Archives for January, 2016 - Page 2
歯周病治療の種類と効果、注意点
歯周病の基本治療 歯周病の治療では、最初から歯茎にメスを入れたり、抜歯をしたりするようなことはありません。まずは、直接の原因になる歯垢(プラーク)や歯石を取り除く、プラークコントロールから行うのが基本です。プラークコントロールには、患者自身が行うセルフケア(毎日の歯磨き)と、歯科医で行うメディカルケア(スケーリングやルートプレーニング)があり、この両方を連携して行うことで、はじめて治療が成り立ちます。 スケーリング…先に刃のついた「スケーラー」という器具を用いて、歯茎の上の部分や歯周ポケットの浅い所にたまった歯垢や歯石を除去します。最近では、痛みが少ない超音波スケーラーを用いられることも増えてきました。 ルートプレーニング…先に刃のついた「キュレット」という器具を用いて、歯周ポケットの奥についた歯垢や歯石を除去するとともに、歯の根元の表面を滑らかにして、歯垢などを付着しにくくします。歯科ユニット 歯周ポケットを小さくして炎症を治す外科治療 基本のプラークコントロールを行っても炎症が治まらない場合は、外科治療を行うことがあります。歯周病の外科治療には、次のものがあります。 歯周ポケット掻爬(そうは)術…歯周ポケットの深さが4mm程度の軽度の歯周病が対象となる治療法です。局所麻酔をして、歯周ポケットの中の炎症を起こしている歯周組織を掻き出し、除去します。スケーリングやルートプレーニングで用いる器具を歯周ポケットに挿入して行うので、メスでの切開は行いません。 フラップ手術…歯周ポケットの深さが5mm以上の場合に適応される治療法です。局所麻酔をした上で歯茎を切開し、歯石などをきれいに取り除いた後に、歯茎を元に戻して縫合します。 破壊された歯槽骨を再生する歯周外科治療 重度の歯周病で、歯を支えている歯槽骨まで破壊されている場合は、歯槽骨を修復するために、次のような外科治療を行うことがあります。 GTR法…歯の周りには歯茎以外にも、歯槽骨や歯根膜などの歯周組織があり、それぞれが自然治癒力を持っています。なかでも歯茎は、ほかの歯周組織よりも修復するスピードが早いという特徴があります。このため、歯槽骨がやせ細っている状態でフラップ手術を受けると、歯槽骨などが育つべきスペースに、再生された歯茎が入り込んでしまい、歯槽骨の修復を阻んでしまいます。そこでGTR方では、フラップ手術をした後に、歯茎と歯の根元の間に人工素材の膜を置き、歯茎が入り込まないようにして、歯槽骨の再生を促します。 エムドゲイン療法…GTR法で膜を置く代わりに、「エムドゲインゲル」というタンパク質のジェル状ですき間を満たす治療法です。GTR法よりも手術が簡単で、使用するゲルも自然に吸収されるので、取り除くための手術をする必要がありません。
あなたに合った歯医者の選び方/7つのタイプの歯医者とおすすめの方
歯医者に行きたいけれどどんな歯医者に行ったらいいのか迷われている方も多いのではないでしょうか。歯医者がたくさんあって迷いますよね。実は歯医者には多くのタイプがあって、みんな同じではないのです。どんな治療をして欲しいかで、自分にあった歯医者があるのです。自分のタイプとは違った歯医者に行ってしまうと、自分が思っていたこととは違う治療から始まったり、歯医者にとってもやりにくい場合もあるのです。そのため自分に合わなかった歯医者に行った方が口コミサイトなどで発言をしてしまうのです。今回は歯医者の7つのタイプとおすすめの方をご紹介します。ただし、多くは筆者の私見ですので全てが当てはまるわけではありません。参考程度に留めておいてください。 1.7つのタイプの歯医者とおすすめな方 1−1.