エナメル質齲蝕

虫歯が歯の表層―エナメル質にとどまっている状態です。この段階では、痛みをまったく感じません。非常に浅い虫歯なので、抜髄の必要はありません。虫歯になった場所を削り、コンポジットレジン(歯科用プラスチック樹脂)を詰めれば、完了です。

象牙質齲蝕

象牙質に達した虫歯は、「冷たいもの」「甘いもの」を食べたときにしみることがあります。ただ、何もしなくてもズキズキ痛む…ということはありません。虫歯と歯髄の距離が2mm以上なら、削って詰め物を入れるだけで治癒します。虫歯と歯髄の距離が2mmより短い場合、歯髄を保護する薬剤を入れてから詰め物をすることになります。やはり、抜髄の必要はありません。(ハンドピース

歯髄の仮性露出

歯髄炎を起こした虫歯は、何もしなくてもズキズキと痛みます。この痛み方を「自発痛」と呼んでいます。この状態になると、神経を保存するのは困難です。局所麻酔下で抜髄をおこない、「神経を抜く治療」をします。

抜髄が終わったら、「根管治療(歯内療法)」をおこないます。「ファイル」「リーマー」と呼ばれる針状の器具で、歯髄腔と根管をきれいに掃除します。虫歯菌に感染した箇所を除去して、歯の内部を無菌化するのです。再感染を防ぐために「ガッタパーチャポイント」「MTA」などの薬剤を充填して、最後にかぶせ物(または詰め物)で歯を覆います。

残根

あまりに悪化すると、歯医者さんを受診した時点で、歯髄が死んでいることがあります。神経がないので、すでに痛みを感じることもありません。歯髄が死んだばかりなら「感染根管治療」で歯を救えることもありますが、多くの場合は抜歯となります。