歯科医が考える「いい歯科医を選ぶポイント」
いい歯科医に巡り合いたい……と思う人は多いのではないでしょうか。いっそ、歯科医に聞いてみようと、歯学博士で歯科・口腔衛生外科の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎先生に「歯科医から見たよい歯科医」についてお話を伺いました。
■治療中心系、わくわく系、専門系……タイプがある
「口コミや近所で評判の歯科医院があればまず訪れてみるとよいと思いますが、やはり、いい歯科医かどうかを決めるのは、患者さん自身です。『自分で確かめよう』と、積極的な気持ちで探しましょう」と江上先生。
「われわれの業界では、歯科医院をタイプ別に分類しています。口コミがなく探すときには、まずどのタイプの歯科医院にかかりたいかを想定してからホームページや電話帳などで探してください」と、江上先生は、歯科医院を次のようにタイプ分けします。dentalzz
・治療中心系……一般的な「歯科」。一番多いタイプ。
・わくわく系……子どもやファミリーを対象にしている。スタッフが白衣ではなくエプロンを着用したりと、歯科医院らしくない雰囲気を出している。
・専門系……「歯科」一般のほか、子どもの治療を専門的に行う「小児歯科」、親知らずを抜く、歯根のうみの袋の摘出など、手術を含めた外科的処置の技術を持つ「歯科口腔(こうくう)外科」、歯並びや噛(か)み合わせを整える「矯正歯科」、インプラントを主流に扱う「インプラント科」、口臭を気にされる方を対象とした「口臭外来」など、専門性を掲げている。
・予防系……歯周病予防に力を入れている。定期的に美容院感覚で通う人が多い。自費診療。
・審美系……歯と口の美を追究し、美容目的の整形を行う。自費診療。
・エンド系……根管治療に特化。抜歯をせずに、完全無菌状態で歯の神経が入っていた管(根管)、または歯根部の嚢胞(のうほう。分泌液がたまり袋状になったもの)の治療を行い、歯の保存を目的とする。自費診療。
江上先生は、こう説明を加えます。
「それぞれの専門に特化している場合と、複数の専門科を掲げている医院とがあります。歯科口腔外科は大学病院や総合病院にはありますが、個人のクリニックでは全体の1割ぐらいでしょう。審美系は都会に多いタイプです。
具体的には、例えば、『親知らずに虫歯ができた。どうも抜いた方がよさそうだ。仕事が忙しい』場合は、ホームページで、『職場から通いやすい距離で、歯科口腔外科を専門にしている医院をピックアップする』と探してみましょう」
■治療予算を相談できる医師を見つける
次に、訪れたときのチェックポイントについて、江上先生に教えていただきましょう。
・初診時、いきなり訪れるのではなく、電話をして、「歯ぐきのうずきが市販の鎮痛薬を3日ほど飲んでも治らないのですが、診てもらえますか」などと、症状を具体的に伝えてください。その対応によって訪れるかどうかを判断します。
・受付のマナーが良い、全体に明るい雰囲気というのは、感じが良いだけではなく、経営に余裕があり充実したスタッフ教育を反映していると考えられます。
・ある程度新しい設備がそろっていること。治療時間や治療中の痛みなど、患者さんの負担を軽減します。
・いきなり治療を始めず、治療方法について説明をしてくれるかどうか。また、質問がしやすい雰囲気であるかどうか。患者さんが急いでおられたとしても、医師はきちんと説明をして同意を得てから治療にかかるべきです。
・治療の予算を聞いてくれるかどうか。聞いてくれつ場合は、予算内で最大限の治療効果について考えてくれるでしょう。自費診療の場合は価格表示がされているかどうかも重要です。
・子どもや学生、高齢の患者さんが多いと、優しく丁寧な治療を心がけているのだな、と推察できます。
・清掃が行き届いている、薬のにおいが充満していない(空気清浄ができている)、スリッパが抗菌であるなど、院内の清潔度合いを見ます。清掃状態は、感染症の予防から、クリニックとしての心構えが反映されています。
ありがとうございました。
これからは積極的にこれらをチェックし、自分に合うかかりつけの歯科医を自らの判断で見つけたいものです。