虫歯を作らないようにする予防中心の歯医者 こんな方におすすめ 虫歯ができないように丁寧に磨いていたつもりだったけど、鏡で見たら歯に黒い部分を見つけた 虫歯ができてしまったがこれからは虫歯を作りたくない 歯医者に行ったら虫歯と言われたができるだけ歯を削りたくない 予防中心の歯医者の特徴 将来にわたって自分の歯で食事をしたい方におすすめです。毎日の歯磨きと、定期的な歯医者でのメンテナンスを行い、できるだけ歯を大切にしたいと思っている方に合う歯医者です。 予防中心の歯医者の特徴はできるだけ歯を削らないようにしていることです。虫歯のできない環境作りをして、小さな虫歯は削らず、進行性の虫歯だけを治療します。口の中の検査項目も多く、レントゲンや写真、唾液の検査をして、口の中を管理していきます。定期的なメンテナンスを行い、虫歯ができてからの治療ではなく、できないように予防をしていきます。詳しくは「ホームページからわかる正しい予防歯科の選び方と治療の流れ」を参考にしてください。 注意点 予防的な歯医者では口の中の環境づくりから治療が始まります。そのため検査や項目も多く、歯石取りなどにも多くの時間がかかり、痛い時や取れた時だけしか歯医者に行かない方にはおすすめできません。 1−2.すぐに削って詰めてくれる歯医者 こんな方におすすめ 金属が取れてしまったのでその部分だけすぐに治療してほしい 歯医者は行きたくないので痛みだけ取ってほしい 仕事が忙しいので早く治療してほしい すぐに削ってくれる歯医者の特徴 忙しく歯に何かあった時にしか歯医者に行けない方におすすめです。日曜診療や比較的時間も遅くまでやっている歯医者が多いために通いやすい歯医者です。 歯が取れたり欠けたりした時、歯医者に行けばすぐに削って詰めてくれたりしてくれる歯医者です。症状がある部分だけを治療してくれるので早く治療が終わります。 注意点 すぐに治療をしてくれる反面、高い精度の治療を求めている方はおすすめできません。比較的若い先生が多くいる歯医者で担当医制ではなく、来院した順番に治療を進めていくことがあります。 1−3.地域に密着した歯医者 こんな方におすすめ いつもの歯医者で安心して治療を受けたい 近くの歯医者に行きたい 家族から紹介された 地域密着の歯医者の特徴 歯医者を変えたくない方におすすめです。小さい時から通っていると安心感があるものです。歯に何かあった時にはそこに行くと決めている方も多いです。 両親や小さい頃から通っている方が多く、自分の家族構成や人の体のことをわかってくれるので、安心して治療が行えます。最新の機材が揃っているわけではありませんが、親身になって相談に乗ってくれるのが特徴です。…
歯周病をあなどるなかれ!知っておきたい妊娠中の歯周病
■歯周病を患う妊婦の低体重・早産リスクは倍! 1996年アメリカの研究機関が早産や低体重児を出産した人を調査したら、歯周病が進行していた人がそうでない人の倍もいた、というショッキングな結果が発表されました。さらに、2003年の鹿児島大学での調査でも同様の結果がでており、歯周病の人の早産・切迫早産のリスクは通常の約5倍だったと報告されています。タバコやアルコールが早産の原因としてよく知られていますが、これらの研究結果を見ると、歯周病患者ははるかに高いリスクを抱えていることになります。 妊娠中は女性ホルモンの分泌が増えますが、中でも特にエストロゲンは特定の種類の歯周病原細菌の増殖を促すことがわかっています。妊娠周期のホルモン分泌量は通常の10~30倍にもなり、妊娠中期から後期の妊娠性歯肉炎にかかりやすくなるのです。口腔内カメラ 歯周病と早産の関係のメカニズムはまだはっきり解明されていませんが、近年の研究により少しずつ明らかになってきました。出産が近づくと、子宮収縮作用のあるプロスタグランディンという物質が増え、陣痛を起こします。そしてこのプロスタグランディンの分泌を促すのがサイトカインという生理活性物質です。 サイトカインは様々な炎症により増殖する性質があり、歯周病により炎症を起こしている状態は、サイトカインが増殖しやすい状況にあります。その結果、プロスタグランディン分泌が促され、子宮の収縮が起きて早産につながる、というメカニズムが解明されつつあります。 また低体重児との関連についてもはっきりと解明されてはいませんが、歯周病菌の毒素や炎症性物質がママの血液中に入り、それが胎盤を通過して胎児に影響を及ぼし、胎児の発育を妨げることがあると考えられています。 ■歯茎の異常に気づいたら、迷わず歯科医へ 妊娠中は歯がボロボロになる、と言われますが、これは赤ちゃんに栄養をとられるわけではなく、つわりのせいで歯ブラシを口にいれると吐き気をもよおし、しっかりした口腔ケアができないためと考えられています。また、歯周病は30代後半以降に急増するため、高齢出産の妊婦さんは特に注意が必要です。 歯茎が赤く腫れる、痛みを感じるなどの症状を感じたら、すぐに歯医者に行くことをおすすめします。歯周病治療をした妊婦はしなかった場合に比べて低体重児出産のリスクが約5分の1に減少するというデータもあります。初期の歯茎の炎症ならば、クリーニングや歯垢の除去をするだけでもかなり改善されます。 それに、臨月が近くなってくると仰向けに寝ることがままならず、治療が困難になることもあるので、妊娠中期ごろまでには治しておきたいものです。受診時には妊娠中有であること忘れずに伝えましょう。 歯周病の予防には、丁寧な歯磨きが効果的です。歯と歯茎の境目はとくに念入りに、小刻みにブラッシングするようにします。一日最低15分間かけて行うのがよいとされています。正しい歯みがきにより歯周病のもとである細菌を取り除き、歯茎の血流をよくすることが歯周病予防に役立ちます。早産のリスクを少しでも減らすため、毎日の口腔ケアに気を配るようにしましょう。
スポーツ歯科とは? 2020年五輪に向け重要性が高まる歯科医の活躍
全国の私立歯科大学・歯学部(15大学17歯学部)が加盟する一般社団法人日本私立歯科大学協会は10月21日、国民生活と密接な関わりを持つ歯科の最前線を伝える「第5回歯科プレスセミナー」を開催した。 セミナーでは、同協会の副会長・専務理事である明海大学の安井利一学長より、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて重要性が高まっている“スポーツ歯科”に関する講演「歯科とスポーツを探求する―健康づくりと安全対策そしてスポーツ・パフォーマンスまで」が行われた。 ◆ロス五輪後、スポーツにおける歯科の重要性が認識される 安井利一学長は、日本スポーツ歯科医学会理事長、日本臨床スポーツ医学会常任理事、国立スポーツ科学センター非常勤医師、日本体育協会スポーツデンティスト部会委員を務めるなど、日本におけるスポーツ歯科の第一人者である。 1986年のロス五輪まで、日本ではオリンピック出場選手に対する歯科の組織的なケアは行なわれていなかったが、歯科トラブルによってベストパフォーマンスが出なかったと言う選手が大会後に20数名いたことが判明。それ以降、オリンピック特別強化指定選手は全員が内科・整形外科に加え歯科の定期健診を受けることになったという。 安井学長が1990年、米国コロラドスプリングスにあるUSOC(米国オリンピック委員会)トレーニングセンターを視察した際、診察室の環境や選手の健康管理などあらゆる面で日本と大きく異なり、非常に驚いたという。たとえば、当時の日本ではボクシングの選手ですら口にフィットしない既製のマウスガードを装着していたが、アメリカでは歯科医の指導のもとで選手一人ひとりのマウスガードが作られていた。そうした現実を目の当たりにし、安井学長は「我が国の歯科のサポートは今のままでいいのだろうか」という思いを強く持ったという。 私たちは重い物を持ち上げる時など、dentalzz手や足に力を入れる瞬間は自然と歯を食いしばる。歯の状態や咬み合わせが運動パフォーマンスに影響することは、伝承や経験としては知られていたが、安井学長がUSOCを視察した当時の日本では、なぜそうなるかという“サイエンス”に基づくエビデンスがなかった。