タバコがインプラント治療に及ぼす影響について
タバコがインプラント治療に及ぼす影響について解説します。
タバコとインプラント治療の関係について
インプラント治療が失敗する原因として、タバコが大きく関係していることは、データによって明らかになっています。研究によって数値がさまざまではあるものの、タバコを吸う人のインプラント治療における失敗数が、吸わない人と比べて3.7倍も高まるという結果や、失敗率が10%も上がるという報告もあります。
タバコがインプラント治療の失敗原因になる理由
タバコがスムーズなインプラント治療を妨げる主な原因は、タバコに含まれるニコチンと一酸化炭素です。ニコチンで歯茎の血流が悪くなり色が黒ずんでくるだけでなく、一酸化炭素によっても血流の阻害が起こり、あごの骨や歯肉に酸素が十分に行き渡らなくなります。そのため、インプラントを支える骨や歯周組織が弱り、インプラント自体が外れやすくなってしまうのです。
また、ニコチンと一酸化炭素の影響を受けて血流が悪化すると、だ液の分泌量も低下します。これにより、口の中の細菌が増えて歯周病やインプラント周囲炎にかかりやすくなります。さらに、インプラント手術後の傷も塞がりにくくなり、まさにタバコはインプラント治療にとって「百害あって一利なし」の存在と言えるでしょう。
インプラント治療をきっかけにぜひ禁煙を
通常、インプラント手術を受けたあとは、2週間ほどかけて傷口が塞がってきます。この期間、タバコを我慢できると理想的ですが、それが難しいようであれば手術から少なくとも1週間は禁煙をしたほうがよいでしょう。
5年、10年といった長いスパンでインプラントの経過観察をすると、タバコを吸っている患者さんのインプラントの予後はあまりよいとは言えません。また、タバコを吸っている患者さんは、歯肉が腫れやすく、インプラントの周囲の骨も減少してくる傾向にあります。タバコを吸う方は、特に入念な歯磨きを心がけ、食べカス、プラーク(歯垢)、歯石が歯に蓄積してしまわないように、口内環境の改善を心がけましょう。歯科用ルーペ
手術後の良好な経過とインプラント本体の寿命を延ばすためにも、ぜひインプラント治療をきっかけとして禁煙されることをおすすめします。