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歯周病って治るの?手遅れになる前にやっておきたい5つのセルフケア
進行すると歯を失う原因となり全身にも悪影響を及ぼし、またひどい口臭のもととなる歯周病。できれば無縁でいたいものですよね。しかし、成人の多くが遅か れ早かれ歯周病にかかっていると言われています。はたして歯周病とは治るものなのでしょうか?また、治療とは一体どういうものなのか、予防はどのようにし たらいいかについて、歯科医師・岸本 佐智先生による監修記事で解説していきたいと思います。 歯周病はどうやって治療するの? 歯周病は歯茎の炎症から始まり、のちに進行すると骨を溶かしていきます。歯茎の炎症だけの段階であれば十分に治る可能性がありますが、ひとたび骨が溶けだしてしまうと、溶けた骨は戻ってくることはなく、元通りに治ることはありません。ですので、いかに進行を止めるかが大事になってきます。 具体的には、まずプラークコントロールといって歯と歯茎の周囲の歯垢をきっちりとブラッシングで取ることが重要です。これが日常的にしっかりできていないと、いくら歯科医院で治療を行っても無意味です。 歯垢がしっかり取れるだけでも歯茎の炎症は落ち着きを見せ始めます。歯科医院では歯ブラシで取ることのできない歯石を機械や器具で取っていきます。 歯石とは歯垢が唾液のミネラル成分で固まってしまったもので、それ自体は無毒化していますが、その凹凸に入り込んでいる歯垢が悪さを起こしますので、その足掛かりになる歯石はしっかりと取らなければなりません。 進行度別の治療法は? 進行度別に歯科医院での治療法を挙げていきます。 <軽度の歯周病> 歯の表面に付いている目で見える歯石や、歯茎で隠れている浅い部分の歯石を機械や器具で取っていきます。麻酔がいることはほとんどありません。 <中等度の歯周病> 歯茎の内側のより深い所までついている歯石を取り除き、歯の表面をなるべく歯垢がつきにくくするよう、すべすべに仕上げます。このくらい深い位置になってくると麻酔を使うこともあります。 <重度の歯周病> 重度にもなると骨がかなり吸収して、歯茎の溝(歯周ポケット)が深すぎるため、手探りで歯石を取るのには限界が出てきます。そのため、麻酔下で歯茎を切り開 き歯の根っこについた歯石を良く見える状態で徹底的に取り除きます。また、余計な歯周ポケットを作っている汚染された歯茎を除去し、歯周ポケットを浅くす ることで、その後のメンテナンスをやりやすい方向にもっていきます。 ブラッシングで歯周病を予防! まずは歯周病の原因となっている歯周病原菌が悪さをしないように、なるべく歯垢をためないことが大事です。そのためには日常的なブラッシングが最も大事です。 <歯周病を悪化させない、または予防するためのブラッシングのポイント> 1.適正な歯ブラシを選ぶ 大きすぎない歯ブラシ やわらかめの歯ブラシ 毛先が広がっていない歯ブラシ ※歯ブラシは、柔らかすぎるとかえって歯垢を落としにくくなってしまいます。ですので、歯垢をしっかり落とせる程度にやわらかめのものを選ぶようにすると良いでしょう。 2.歯と歯茎の間の歯垢を意識して磨く 歯周ポケットの中までブラシが入るイメージで磨いてください。歯ブラシの毛先を、歯面に対して45度に傾けて磨きます。 3.軽いブラッシング圧で…
固いものが噛みにくくなる7つの原因