いわゆる“根性論”ありきの時代だったのだ。 ◆歯や咬み合わせに関するサイエンスからのアプローチが進む しかしさまざまな調査や研究が進み、運動と歯・咬み合わせに関する様々な関係がわかってきている。たとえば、ゲートボールの上手い高齢者が入れ歯を外すと下手になってしまうのは、歯がないと下顎が固定されず頭が動いて体の軸がぶれるからである。また、咬み合わせの力が弱いと動作に時間がかかり、咬み合わせの面積が広いと体のふらつきが少ない。こうしたサイエンスに基づく研究は現在、2020年に開催されるオリンピック・パラリンピック東京大会に向けてさらにそのスピードを高めている。 2011年の「スポーツ基本法」には歯学の役割が明記され、また2012年の「スポーツ基本計画」で歯学がほかの分野と連携しながら研究を進めることが求められるなど、医学、生理学、心理学などとともに、歯科はスポーツにおいて重要な役割を担うようになっている。 ◆咬み合わせの良さが有効に作用するスポーツもわかってきた 咬み合わせは、スポーツ全体の約70%の種目でパフォーマンスに関わってくると考えられている。たとえば、射撃やアーチェリーなどの競技種目では、咬み合わせの面積が広いことが重要と推察されている。これは、咬み合わせがなくなると頭が動き、その動きのバランスをとるために手足が動くと言う「姿勢反射」が起きるからだ。 また私たちの体には、ある部位に力を入れると離れた部位の筋肉が興奮する「遠隔促通(えんかくそくつう)」という機能が備わっている。そのため、歯を咬みしめて咬筋(こうきん)を収縮させると足や手首で伸筋と屈筋が興奮し、関節が固定される。これを利用すれば瞬間的に関節を固定する重量挙げや腕相撲、あるいはテニスでボールを打つ瞬間などに運動の効果が高まると推察される。逆に、舌を出すなどして歯を咬みしめない状態にしていれば、関節が固定されないので素早くしなやかに動ける。テニスや野球などでボールを打つ瞬間以外はリラックスしていたほうがいいのは、こうした理由からだ。「筋力をうまく使うには練習を重ねることが重要。それも、ただ繰り返し練習するのではなく、歯科医学的なエビデンスを取り入れながらより効率的に練習することが必要」と安井学長は強調する。 ◆「スポーツで前歯を失う子どもを減らしたい」―予見学習やマウスガード装着の普及啓発にも取り組む アスリートのパフォーマンスに加えて、スポーツ歯科では体育活動における外傷予防も重要なテーマとして捉え、啓発活動にも取り組んでいる。スポーツで前歯を失う中学生・高校生は多く、それを減らしていくには子どもたちに対する教育が重要になるからだ。 ルールの理解や技術の習得、用具の管理に加えて、教育で特に重要なのは「予見学習」である。すでに体育活動における過去のデータを見れば、どの競技で外傷が多く起こっているか、また外傷がどの部位に多いかもわかっており、そのエビデンスを基にきちんとサポートすることが求められる。そしてもう1つ重要なのが安全具の装着だ。中学校のバスケットや高校の野球は外傷が多く、その部位も上の前歯に集中していることから、こうした体育活動でマウスガードの装着が徹底されれば外傷の可能性は大きく減る。 ◆超高齢化社会を迎えた日本で歯科医療教育はますます重要に 安井学長の講演の後には、神奈川歯科大学大学院口腔科学講座社会歯科学分野の山本龍生教授より、「歯の健康とその後の認知症・転倒・要介護の関係―歯科から健康寿命延伸への貢献を目指して―」と題した講演が行なわれた。 日本人の「要介護」の期間は世界的に見ても長く、いかにして健康寿命を伸ばすかが重要な課題になっている。そんな中、最近の研究において歯の健康が悪化することで認知症や転倒・骨折のリスクを高めることが明らかになってきた。これは、「要介護状態になったために歯の手入れができなくなって歯の健康が悪化する」というこれまでの想定とは逆のルートであり、山本教授は要介護の約55%が歯の健康と関連していると見ている。私たちが「8020」(80歳で20本以上の歯を保つこと)を達成し健康寿命を伸ばすためにも、歯を失う原因となる虫歯と歯周病の予防がますます重要である。 ◆2020年とその先に向けた歯科医の適正配置と啓蒙活動も展開 人生を豊かに過ごすために必要な歯科知識の啓蒙や2020年に向けたスポーツ歯科の重要性は今後さらに高まるようすだが、スポーツに携わる歯科医の数は現状、足りているとは言い難い。 安井学長によれば、歯科医は病院に属したり開業を行う一般歯科医のほか、日本スポーツ歯科医学会の認定医や日本体育協会が認定するスポーツデンティストが存在する。認定医もスポーツデンティストも一般の歯科医療も行いながら行う活動のひとつだが、いずれも現在歯科医の資格を持つ医師にはまだ馴染みがないという。 各歯科医の活動は実にさまざまだが、認定医とスポーツデンティストで大きく異なる点はスポーツ選手への関わり方にある。認定医はオリンピック関連の大会や健康診断でスポーツドクターとして選手の診療にあたり、スポーツデンティストは各都道府県の競技団体に属し国民体育協会と協働し国体選手の歯科健康の維持を担う。例外もあるが、スポーツに携わるトップアスリートたちの歯の健康を担う歯科医界にとっては、いずれの歯科医も今後増員を必要としているという。 安井学長はスポーツと歯の健康に関し、学校体育の現場や生涯スポーツに関わる人々、競技スポーツに関わる人々に3つのアドバイスを提示している。学校体育の現場に携わる学校医には、部活や授業による前歯欠損の際にできることを通達しているとともにマウスガードの使用も推進。日本私立歯科大学協会も、学校医に有事の際の対応方法を明示したパンフレットを配布しているという。テニスやゲートボールなど、生涯スポーツに携わる人々には噛み合わせの定期的なチェックを呼びかけた。また、競技スポーツに携わるトップアスリートたちには、専門的なスポーツドクターに係るようアドバイスしている。 2016年度の歯科医志望者数は確定していないものの、暫定数を見ると歯科医を志望する学生の数は年々上昇している。安井学長は「美味しく食事を採る、会話するといった歯の健康はスポーツ界のみならず長寿社会を迎えた日本にとって大切なもの」とコメント。優秀なスポーツ選手を育む土壌にはスポーツに知見のある歯科医がさらに必要だとし、学生や現在の歯科医に向けてスポーツと歯の関わりを啓蒙していきたいとした。 ◆歯科医師の養成に向けて―人々のQoL向上のために 歯科プレスセミナーはこれまでに、口腔がん、アンチエイジング医学、口腔機能と脳の科学、肺炎予防のための口腔ケアなど、歯科医学・歯科医療から国民生活を考えるテーマについて講演を行なってきている。司会を務めた日本私立歯科大学協会副会長の小林馨氏(鶴見大学歯学部長)からは、「対象疾患に変化が出て起きており、歯周病が2型糖尿病、心血管系疾患、未熟児・低体重児出産などと関連することが分かってきている」との紹介もあった。まさにこれからの歯科医療は、単に虫歯治療にとどまらず、私たちの体の健康やQoL(Quality of Life)と直結するものと言えるだろう。 明治時代、富国強兵の名のもとに医学教育が国策に据えられた一方、歯科医学教育を政府は推進しなかった。そのため歯科は個人の歯科医師の努力によって私立大学に設立され、その経緯から現在も歯科医師の約75%は私立大学出身者が占めているといい、日本の歯科医療教育における私学の貢献は大きい。日本私立歯科大学協会では、歯科医学・歯科医療との現状と将来について社会に発信するとともに、加盟校間の様々な情報交換、教員や職員等の資質向上のための研修などを行ない、これからますます活躍の範囲が広がる歯科医師の養成に取り組んでいくとしている。
あなたは大丈夫? 口臭を予防する最も効果的な方法は?
