだ52歳なのに総入れ歯の方が紹介されていました。30歳で奥歯が1本抜けてから、毎年1本ペースで歯が抜けていき、総入れ歯になってしまったそうです。
上の歯が抜けると、対になっている下の歯は、スペースを埋めようと伸びてきます。さらに、周囲の歯も空いたスペースに向かって傾いて、歯並びが悪くなります。このように、かみ合わせが悪くなると、虫歯や歯周病を起こす環境になり、歯が抜けていくのです。

半年に一回歯の定期健診と、毎日セルフケア

歯が抜けないようにするためにも、半年に1回、歯医者さんへ行って健診してもらいましょう。また、1本抜けた場合、それを放置せず、すぐに処置してもらうこと。
さらに、自分で歯をみてセルフチェックをすることも大事です。虫歯になると歯の色が変わります。黒くくすんできます。
毎日の歯磨きも重要です。やり方は強く磨かないこと。鉛筆を持つように歯ブラシを持ち、歯の根元に歯ブラシを当てて、歯茎が白くならない程度の強さで、ソフトに磨きます。

入れ歯の場合

自分ではキチンと合っていて問題ないと思っていても、入れ歯がすり減っていて、歯肉に負担がかかり、ブヨブヨになっていることがあります。
安定剤をつけないと外れてしまう場合は、そもそもサイズが合っていない可能性があります。また、同じ入れ歯を長期間使用していると、ずれたり歯茎がやせてきたりします。(光照射器 歯科)
入れ歯の人でも、半年に1度は歯医者さんに行って、正しい噛み合わせになるようにメンテナンスしてもらう必要があります。

南部 洋子(なんぶ ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師 株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー