金属アレルギーがある方は、歯の治療で使われる金属にも不安を抱えているのではないでしょうか。多くの歯科医院で初診時の問診票で金属アレルギーの有無を確認していますが、アクセサリーなどで少しでもアレルギー症状が出た経験がある方は、必ず担当の歯科医師に伝えてください。今回は歯科治療で考えられる金属と代替素材について解説しますので、不安なく治療を受けるための参考にしてください。
アレルゲンは体にとっては異物なので、体を守ろうとするために過剰な反応をする。これが金属アレルギーです。歯科での金属アレルギーは年々増えているとも言われています。

歯科の金属では、口腔内に症状がでる場合は、局所性のアレルギーで、口の粘膜がただれたり、舌に苔のような白い汚れがついたり、舌がまだら模様になるといった症状がでてきます。
1 詰め物・かぶせもの(銀歯・クラウン・インレー)
一般的には、ニッケル、コバルト、クロム、スズ、チタンなどがあり、多くはその2種類以上の金属を混ぜ合わせた「合金」が使われています。
2 差し歯(コア)
歯の神経を取る、大きな虫歯になった時、歯の真ん中にある神経を取り除く治療がされます(根管治療)。
その時に、空洞になった真ん中に、差し歯をいれて、歯の補強を行っています。その時、歯の補強のために入れる差し歯の材料が金属を使用しています。
3 インプラント
インプラントには「チタン」という金属を使用しますが、チタンは「アレルゲン」に変質しにくいため金属アレルギーを引き起こしにくいともいわれています。
チタンは強度も安全性もあり、航空機用にも医療機器にも幅広く使われている地球上に存在する元素のひとつです。
4 ブリッジ
ブリッジも基本的には、銀歯、クラウン、インレーと同様です。
ただし、ブリッジの場合は3本分の歯を金属のかぶせもので代用することになりますので、他の治療と比べて、お口の中に金属が入っている割合は高くなります。
5 歯列矯正
矯正治療の装置にも金属は使用されています。
かぶせものと同様に、ニッケル、コバルト、クロム、チタンなどがあり、多くはその2種類以上の金属を混ぜ合わせた「合金」が使われています。
アレルギー症状のある方や見た目を気にされる方のために、白いセラミックを使用した矯正治療が主流となっています。
6 入れ歯
歯の詰め物以外にも入れ歯に金属は使われています。たとえば、部分入れ歯のバネの部分や、上顎全体に金属を使うタイプの入れ歯もあります。
パッチテストを実施し、アレルゲンが歯科材料からでていることが判明したら、その原因となった金属を除去します。
そして、アレルゲンフリーの材料のオールセラミック スへ交換治療を行います。
多くの歯科医院で、問診票で金属アレルギーがあるかどうかお伺いしております。アクセサリーなどでアレルギー症状が少しでもでた経験のある方は、治療の前に必ず歯科医師に申し出ましょう。
また、歯科医療で使われる金属も日々改善されています。治療をして、10年、20年経過している被せ物は、歯科医院で確認してもらい、必要ならば金属アレルギーが出る可能性の低い最新の医療材料でかぶせ直しの治療をすることも不安の解消になると思います。印象材錬和器