口臭の原因のおよそ80%以上が、口の中にあるといわれています。 口の中に生息する細菌のなかでも特に嫌気性菌と呼ばれるものは、食物を分解する過程などで、主に揮発性硫黄化合物のガスを発生します。これが口臭の素になるワケですね。 今回は、誰もが気になる口臭の原因と対処法についてお話ししましょう。ホワイトニング機器 口の中を乾燥させないことが大切! 唾液の量が減ると、口臭の原因菌が増殖するだけでなく、むし歯や歯周病の原因にもなります。まずは口の中を乾燥させないためにできる、3つの方法をご紹介します。 1. ガムを噛む ガムを噛むと自然に唾液の分泌が促されるため、口臭予防になります。キシリトール配合のガムは、むし歯予防効果も期待できますよ。 2. しっかり水分を補給する 適度な水分補給によって口腔の乾燥を防ぎ、口臭の原因菌が減少、または唾液の分泌をスムーズにします。お茶やウーロン茶は食後の口臭は緩和しますが、飲みすぎると唾液の分泌を抑制しかねません。また、空腹時にお茶やコーヒーを飲むと口臭を強くするので注意しましょう。 3. 正しい食生活を送る 大切なのは、規則正しくバランスのとれた食事をすることです。また和食中心の食事にしたり、噛み応えのある食事に変えると唾液の分泌が活性化します。 これで安心! 口臭予防に役立つ3つの対策 対策1:むし歯や歯周病を治す 大きなむし歯ができていたり歯周病が進行すると、口臭がきつくなります。不安な人は歯医者でチェックしてもらいましょう。 対策2:歯を丁寧にブラッシングする ブラッシングは歯に付いた歯垢(プラーク)を落とし、短時間に口の中の汚れや細菌を減少させることができます。口臭が気になる時は、特に磨きにくいところにプラークが残っていることがあります。歯間ブラシやデンタルフロスを使ってしっかり落としましょう。また、歯磨き後のリンスなども効果的です。 対策3:舌を磨く 口臭の素は、舌の上でもっとも多く作られます。舌に付着した白い苔状のものを「舌苔」といいますが、舌磨きでこの舌苔を除去し、清潔に保つと効果的です。
歯磨きをし過ぎてもダメ!? 歯科医師が答える「口臭Q&A」4つ
口臭、悩ましい問題ですよね……。ただ、口臭を改善しようと思っても、いろいろな情報があって何が正しいのか良く分からなくなってしまいませんか? そこで今回は、神奈川県の『大船駅北口歯科』の院長で、口臭治療も専門的に行う杉山貴志先生に聞いた口臭に関するお話を、クイズ形式でまとめました。ぜひともチェックしてみてくださいね。 ■1:口臭に年齢や季節は関係ある? ○か×か 口臭に年齢は関係あるのでしょうか? 杉山先生によると、口臭の起こりやすい年齢は特にないそうです。ただ、「子どもから高齢者まで口臭は起こりますが、高齢者は唾液の分泌が少なくなるので口臭は起こりやすいです」とのこと。ちなみに口臭と季節は全く関係ないようです。答えは×です。 ■2:口臭予防にはどんどん歯磨きをした方がいい? ○か×か 口臭予防のために、歯磨きをする人は多いと思います。特にお昼ご飯を食べた後に、会社のトイレで歯を磨く女性も少なくないはず。 ただ杉山先生によると、歯の磨き過ぎは唾液を失う原因になるので、磨き過ぎも要注意だといいます。唾液は口臭の原因となる細菌を抑える働きがあるので、唾液を失えば口臭が悪化する場合もあるとか。 とはいえ、歯磨きが駄目という話ではありません。歯周病や虫歯の炎症が原因で起きている口臭(病的口臭)の予防・改善には、徹底したお口の掃除が効果的だといいます。 まずは朝と夜、1日2回の歯磨きを徹底して行ってみてください。ただ、3回以上は磨き過ぎで、逆に唾液を多く失う恐れも。