「固いものが元々噛みにくい」「年とともに噛みにくくなってきている」ということがありますよね。固いものが噛み難いと食事もなかなか楽しめないもの。今回は固いものが噛み難くなる原因を説明していきます。 食べ物を食べるメカニズム まずは、食べ物を食べるメカニズムを見てみましょう。 普段なにげなく行っている食事ですが、以下の5段階に分かることができます。 先行期 食べ物を目で見て認識し、大きさや形状から食べ方を決める段階です。 同時に唾液が分泌されます。 準備期 舌を変形させ、食べ物が喉の奥に行かないように移動させます。 その後左右の歯でよく噛むことにより、食べ物を飲み込みやすい食塊にすることができます。 口腔期 形成された食塊が複雑な舌の動きによって喉の奥へと送られます。 咽頭期 複雑な動きによって食塊が気管に入らないようにし、食道へと送ります。 食道期 食道から胃へと食塊が運ばれます。 5段階中のうち、準備期に障害が出たとき食べ物が噛み難いと感じるようになります。 固いものが噛み難い原因は!? 歯周病 歯周病はプラーク(歯垢)がきちんと清掃されず、その中の細菌が毒素を出して炎症を起こし腫れてしまう病気です。そして、進行すると歯を支えている骨が溶かされ、歯がグラグラと動揺します。 歯が動揺すると、固いものを噛む力が負担できなくなり噛みにくくなってしまいます。 むし歯 むし歯の原因は菌が歯垢(プラーク)の中で増え、歯の表面に付いてしまいます。そして、砂糖を餌にして酸を作ります。その酸が、歯の成分、カルシウムやリンを溶かして歯に穴をあけてしまう病気です。 むし歯で穴が開いていると食べ物を噛むところがなくなり、固いものが噛みにくくなります。 欠損歯がある むし歯や歯周病、外傷によって歯が抜けてしまい、そのままになっているところがあると、その歯が負担していた分、噛む力が弱くなり、噛みにくくなります。 また、歯が抜けたままになっていると、両側の歯が歯のないスペースの方に動き、食べ物が噛みづらくなってしまいます。 入れ歯や詰め物、かぶせ物があっていない 入れ歯は天然歯(自分の歯)よりも噛む力が弱いと言われています。 入れ歯が合っておらず、噛んだ時にずれてしまったり、浮き上がったりしていると、さらに固いものが食べにくくなってしまいます。…
今からしっかり歯を大事にするポイント
はじめに 老化の象徴として「目・歯・耳」と言われています。 歯は生き抜く力の象徴であり、歯磨きは品格を磨くことと思って、楽しい老後を過ごすためにも正しい生活習慣を身につけたいですね。 STEP1 【歯がなくなる原因】 歯がなくなる2大原因は「虫歯」と「歯周病」です。 そのため、虫歯と歯周病の進行を予防する生活習慣を身につけることが大事です。 前歯が1本ないだけで、人に会うのが恥ずかしいし、精神的にも落ち込みます。 機能的にも食べ物を口中に取り込もうとしても、ぽろぽろこぼしてしまいます。 電話で話をしていても、空気がもれて発音が不明瞭になります。真空成型器 奥歯が1本ないと、食べ物をかみ砕いたり飲み込む運動に支障をきたします。 歯は「おしくらまんじゅう」をしていますから、抜けたままにしておくと歯列が悪くなります。 STEP2 【生活習慣の影響】 ダラダラ食いは、飲食の不節制になり、虫歯のリスクを高めます。 理由は唾液緩衝能(酸を中和する能力。この力が弱いと歯の再石灰化を促し、虫歯の発生を抑制する)の低下につながります。 タバコはまず口臭の元です。さらにニコチンは虫歯の原因であるミュータンス菌を増殖させます。間接(受動)喫煙は、唾液の緩衝作用や自浄作用を低下させますし、血清中のビタミンCを減少させます。 額関節症という顎の病気があります。開口時に額関節に痛みが出たり、カクンという音がしたり、顎がズレたり、大きく開けにくいのが特徴です。 はっきりした原因はわからないのですが、早期に歯が抜けたり何らかの原因でかみ合わせが悪くなったりするのも原因の1つと言われています。 最近の研究によると、日常生活での姿勢の悪さが関係しているようです。 食事の時、歩く時、職場や学校での姿勢など、いわゆる日常のふるまいが原因になるというのです。 