歯冠
歯本体のうち、歯茎より上の部分を指します。外側はエナメル質で覆われ、その内側に象牙質があります。

歯根
歯本体のうち、歯茎に隠れている部分を指します。歯根にはエナメル質が存在せず、表面はセメント質という層に覆われています。セメント質の内側には、歯冠と同様に象牙質が存在しています。(歯科診療ユニット

表面のエナメル質・セメント質が何らかの理由で削れると、象牙質が露出することになります。問題は、この象牙質の構造です。象牙質には象牙細管と呼ばれる無数の穴が存在しています。そして、象牙細管は「象牙質の表面」から「歯髄」の方向に、まるで細いトンネルのように存在しているのです。

 

以上から、エナメル質・セメント質は象牙細管の表面に蓋をする役割を負っていたことになります。エナメル質・セメント質が削れるということは、「象牙細管の入口を塞ぐものがなくなること」を意味します。

ここで問題になるのは、象牙細管の中身です。象牙細管の内側には、組織液と呼ばれる液体が入っています。そして、組織液は「温度が上がると膨張し、温度が下がると収縮する性質」があるのです。

結果、冷たいものが象牙細管の入口に触れると、象牙細管内の組織液が収縮し、体積が小さくなります。組織液の体積が小さくなると、象牙細管内の圧力がさがり、歯髄に「引っぱる方向の力」が働きます。その結果、歯に痛みが走るのです。