美しい口元に!歯科医が教える「歯磨き粉を選ぶポイント」とは?
こんにちは!歯科医師の中嶋麻優子です。 みなさんは、ハミガキ粉を選ぶとき、何を基準に選んでいますか? たくさんあって何を選べばよいか分からない方も多いのではないでしょうか。 今回は意外と知らない「ハミガキ粉を選ぶ時のポイント」について詳しくお話ししていきたいと思います。
1.ハミガキ粉の主な成分
ハミガキ粉に含まれる主な成分には次のようなものがあります。
○湿潤剤 適度な湿り気を与える。グリセリン、ソルビトールなど。
○清掃剤 歯の表面を傷つけずに汚れを落とす。無水ケイ酸、炭酸カルシウムなど。
○発泡剤 泡立たせることでお口の中にハミガキ粉を拡散させ、汚れを除去する。ラウリル硫酸ナトリウムなど。
○香味剤 爽快感を与える。サッカリンナトリウム、メントール、ミントなど。
○粘結剤 成分が分離しないように適度な粘り気を与える。カルボキシルメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンなど。
○薬用成分 個別の疾患を予防する。薬用成分が配合されているハミガキ粉は医薬部外品扱いになる。
薬用成分はたくさんあるので、詳しくは次の章で説明していきたいと思います。
2.薬用成分にはどのようなものがあるの?
医薬部外品のハミガキ粉には、歯肉炎や歯周病、虫歯、知覚過敏など、それぞれの疾患の予防に効果的な成分が配合されているので、目的に合ったハミガキ粉を選ぶようにしてください。
まず、歯肉炎、歯周病の予防として配合されているのはβーグリチルレチン酸、酢酸トコフェロール、サリチル酸メチル、塩化ナトリウム、イソプロピルメチルフェノールなどです。 歯肉炎は、歯周病になる前の「歯茎が腫れてしまっている状態」のことをさすので、歯肉炎予防のハミガキ粉を使って、歯茎を優しくマッサージしながら磨いてあげることで、症状をやわらげることができます。なお、出血が見られる場合にはトラネキサム酸が含まれるハミガキ粉を使用することをオススメします。
また虫歯予防としては、フッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムなどの成分が配合されています。 これらの成分はいわゆる「フッ素」といわれるもので、虫歯予防だけでなく歯の再石灰化を促す作用もあります。市販のハミガキ粉の90%に配合されているので、みなさんが使っている歯磨き粉にも含まれているのではないでしょうか。
そして、知覚過敏の予防のためには、乳酸アルミニウムや硝酸カリウムが配合されているハミガキ粉がオススメです。 これらの成分が象牙細管を封鎖し、刺激の伝達を遮断してくれるんです。 (ルートキャナルメーター)
さらに、プラークの分解にはデキストラナーゼ、歯石沈着の防止にはポリリン酸ナトリウムが効果的です。
3.薬用成分の効果を十分に発揮させるためには?
歯ブラシにハミガキ粉をつける際は、必ず歯ブラシが乾いた状態でつけるようにしてください。 歯ブラシを湿らせてしまうと、せっかくの薬用成分がお水で薄まってしまい、効果が軽減してしまうんです。 さらに、歯ブラシを湿らせると素早く泡立つため、短時間で「磨いた感」を得られる割に、汚れや細菌がしっかり落とせていないことがあります。
また、歯磨きの後に口をすすぐ際も、すすぎすぎないようにしてください。 配合されている薬用成分が洗い流され、お口の中に残らないため、せっかくキレイに磨いてもハミガキ粉の効果が台無しになってしまいます。ですから、お口をすすぐ際はほんの少しのお水で、一回すすぐくらいを目安にしてくださいね。
4.本当にハミガキ粉でホワイトニングができるの?
最近は、ホワイトニング効果をうたったハミガキ粉がたくさん販売されています。 これらのハミガキ粉には、薬用成分のポリエチルナトリウムやポリリン酸ナトリウムが含まれています。ここでいう、ホワイトニングというのは、歯に付着した歯の着色やステイン、たばこのヤニなどを落とすことを指します。 歯磨き粉で汚れを落とすことは出来ますが、もともとの自分の歯の色よりも白くすることはできません。 ですから、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングの効果を維持するために使用することをオススメします。
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