STEP3 【口内には300種類以上の細菌がある】 私たちの口中には300種類以上の細菌があると言われています。 歯頸部や歯周ポケットの周辺に塊となって付着したのが歯垢と呼ばれるものです。この歯垢(プラーク)の約80%は細菌の集まりです。 この中には毒素をもつ菌もあり、歯周病の原因となります。 歯周病がひどいと、早産や低体重児出産のリスクが高くなります。さらに合併症として糖尿病が起り、心臓病や脳卒中、肺炎に影響があると指摘されています。 STEP4 【虫歯や歯周病を予防するために】 日々、磨き続けていくのはとっても大事です。…
正しい歯磨きで、健康な白い歯を保つ方法
はじめに 笑顔の奥にきらりと輝く白い歯。誰が見ても、魅力的ですね! でも、基本は歯磨き。あなたの歯磨きは本当に大丈夫? きれいな歯を保つための正しい歯磨き法をご紹介します。 STEP1 早い方がいい? 歯磨きは、「食べたらすぐ、できるだけ早く」がいいと思っていませんか? 確かに、にっこり笑った歯と歯の間に食べ物がはさまっていたら、ちょっと…… 気持ちはわかります。 でも、タイミングによっては、白い健康な歯を保つどころか傷つけているそうなんですよ。 実際、間違った磨き方で歯が削れてしまっている人もいるんです。 STEP2 食後の口の中 順天堂大学の教授によると、食べてすぐの口の中は、 食べ物の酸や糖分で酸性に傾いています。 この時、歯のエナメル質は弱い状態になっているので、 この状態で歯磨きをすると、歯の表面を傷つけてしまい虫歯のリスクを高めるそうなんです。 「えっ、虫歯ができないように一生懸命歯磨きしてたのに……」というあなた、 少しタイミングを考え直したほうがいいみたいですね。 STEP3 歯磨きのタイミング では、いつすればいいのでしょうか?超音波スケーラー 教授によると、口の中の状態が唾液の効力で元に戻るのは30-40分後。 酸性に傾いていた状態が元に戻ってからした方がいいそうです。 白い健康的な歯は、正しい歯磨きから。 正しい歯磨きで、長く健康な歯を保ちましょう!
「歯周病予防プログラム」で知る歯間ブラシの効果的な使用法
成人の80%以上がかかっているといわれる歯周病。歯間ブラシなどを使ってセルフケアできるというが、「習慣化」するのは難しいものだ。ところが1年後の歯間ブラシ継続率が約9割という「歯周病予防プログラム」があるという。開発した(財)ライオン歯科衛生研究所を訪ね、プログラムの内容について伺った。 「歯周病は自分で気づき治す病気!」 さて、歯周病にはどんな特徴があり、どんな症状があるのか? 実際にこのプログラムの開発・保健指導を行った歯科衛生士の武井氏は、歯周病の特徴を次の「3つのS」で表現することで、「予防や治療には自分の努力が欠かせない病気」だという意識づけをしたという。 Silent disease…静かに痛みがなく進行する病気 Social disease…成人の80%以上がかかっている国民病 Self controllable disease…自分自身の努力によって治す病気 歯周病はその進行度によって歯肉炎と歯周炎の2段階に分かれる。歯肉炎の症状は、歯肉が赤みを帯びる、歯磨きなどの軽い刺激で出血するなど。この段階であれば適切なセルフケアを続けることで改善ができるが、放っておくと症状は悪化し、やがて歯槽骨が破壊される歯周炎に。歯がグラグラしたり、口臭が強くなったりなどの症状が現れ、歯科医による専門的な治療が必要になる。早い段階で病気に気付き治すことが非常に大事だという。 また、歯周病は生活習慣とも密接な関わりがあり、不規則な生活やストレス、喫煙などもリスクファクター(危険因子)のひとつ。歯周病とメタボにも密接な関係があるとされているそうだ。 意外と知らない歯間ブラシの効果的な使用法とは? 