口臭を防ぐためのオーラルケア

マルセル・プルーストという作家の代表作である『失われた時を求めて』は、紅茶にマドレーヌを浸した時の香りが幼少時の記憶を呼び覚ます、という書き出しで始まります。
それと同じように、匂いというものは人の心を理屈ではなく感情で揺さぶるものです。
良い匂いがする異性は凄く魅力的に思えますし、どんなに顔の造形が整っていてもドブ川のヘドロが煮詰められたような臭いがしている異性には近づきたくないものです。高圧蒸気滅菌器
このように、匂いは人への好感度や印象を大きく左右します。特に口臭は親しい関係になる上での最大のネックになるのです。

口臭の原因とは何か?
口から臭う口臭の原因には、いくつかありますがその多くが身体の中に原因があるものです。

生理的口臭
生理的口臭とは、生理的な現象の結果に発生する口臭で病気を原因にしているものではありません。
例えば、寝起きで口内が乾燥しているとか、ニンニクやキムチなどの臭いが強い物を食べたとか、たばこを吸った後だとか、臭い玉が喉の奥に出来ているといったことが理由になって発生しているものです。
そのため、食事の後や起き抜けの時は生理的口臭が強く感じられることがあります。

病的口臭
病的口臭は、虫歯や歯周病、消化器系の病気、蓄膿症、糖尿病などの病気が原因となって起こる口臭です。病的口臭には病気の代表的な症状として起こる場合があり、糖尿病ではアセトン臭と呼ばれる独特の饐えた臭いが患者から感じられます。
病的口臭では、幾ら口内を綺麗にしていても、病気そのものが原因になっているから病気を治療しない限りは口臭の改善はありません。

思い込みが生み出す口臭
口臭が酷い、ということはそれだけで人間性まで否定されるマイナス要素になりうるため、「自分の口臭で周りの人が迷惑しているのではないか」と思い込んでしまう人も少なくありません。
このように、心配性であったり、思い込みが強かったりする人は実際には臭っていないにも関わらず「自分の口臭は酷い」と思い込んでしまうのです。このような状態を「口臭恐怖症」と言います。

口臭恐怖症は実際に口臭が伴わないので、医師の検査を受けても「不快さを感じるような口臭はない」という診断結果が出るものの、患者本人は「自分が傷つかないように嘘をついているんだ」と思い込んでしまうことが往々にしてあります。

また、自分には口臭が感じられるものの他人には口臭が感じられない「仮性口臭症」というケースもあります。口臭恐怖症は臭いを自分で感じられず、仮性口臭症は自分だけが臭いを感じるという違いがありますが、線引きが難しいのがネックです。

口臭を防ぐにはどんなオーラルケアが有効?
病的口臭の場合は、原因となる病気を治せば根治治療に繋がりますが糖尿病のように一生付き合っていかなければならない病気もあります。
一方、生理的口臭の場合は毎日のオーラルケアをしっかり行うことで予防・改善が期待できます。

毎日の歯磨きで歯垢除去する
生理的口臭の原因の一つであり、歯周病の元となる歯垢は歯の隙間などに残った食べカスに細菌がついて増殖し発生するものです。
食べカスや歯垢を除去するためには、毎日の歯磨き習慣が大事になります。通常の歯ブラシは歯の表面や裏側はともかく、歯の隙間までは届かないのでデンタルフロスや歯間ブラシを使って歯の隙間を掃除するようにすることが大事です。

マウスウォッシュで臭いをカット
歯磨きをしっかり行って歯垢や口臭を除去することは大事ですが、頻繁に歯磨きを行うと歯の表面が歯磨き粉に含まれる研磨剤やブラシで傷ついてしまい、逆に虫歯を引き起こす恐れがあります。
食事の後や人と会う前には、短時間で歯磨きと同等の消臭効果が得られるマウスウォッシュで口を濯いでおくのが大事です。

寝る前に水分補給する
生理的口臭の原因の一つには口内の乾燥があります。つばを手などに付けて乾かすと臭い、という遊びを子供の頃にやったことのある人ならわかると思いますが、唾液は乾燥するととても臭います。
寝ている最中は口を開けっ放しにしてしまうため、口内が乾燥して口臭を発生させる原因になってしまうのです。

口内の乾燥防止のためには、寝る前にコップ1~2杯程度の水分補給が大事です。水分を取りすぎるとトイレが近くなって睡眠時間が短くなるので、飲みすぎないように注意しましょう。