要注意ですね。 ■3:ストレスや緊張は口臭を悪化させる? ○か×か 仕事や人間関係、新生活など環境の変化でストレスを感じると、口臭は悪化するのでしょうか? 杉山先生によると、「緊張した状態が続くということは、交感神経が優位になり、結果的に唾液の分泌が抑制される」といいます。 例えば人前で「私、口臭があるかも……」と緊張してしまうと、細菌を抑えてくれる唾液の量が減り、口臭が悪化するようです。よって答えは○です。 お口の清掃をちゃんと行い、あらゆるブレスケアを行っているのに自分の口臭が何となく気になる人は、「私、もしかしてクサイ?」と過剰に心配してしまうその緊張のせいで、口臭が悪化しているかも……気にし過ぎは、要注意なのですね。 ■4:1日で最も口臭がひどくなる時間帯は夕方である? ○か×か 1日のうちで、最も口臭がひどくなる時間帯はいつだと思いますか? 日中に仕事や子育てを頑張った後の夕方でしょうか? それともお昼ご飯を食べた後でしょうか? 口腔洗浄器 杉山先生によると、「唾液の分泌が少なく、細菌が最も増えるのが起床時です。この時間帯が口臭が最もあります」。口臭の予防にはとにかく唾液が大切で、唾液が最も少ない朝は口臭が一番ひどいそうです。よって答えは×ですね。 逆に一番口臭が少ない時間はいつだと思いますか? 杉山先生によると、ご飯を食べた直後だといいます。ご飯を食べた直後は唾液がたくさん出ているので、細菌の数が少ないそうです。「実際に食後の唾液を顕微鏡でみると細菌の活動は非常に少ない」とのこと。意外ですよね? 以上、口臭に関するQ&Aをまとめましたが、いかがでしたか? 全問正解できるようになるまで、繰り返しチェックしてみてくださいね。
あごカクッて音してる?歯のひび割れも引き起こす「無意識な食いしばり」習慣
長時間同じ姿勢でパソコンの画面を見たり、何かに熱中していると、無意識に歯を食いしばっていることありますよね? これが原因であごへの負担が大きくなり、「口が大きく開かない」「あごが痛い」という人が増えているそうです。 なんでも、上下の歯の接触時間が健康に深刻な被害を及ぼすそうなんですが、ご存知でしたか? そこで今回は、東京医科歯科大学准教授・木野孔司さん監修の『自分で治せる!顎関節症』を参考に、歯周病や歯のひび割れまでも引き起こす“歯の食いしばり”のリスクについてお話しします。 ■1日20分以上の歯の接触が大きな負担に 口を閉じているとき、上の歯と下の歯は接触していますか? 実は、上下の歯と歯の間にわずかな隙間があるほうが、関節や筋肉にとっては楽な姿勢なのだそうです。 ものを食べたり、会話をしているときに歯と歯が接触するのは瞬間的なものです。接触する時間を合計しても1日20分程度であるのがよいそうです。 20分以上歯と歯を合わせ続けてしまうと、関節にも筋肉にも余計な力がかかり、大きな負担になるといいます。軽い接触でも、あごの筋肉に負担がかかり、更には関節が圧迫され、筋肉は緊張状態になります。 この状態になってしまう癖を、専門用語でTHC(Tooth Contacting Habit)と呼ぶそうです。 ■口を閉じたときの舌の位置に注意 力を込めて食いしばるのは一瞬ですが、軽い接触は長時間化になりがちで、問題はより大きくなるといいます。 問題なのTCHであるという自覚がない人が多いということです。TCHの目安になるのは、口を閉じて歯の位置を確かめてみることも大切ですが、そのほかにも舌の位置で確認するという方法もあります。 上あごの面に舌全体がぴったりついている、または舌先が下の前歯の裏側についている、という人はTCHの可能性が高くなるので注意しましょう。 ■口の中のあらゆるトラブルに では、TCHによりどのような障害が起きてくるのでしょうか? まず、歯ぐきに負担がかかることで歯周病にかかりやすくなります。そして、歯の下部にあたる顎関節にも負担がかかり“顎関節症”(がくかんせつしょう)をひきおこしやすくなるそうです。 また、歯自身にも負担がかかり、ひび割れを起こします! それにより、血管や神経を圧迫し痛みも伴ってきます。このようにして、口全体のトラブルにかかわってくるのです。歯科機器通販 ■まずは自覚することから 夢中になって作業しているとき、姿勢が悪くなっているときにTCHは起きやすくなります。また、ストレスを抱えていると全身の筋肉に力が入り、無意識のうちにあごにも力が入ってしまいますよね。 “歯を食いしばっている”と感じたら、体の力を抜いてみましょう。まずは気づくことから、そして、自分で治すという強い意志をもって生活習慣を見直していことが大切です。 以上、口全体のトラブルを引き起こそす“歯の食いしばり”のリスクについてお伝えしましたが、いかがでしたか? これから、クリスマスパーティや忘年会・新年会などのイベントで、たくさんおいしいものを食べる機会が多くなりますね。おいしいものを不自由なく食べるために、歯と舌の関係を意識しながら、食生活、日常生活を送ってみてはいかがでしょうか?
生理前・生理中に歯痛が起こる原因とは
急に歯が痛くなることが何度かあり、思い返してみると、生理前や生理中だったということはありませんか?また、そのとき歯医者に行ったものの、特に虫歯も見つからなかったという経験がある人もいるようです。生理と歯痛にはどのような関係があるのでしょうか。生理前や生理中に歯痛が起こる原因について解説します。 月経前症候群の症状のひとつ 女性は、生理が近づくと黄体ホルモンの分泌が活発になります。ホルモンのバランスが変化することで、生理が始まる1~2週間ぐらい前から、女性の身体にはさまざまな不快な症状が現れます。これを月経前症候群(PMS、Premenstrual Syndrome)と呼んでいます。 PMSの症状のひとつに、歯痛があげられます。ほかにも、下腹部痛、腰痛、下腹部の張り、乳房の痛み・張り、頭痛、肩こり、めまい、冷え、肌荒れ、むくみ、便秘・下痢、イライラする、疲れやすい、のどが渇く、憂鬱になるなど、人によってさまざまな症状が見られます。PMSによって睡眠不足になったり身体が疲れたりすると、免疫力が低下し、炎症反応が強く出やすくなります。炎症反応が強く出ると、もとからあった炎症も悪化しやすくなります。また、免疫力が低下すると細菌にも感染しやすくなるため、虫歯や歯肉炎などのトラブルも起こりやすくなります。 もともと虫歯がある場合も 痛みは感じない程度の虫歯が、生理になると痛み出すこともあります。 女性の身体は生理になる直前から、子宮の収縮を促進して、子宮内の血液を排出する「プロスタグランジン」という物質が多く分泌されるようになります。プロスタグランジンは、発痛増強物質であり、下腹部痛などの生理痛の原因となります。また、歯痛の原因物質でもあるため、分泌量が多いと歯の痛みが強くなることもあります。タービンハンドピース 生理中に分泌された女性ホルモンは、歯茎の毛細血管まで行き届きます。歯周病菌の中には、女性ホルモンを栄養源として活性化し、増殖するものがあるため、生理中は特に歯肉炎になりやすいと言えます。 歯や歯茎に痛みの出やすい生理前や生理中は、特に口の中や歯、歯茎を清潔にしておくことが大切です。そして、少しでも痛みが出た場合は、早めに歯医者を受診し、症状が進行しないうちに治療しましょう。