最後に自分でできる歯グキの健康チェック法と効果的な歯間ブラシの使い方を聞いた。歯グキの状態や歯間ブラシの効果を「客観的な指標」でセルフチェックすることで、モチベーションを上げることができるという。 1.歯グキの健康チェック まずは、現在の歯グキの健康度を確認しよう。色、形、感触、出血の4つのポイントから見分けられる「歯グキのSOSチェック表」で確認する。1つでもSOS項目に該当すれば歯グキのSOS信号だ。 ■チェック表1―歯グキのSOSチェック表 チェック項目 健康 SOS 1 歯肉の色 ピンク色 赤色 2 ○内の歯肉の形(※) 三角 丸い 3…
歯を白くするためのポイント
はじめに キレイな白い歯になりたい☆ STEP1 【歯磨き】 白い歯を保つ為に、歯磨きは大切なポイントです。ですが、きちんと磨いているつもりでも、歯ブラシが歯に上手くあたっていない事もあります。鏡などを見て、歯ブラシがきちんとあたっているか確認してみましょう。 STEP2 【ステインの原因】 歯の白さを保つ妨げになる、ステインの原因についても少し意識してみましょう。コーヒーやタバコ、などのほかにも、ステインの原因になりやすい、飲み物や食べ物があります。これらの原因についても知り、生活の中で少し気を付けて対策を考えてみるのも良いでしょう。 STEP3 【歯医者さんに相談】 長く歯に定着してしまった汚れは、自分では簡単に落とせない事もありますので、定期的に歯科などに行って、キレイにしてもらうのも良いでしょう。歯磨きに関するアドバイスをもらえる事もあります。歯科ホワイトニング機器
放って置いちゃダメ! 3つの歯茎トラブルを考える!
普段あまり気にしない身体の部位のひとつに、歯茎があるのではないでしょうか。 今回のテーマは歯茎トラブル。歯茎から血が出る、はれる、下がってくる……この3つを今回は『歯茎の3大トラブル』と称して、Doctors Me歯科医師に話を聞きました。 Q.歯茎とはそもそもどのようなものですか。 歯ぐき(歯肉)は、歯と骨(歯槽骨)に付着する上皮性の粘膜です。 歯肉は、歯を支える歯槽骨や歯と歯槽骨の間にある歯根膜といった歯の組織を保護する役割があります。 歯肉に炎症が起きる状態を歯肉炎といいます。 歯と歯の間の歯肉(歯肉が△に見える部位)は歯間歯肉と呼ばれ、歯肉炎は通常この歯肉から始まります。 歯と辺縁歯肉からなる隙間の部分は歯肉溝と呼ばれています。 この歯肉溝が正常な場合は2ミリ以下の深さです。 炎症が続き、歯肉溝にプラークが溜まると歯肉溝の深さは3ミリを超え、溝は歯周ポケットと呼ばれます。 4ミリ程度になると歯周ポケット内の炎症が強くなり、歯を支える歯槽骨も吸収を始めます。さらに炎症が続くと重度の歯周炎、歯槽膿漏になっていきます。 ※歯周病の進行 Q.「歯茎の出血」について教えてください。 ≪よく見られる原因≫ ・強圧で歯ブラシを歯肉に当ててしまった ストロークを大きく歯ブラシをすると、誤って歯肉を傷付けてしまうことがあります。 歯みがきをする時は鏡を見て、丁寧に歯ブラシを歯と歯肉に当てましょう。 ・歯と歯肉の境にプラーク(歯垢)が残っていた 歯と歯の間の歯肉(赤味を帯びて、やや腫れている)にプラークが溜まりやすくなります。 すると歯肉から血が出るので、歯ブラシを当てていいのか迷うことがあるかもしれませんね。この場合、やわらかい歯ブラシなどでやさしくブラッシングしましょう。 そのまま歯ブラシをしないでいると症状は悪化してしまいますが、プラークを除去することで歯肉からの出血も治まり、数日以内には歯肉の腫れも引いていきます。 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬)を服用している方は血が止まりずらいと言われています。