ある日突然起こる歯の痛み、憂鬱になりますよね。痛みの種類は鈍いものからずきずき鋭いもの、刺激した時のみ痛い場合や常に痛い場合と様々ですが原因も虫歯にとどまらず全く違うところからきている場合もあります。ここでは歯の痛みとして考えられる原因、病気、またそれぞれの痛みの特徴について、歯科医師・岸本 佐智先生による監修記事でご説明します。

歯が痛くなる原因、病気はこんなにある

① 虫歯

一番真っ先に考えるのが虫歯でしょう。歯に穴が開いていたり欠けていたり、黒くなっている、または詰め物が取れている場合は自分で判断がつきやすいですが、歯と歯の間の虫歯、詰め物の下で進行している場合はなかなか自分では分かりません。

② 歯髄炎

① の虫歯が進行して中の神経が炎症を起こした場合です。

③ 根尖性歯周炎

根っこの先端に炎症を起こして膿をもった状態です。根っこの管の中の感染が原因で起こります。

④ 歯の破折

歯が割れてしまった状態です。必ずしも真っ二つに割れている訳ではなく、ヒビが入った状態で多く確認されます。初期の頃はヒビも非常に見えにくくレントゲンにも写ってこないことが多い為、判断が難しい傾向があります。

⑤ 歯茎の急性炎症による痛み

歯周病における急性発作、また親知らずの周りの歯茎の炎症などにおける痛みです。

⑥ 噛み合わせの負担によっておこる痛み

虫歯の治療で詰め物やかぶせ物をした後など、噛み合わせが高いと噛むと痛いという症状がおこることがあります。また強い歯ぎしりなどによって異常な力が加わった場合も噛むと痛い症状が出る場合があります。

⑦ 歯に物がはさまって起こる痛み

歯の間に物がぐっと詰まると歯の周りの組織が押されて痛みが出ることがあります。

⑧ 歯が生えるのに伴う痛み

歯自体が生える時に歯茎をつきやぶって出てくる時の痛みはもちろんですが、たとえば親知らずが生えてくる場合に手前の歯にぶつかっていると、手前の歯が押されて痛みを出すことがよくあります。

⑨ 矯正治療に伴う痛み

矯正装置をつけて歯を動かす際に歯を支えている組織に負担がかかり痛みが出ます。

⑩ 歯以外の原因で痛む場合

歯が原因でなくても、あたかも歯が痛いかのように感じることがあります。

たとえば、鼻炎に伴う副鼻腔炎、物を咬むための咬筋(こうきん)の痛み、神経痛、偏頭痛、心臓疾患、精神疾患なども歯の痛みを起こすことが分かっています。この場合原因は歯ではないため、歯科だけではなく内科へも受診する必要があります。
よく起こる、痛み別に考えられる原因のおおまかなチェックポイント

<甘いものや冷たいものの刺激で痛い>

初期の虫歯や歯根が破折している可能性が高いです。神経の炎症は軽度と考えられます。

ただ、虫歯治療で詰め物やかぶせ物をした後などにもこの症状が出ることがありますが一時的な神経の反応によるものですのでこの場合は落ち着くことが多いです。

<熱いもので痛く、冷たいものでは痛みが落ち着く。または常にズキズキ強く痛む。>

虫歯が進行、また歯根が破折して進行した歯髄炎を起こしていると思われます。

<噛むと痛い>

詰め物の下に虫歯がある、根っこの先端に膿をもった根尖性歯周炎、歯周病、詰め物が高かったり歯ぎしりで咬み合わせに負担がかかっている、歯と歯の間に食べ物が挟まっている、埋まっている歯が手前の歯を押している、歯が割れている、歯科矯正中の痛み、ガルバニー電流によるもの

など多くの原因が考えられます。

※ガルバニー電流とは、2種類以上の金属が口の中で触れた時に流れる微弱な電流のことです。

アルミホイルを噛むと、キーンとすることがありますよね。この「キーン」の原因が、ガルバニー電流なのです。

<片側の上の歯(特に奥歯のあたり)に全体的に重苦しい鈍痛がある。>

副鼻腔炎の可能性があります。

一般的に、歯髄炎、根尖性歯周炎、歯の破折、歯周病の急性炎症に伴う痛み、神経痛などにおいては何もしなくても強烈な痛みが出ることがよくあります。ウォーターピック
まとめ

できれば歯の痛みとは無縁でいたいものですが、毎日使っている歯、多かれ少なかれ負担がかかってトラブルが出てくることはある程度仕方がないことなのかもしれません。

痛みは何かが起こっているシグナルと考えて、早めに歯科を受診し、レントゲンや詳しい検査をしてもらって早めに原因を突き止めることをお勧めします。