歯が一部白い?!ホワイトスポットの原因とホワイトニングの注意点
歯の一部が白くなる状態のことを、ホワイトスポットと呼びます。これはなぜできるのでしょうか。また、歯のホワイトニングによってできることもあるのでしょうか。
ホワイトスポットとは
ホワイトスポット(白斑)とは、歯の表面にできる白いシミのような斑点で、エナメル質形成不全の一種です。エナメル質石灰化不全症とも言います。歯科ホワイトニング照射機器
エナメル質形成不全の原因
エナメル質形成不全は、エナメル質が形成される8歳くらいまでの間に、下記のような影響を受けることで歯の成長が一時的に阻害されて起こります。
・栄養不足
・高熱をともなう肺炎などの疾病
・外傷
・フッ素濃度の高い飲食物を過剰に摂取(主にフッ化物濃度が高い地域の水道水など)
このほか、遺伝性のものもあります。
生えてきた永久歯に、表面が凸凹、穴がある、欠け、あめ色や白濁などに変色といった現象がみられますが、歯の一部が白いシミのようになったホワイトスポットは症状が軽い部類に入ります。形成不全(石灰化不足)を起こした部分はエナメル質の構造が非常に柔らかく虫歯を起こしやすいので、普段のお手入れが重要となります。
このほか、成長した歯であっても強い酸などによってエナメル質のカルシウムが溶け出し、ホワイトスポットができることもあると言います。たとえば、甘いものばかり食べていると、虫歯菌のひとつであるミュータンス菌が糖から強い酸を作り出し、この酸がカルシウムを溶かすことがあります。
ホワイトスポットの対処法
一度ホワイトスポットができると、これを簡単になくすことはできません。少しでも目立たなくする方法には、以下のようなものがあります。
歯のホワイトニング
小さく軽度なホワイトスポットの場合、それ以外の歯をホワイトニングしてホワイトスポットと似た色にすることで白いシミを全体に馴染ませ、目立たなくすることができる場合があります。
※ホワイトニングについて、詳しくは『歯のホワイトニングとは?歯を白くするメカニズムと治療の歴史、安全性』をご覧ください。
歯のマニキュア
一時的に目立たなくさせたい場合は、爪のマニキュアのように歯の表面に白いコーティング剤を塗布する方法もあります。この効果は、市販のマニキュアの場合は1日、歯科医院で行ってもらう場合は約1か月間持続します。
※歯のマニキュアについて、詳しくは『差し歯、銀歯を白くできる!歯のマニキュアとは』をご覧ください。
コンポジットレジン(CR)充填・ダイレクトボンディング
ホワイトスポットの部分を削り、虫歯治療時の詰め物でも使われる歯科用プラスチック「コンポジットレジン」を詰める方法です。歯の色と似たレジンを選び、隙間ができないよう美しく充填するには、歯科医の高度なテクニックが必要です。また、レジンは経年劣化で変色するため、後々のアフターケアも重要になります。
ラミネートベニア
歯の表面全体をごく薄く削り、セラミックの人工歯(これもごく薄い)を強力に接着する方法です。ホワイトスポットはきれいに見えなくなります。
※詳しくは、『ホワイトニング、セラミック治療の違いと特徴』をご覧ください。
マイクロアブレージョン
ホワイトスポットの部分を、特殊な薬剤を使って研磨することで、ごくわずかに(0.3mmほど)削る方法です。ホワイトスポットが浅い場合は、これだけで消失することもあります。深い場合は完全に消すことはできませんが、白いシミを以前より目立たなくすることができます。
ホワイトニングでホワイトスポットができる?
ホワイトニング剤の成分である過酸化水素や過酸化尿素には強い漂白作用があり、エナメル質のカルシウムをわずかに溶かします。これを「脱灰」と呼びますが、たとえば、レモンや炭酸飲料、梅干しなどの酸が強い(pH5.5以下)食品を口にしたときにも起こる現象で、口の中が中性に戻れば唾液のなかのミネラル分が自然に歯の表面に付着して元通りになります。これを「再石灰化」と呼びます。
ホワイトニングの場合も治療後1時間以内にはカルシウムが戻る再石灰化が起こるため、ホワイトニングによる脱灰によってホワイトスポットが起こることはありません。
ただし、ホワイトニングを行うことで、もともとあったホワイトスポットが目立ってくることがあります。ホワイトスポットの白さが濃くなることもありますが、通常は24~48時間で落ち着いてきます。
ホワイトニングの注意点
歯科医院で行うオフィスホワイトニングも、自宅で行うホームホワイトニングも、歯科医師や歯科衛生士の指導のもとで行う分には安心ですが、ネットなどから自分で購入して独自に行う際には注意が必要です。海外製品の中には高濃度の酸が含まれていることもあり、歯を溶かしたり、歯茎に炎症を起こしたりといったダメージを起こすことがあるからです。
また、ホームホワイトニングで使用するマウスピース(薬剤を塗布して歯にはめる)は、基本的に歯科医院で自分の歯の型を取って作ってもらいます。しかし、たとえばホワイトニング剤に付属する既製品を使ったり、自分で作った簡易的なものを使うと、薬剤が歯からはみ出し飲み込む量が多くなるといったリスクもあります。
さらに、ホワイトニング直後に酸性の食品を摂ると、脱灰がさらに進んで再石灰化が遅れるため、注意が必要です。たとえば、レモンなどの柑橘系フルーツや飲料、コーラなどの炭酸飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ビタミンCやクエン酸が入ったもの、酢や酢を使った食品、梅干し、タバスコ、ケチャップ、ソース、ヨーグルト、乳酸飲料、白ワイン、赤ワイン、ビール、発泡酒など。ホワイトニング後1時間は絶対口にしないようにしましょう