歯科インプラント、表面加工が意外と難問
歯科分野のインプラントの課題は、歯肉の炎症や骨への癒合などが考えられる。インプラントがはずれる悲劇は避けたい。
いかに問題を抑制し、定着させるかは大切。表面の加工方法として、旋盤や細かい砂で磨いたり、酸で加工したり、鉄の粒子で研磨したりなどの方法がある。旋盤や細かい砂で磨く方法は分が悪いようだ。
炎症の起こしやすさ、骨への定着など課題
カナダのトロント大学の研究グループが、歯科分野の国際誌であるジャーナル・オブ・バイオメディカル・マテリアルズ・リサーチ・パートAで、2014年6月に報告している。
インプラントの材料になる6種類の異なる加工をしたチタンと一緒に、歯肉の細胞を培養して、炎症に関係する物質サイトカインの発生を調べた。すると、細かい砂で磨く処理サンドブラスト仕上げと旋盤仕上げのインプラントでは、他のインプラントよりサイトカインが増えた。
もっとも表面の加工の仕方としては、表面が粗いほうが骨と固着しやすい側面もある。仏ナント大学の研究グループが2007年に歯科分野の学術誌であるデンタルマトリアルズ誌に報告したところによると、表面の粗さは安定性につながると説明。リン酸カルシウムコーティングをはじめ、チタンの粉末を溶融させながらコーティングするプラズマ溶射、鉄の粉末を使うグリットブラスト、酸で加工するエッチング、電気で処理する陽極酸化処理などを検討している。歯科矯正器具
この報告ではインプラントの表面加工の方法について標準化が必要だと強調していた。2014年に至って冒頭のような研究は続いており、依然として課題は解決していないと見ていいわけだ。
骨への刺激性や炎症の起こしやすさなどの観点から、いい答えが今後出てくるのだろう。