日本でも「メタボ」という言葉が定着するようになって久しいですが、実はメタボが歯周病と密接に関係していることをご存知でしょうか。

そもそも「メタボ」とはお腹周りに内臓脂肪がかなりつき、ウエスト周囲径が男性で85㎝、女性で90㎝以上あり、さらに

1:血中脂質異常
2:高血圧
3:高血糖

の3項目のうち2つ以上に異常所見が見られる状態のことを言います。 血液と肥満が関係していることは近年ではよく知られていますが、どうして口の中の病気にまで関わってくるのでしょうか……?そのメカニズムをご説明します。

歯周病とメタボの関係

歯周病の原因菌がメタボを誘発するマイクロモーター歯科

歯周病の原因菌がもつ毒素「LPS」や、それによって作られる「TNF-α」と呼ばれる物質は、脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、血糖値を上昇させると言われています。そしてこれらが内臓脂肪を基盤とするメタボに大きく関わってきて、脳卒中や心筋梗塞の危険性が高めてしまうのです。

また、 重度に進行した歯周病は慢性的に炎症を起こしているような状態なのですが、炎症が起こると体内で「CRP」というタンパク質が合成されます。そしてこの「CRP」体内に多いほど、将来に動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高くなるというデータがあります。

逆に糖尿病が歯周病のリスクを高めることも

先ほどとは逆で、メタボの判定基準にひっかかる項目が多いほど、歯周病のリスクが高くなるという研究結果もあります。

例えば、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ、歯周病の発症率が2.6倍も高いというデータがあります。さらに、脂肪組織から分泌される「TNF-α」により歯槽骨吸収が促進されて、歯周組織を破壊するという報告も出ています。

つまり、歯周病とメタボは相互に関連して悪影響を及ぼしているということです。
歯周病は悪いことだらけ!

最近では「歯周病が老化を促進する」という論文も出てきているほど、歯周病と健康の関連性について注目されています。歯周病の予防とともに、メタボにならないよう普段から規則正しい生活を送るよう心がけましょう。