骨が溶ける歯周病…体の骨との大きな違いは?
歯石をとれば溶けた骨の位置で止まる
実はあごの骨も特殊な骨ではなく、体の骨などと組成などには大きな違いはありません。

唯一の大きな違いがあるのは、あごの骨には歯が刺さっていて、その歯が皮膚や粘膜の外に突き出しているという構造です。体の骨は必ず皮膚などの覆われているため、外部に露出する部分はありません。しかしあごの骨は、外に突き出している歯の内部や周囲に細菌が侵入した場合に、最近に感染しやすいという大きな違いがありです。

しかも歯は他の骨と違い、食事をするたびに使用され、汚れやすく細菌が繁殖しやすい環境にさらされています。さらに口の中に隠されているため、清掃も簡単ではありません。そのため唾液が1日に1.5L程度も分泌され、汚れや細菌を洗い流すような体の防御作用もあるのです。しかし唾液だけでは十分でないため、歯ブラシを使っての歯磨きなどで清潔にケアしていく必要があります。
歯周病で溶けた骨は戻らない!

歯の周囲に細菌(歯石)などが付着すると、それに抵抗するための反応が起こります。歯ぐきが腫れたり出血しやすくなったりする「炎症」です。この炎症があごの骨の近い場所まで起こると、あごの骨は感染を避け、逃げようとするかの自分自身を溶かしてしまいます。これが歯周病であごの骨が溶ける原因です。一度あごの骨が溶けてしまうと、急激に溶かされすぎた部分だけは若干回復することもありますが、基本的に完全に元に回復することなく、溶けたままになります。

あごの骨は歯ぐきの内部にあって直接確認することができません。わかりやすく例えるなら、大根(歯)と地面(骨)の関係に似ています。平らにきれいに均された地面に大根が生えている状態が、正常な歯と骨の関係です。これが14本並んでいるとします。例えば噛むという行為は、この大根を地面の方向に押し込むことです。通常は大根はびくともしません。次にそのうちの1本の大根を左右に揺らしたりすることを何ヶ月も繰り返します。するとその大根は少し緩んできますね。この揺らされる動きが噛み合わせの不調和です。

次に緩んだ大根に強くホースで水をかけてみます。すると大根の周囲の土が流されて、すり鉢状にくぼんで大根の根の部分がどんどん露出してきます。これが歯周病で、歯の周囲の骨が溶けている状態に近いです。このとき大根の根が長ければ、すり鉢状が深くなるまで揺れませんし、根が短ければグラグラして大根が倒れてしまいます。倒れた大根は歯周病による歯の脱落ということです。

もし大根周囲の土が全て流されてしまった場合、いくら元の位置に大根を戻しても、土がないため固定されることはありません。同様に抜けてしまった歯を戻しても骨に固定されることがないので、歯も元に戻せないというわけです。

歯を救うために残される3つの方法

このすり鉢状のくぼみは歯周病には大敵です。根の全長の3分の2程度の骨が溶けてしまうと、抜歯判定になるケースも増えます。さらに骨が溶けたくぼみが深くなれば深くなるほど汚れが溜まりやすく、再発や進行が急速に進みさらに骨が溶けやすくなる悪循環となります。さらに歯も揺れやすくなるため、治療としてはできるだけこのくぼみを浅くしたいのです。

そのためによく行われる方法は、以下の3つです。

一つは、すり鉢状の中に新たに骨を入れる方法。これは骨移植や人工骨での補填が中心となります。

もう一つは、すり鉢を塞ぐように歯の周囲に幕などで覆い、内部の骨の増殖を意図的に誘導する方法です。

そして最後の一つが、放置すること。意外に効果的なのですが、歯が押されたり揺らされたりしないように、頭を短く削ってしまい「放置」するのです。歯の周囲の歯石を完全に取り除いて、歯が押されたり揺れたりしないように歯を短く削り、何もせずに待つだけ。こうすると地面と大根では説明できないことが起こります。負担のなくなった歯は、抜ける方向に自然に移動してきます。しかも歯だけが抜けてくるのではなく、歯にあごの骨が引っ張られ、周囲の骨と歯ぐきの力のバランスが最も良い状態になるまで、すり鉢が浅くなる方向に自然に歯と骨がそろって移動して来るのです。

骨に刺さっている長さは短くなるものの、他に比べると手術などの大きな侵襲がなく、体の自然治癒力を利用するため、負担が少ないのが特長です。抜歯になってもおかしくないような重度の歯周病でも、歯を残せる可能性が高くなります。デメリットは、放置状態のまま数ヶ月かかることもあります。時間がかるのです。しかし一度安定状態に入れば、歯に被せ物などを入れて使えるようになることもあります。超音波クリーナー 激安

ただし放置による自然治癒治療がうまく働くには、きちんとした歯周病治療後に以下の点を気をつけてチェックする必要があります。
骨と歯の接触が完全に破壊されていないこと
歯石などが完全に除去されている状態であること
噛み合わせができないように歯を削って小さくしてあること
歯が噛めるように移動するため定期的に削ること
歯磨きをしっかり行い炎症をおこさないこと
単純に治療もせずに歯周病を放置するのとは違うので注意しましょう。