意外と知らない? 虫歯の常識にはこんなに個人差が!
ズキズキと痛くなったその時は「すぐ歯医者さんに行こう」と思うのだが、しばらくして痛みが治まると「今度でいいや」と後回し。でも、放っておくと歯が抜けたり、死に至る病気になることも…。
実は、最新の虫歯&歯周病治療はちょっと前とは大違い。「歯の病気」の最前線を知って、今年からは虫歯知らずの人生を送ろう!
甘いもので虫歯になるわけではない!? 意外と知らない虫歯の基礎知識を「つじむら歯科医院」の辻村傑理事長に聞いた!
Q. 甘いものを食べると虫歯になりやすいのはなぜ?
A チョコレートやおまんじゅうを食べたからといって、虫歯になりやすいわけではないんです。
―えっ、そうなんですか?
もう少し虫歯になるプロセスを説明しましょう。食事をすると口の中は酸性になります。永久歯の場合、口腔(こうくう)内のpH値が5.5を下回り酸性に傾くと、歯の表面からミネラル分(カルシウムやリン)が溶け出して、脱灰(だっかい)という虫歯の初期状態になります。
しかし、しばらくするとpH値が5.5を上回ってアルカリ性に戻って、歯の再石灰化が始まり、溶け出したカルシウムやリンが歯質に取り込まれ、健康な状態に戻します。
―戻るんですか!
はい。それで、朝・昼・晩と食事をすると、これが3回繰り返される。しかし、間食をしたり、砂糖入り飲料を飲み続けていると口の中が長時間酸性になり、再石灰化が起こらず虫歯が進行するんです(図参照)。
ですから、正確には「甘いもの=虫歯」ではなくて、「間食の多さ」が虫歯リスクを高めます。
Q.口の中の虫歯菌の量は個人差が?
A 我々は、唾液(だえき)1mℓの中に虫歯菌(ミュータンス菌)が10万個未満の人を「レベル0」、10万個から50万個未満を「レベル1」、50万個から100万個未満を「レベル2」、100万個以上を「レベル3」と分けています。そして、レベル3の人はレベル0の人に比べて虫歯になるスピードが非常に速いです。
Q.毎食後、すぐ歯磨きをするべき?
A よくされる質問ですが、これは個人個人の口内を調べてみなければわかりません。
―なぜ?
食後に口内がすぐにアルカリ性に戻る人もいれば、酸性の状態が長く続く人もいるからです。すぐにアルカリ性に戻る人は、その時、再石灰化が行なわれ歯が硬くなろうとしているわけですから、その状態の時に研磨剤の入っている歯みがき粉で歯を磨くべきではありません。歯科診療ユニット
一方、長く酸性の状態が続く人は食後すぐに歯みがきをしてアルカリ性に戻すことが必要です。だから、自分の口内環境に合った歯みがきが大切です。ちなみに、口内細菌をよくコントロールしているフィンランドの人は1日の平均歯みがき回数が0.9回なんですよ。
―自分の口内環境を知る方法なんてあるんですか?
唾液検査をすれば、自分の口内環境がわかります。唾液検査は保険は使えません(保険は治療にしか使えないので)。検査自体の費用は3千円から4千円程度です。唾液検査は、自分の口内環境を知る上で、とても大切な検査なので皆さんに受けていただきたいですね。
また、会社などで昼食後に歯を磨いている人には朝に使った歯ブラシを乾燥させずにケースに入れ、昼も使う人がいます。しかし、これだと朝、歯ブラシについた虫歯菌が昼までに繁殖し、その大量の虫歯菌をまた口の中に入れることになる。一度使った歯ブラシはきれいに洗い、必ず乾燥させてから使うようにしてください。
◆この続きは、『週刊プレイボーイ』5号(1月18日発売)「今年こそ治すぞ!! 『歯医者』と『歯みがき』最前線」でお読みいただけます。