歯ぐきからの出血は全身の健康が損なわれていく危険信号
歯ぐきからの出血、誰でも体験したことがあると思います。一時的な出血はそれほど問題ないことが多いですが、頻繁に出血する場合は要注意です。なぜならこの出血は全身の健康状態がまさに損なわれていっているシグナルである可能性が高いからです。
歯ぐきの出血はほとんどが歯周病
歯ぐきの出血を起こす原因としてはほとんどの場合が歯周病だと言われています。
歯周病は歯肉炎と歯周炎に分けられます。
歯肉炎:歯ぐきだけの炎症にとどまっている状態で、子供でも歯磨きを怠ると多くがかかる可能性があります。
歯周炎:感染が進み、歯を支えている骨まで溶けてきている状態。進行すると歯を失う原因となります。
また、次のものも歯周病の範疇に入ります。
・大きく穴のあいた虫歯や、大きく開いた歯と歯の間に物が詰まることによる歯ぐきの炎症
・ぴったりと合っていない詰め物やかぶせ物が引き起こす歯ぐきの炎症
→歯ぐきの位置まで及ぶ詰め物やかぶせ物に段差があったりすると、そこが不潔な状態となり、歯ぐきの炎症を常に起こすことになります。
・妊娠性歯肉炎
・親知らずの歯ぐきの炎症
歯ブラシを24時間しないと、またはしていてもきちんと汚れが取れていない場所がある場合、細菌が歯垢を作り出し、歯ぐきの炎症を引き起こし出血しやすくなります。
歯周病は歯を失う危険性があるばかりでなく、心臓病や糖尿病、脳梗塞、誤嚥性肺炎、早産・低体重児出産、腎炎、メタボリックシンドロームなど多くの全身疾患を引き起こすことが分かっています。
また、とくに歯周病を起こしていない歯ぐきでも次の場合には出血することがあります。
■強すぎる、または硬すぎる歯ブラシによるブラッシング
歯ぐきの炎症がない場合でも、あまりに硬いブラシや強すぎる力でブラッシングすれば
出血します。また、間違ったフロスや歯間ブラシの使い方でも出血します。
■抜歯後数日間の出血
抜歯後数日は、一度血が止まったと思っても再出血してくる場合があります。
歯ぐきの出血が重大な病気のサインである場合も
それほど多くはありませんが、重大な全身疾患の一症状として歯ぐきの出血が起こる場合があります。その場合は他の症状も併発することがほとんどです。歯科用エアーコンプレッサー
①白血病
血液のガンです。
歯ぐきの腫れもなく、歯をきれいに磨いているのにもかかわらず血が止まらない、鼻血やアザが良くできるなどの症状がでます。他には、高熱、倦怠感、リンパ節の腫れなどの症状も出ます。
②血友病
血液を凝固させる成分が生まれつき欠損、または低下する病気で、歯ぐき、鼻からの出血が症状としてよく見られます。
③血小板減少性紫斑病
血液の成分の一つ、血小板が減少することによる為に起こります。歯ぐき、鼻の出血、手足にあざができやすいなどの症状が出ます。
④再生不良性貧血
骨髄の血液をつくる能力が落ちるために起こる病気です。歯ぐきや口の中の粘膜から出血することがあります。また、粘膜が壊死してしまうこともあります。
⑤ネフローゼ症候群
幼児に起こることが多く、歯ぐき、鼻からの出血、瞼や脚のむくみ、傷の治りが遅いなどの症状がでます。
その他の原因によるもの
■ビタミン欠乏症
ビタミンD、C、Kが欠乏すると出血しやすくなります。先進国ではあまり見られません。
■抗凝固剤の服用によるもの
血液の流れをよくする薬であるワーファリンやアスピリン(商品名では小児用バファリンなど)を服用している場合も血が止まりにくくなり、歯ぐきからの出血が止まりにくくなります。
まとめ
歯ぐきの出血は多くの場合何らかの病変がある場合に起こります。と、いうことは放置していて治るものではないということです。出血がある場合はまずは歯周病を疑いブラッシングを念入りに行ってみて、それでも出血が続くようであれば歯科を受診してみてください。