そのため、歯肉から血が出ないようにと歯ブラシを歯肉に当てないようにする患者さんがいらっしゃいます。 プラークコントロールができていれば歯肉からの出血はしないのですが、このように歯ブラシを当てないでいると、慢性的にプラークが溜まり症状は悪化していきます。 また、この薬を服薬している患者さんの年齢から推測するに、歯周病を進行させることにもなります。 ≪歯医者に行くとき≫ 歯肉炎が原因の出血であれば丁寧なブラッシングをすると症状は数日以内に治まりますが、歯や歯周炎が原因だと出血や膿が出てくる場合もあります。この場合は歯科を受診しましょう。 ≪歯肉の出血の予防≫ 普段から磨きにくいところも丁寧に歯ブラシを当てるようにしましょう。 出血していなくても歯ブラシが当たって痛いところは、やわらかめの歯ブラシなどを併用してもらうとよいでしょう。…
その歯ブラシ何カ月使ってる? 歯に関する調査を発表-ライフメディア
ライフメディアは、同社が運営するパネル「ライフメディア」にて、歯に関するインターネットリサーチを実施した。 歯みがきの時間、3分未満が半数以上 10代から60代までの男女1,359名のアンケート結果を集計したところ、1日の歯みがき回数は、2回が、1回が、3回がという結果に。男性よりも女性のほうが磨く回数が多い傾向がある。 また、1回の歯みがきの平均時間は、1~3分未満と答えた人が、3~5分未満と答えた人がだった。の人は1回に10分以上磨いていた。 男性より女性のほうが口腔ケアに気を遣う傾向 歯ブラシの交換間隔、1カ月以内に交換している人は 次に、歯みがき時に使っている道具を聞いたところ、歯ブラシと答えた人は。以下、歯間ブラシが、電動歯ブラシが、デンタルフロスがなどの回答があった。歯磨き粉を挙げた人は、洗口液はだった。 使用しているのは「歯ブラシ」が9割以上と圧倒的 歯ブラシの交換間隔の質問では、1カ月に1回程度と答えた人が、2カ月に1回が。3カ月以上使い続ける人はに上った。歯ブラシは使っているうちに洗浄能力が落ち、歯ぐきの傷付きや雑菌の繁殖などもあることから、一般的には1カ月以内での交換が望ましいとされている。
歯の長寿化進む一方で減らない歯周病。歯科・口腔外科教授が予防策を説く
80歳で自分の歯を20本以上持つ日本人が初の30%超え ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニーは、6月に厚生労働省が6年ぶりに発表した「平成23年歯科疾患実態調査」の結果について、慶應義塾大学 医学部歯科・口腔外科教室 教授 中川種昭先生が解説した内容を公表した。 「歯科疾患実態調査」は厚生労働省が6年ごとに行っている日本人の歯科疾患に関する調査。2012年に結果の概要発表が行われた平成23年歯科疾患実態調査は、1歳以上の男女4,253名(男1,812名、女2,441名)を対象に2011年11月に実施された。 この調査により、8020達成者(80歳で20本以上の歯を有する者の割合)が初の30%(推計値)超え、80歳での1人平均残存歯数も本と前回調査より増加していることが判明。40歳以上の全ての年齢層で前回調査(平成17年)から増えており、特に75~79歳では20ポイント以上と優位な上昇が見られた。一方、中~高齢者の間で歯周病などの口腔(こうくう)トラブルを抱えている割合が上昇。また、ブラッシングによる日常ケアが定着し、毎日の歯みがき回数は依然増加傾向であることが分かった。 歯科医療の進歩により、80歳で20本以上の歯は可能 この結果に対し中川先生は、前回の調査から比べると大変改善された数値となったが、安定した噛み合わせが可能な“上歯10本、下歯10本”を基準とすると、今回の80歳での平均残存歯数本が20本により近づいていくことが望ましいとコメントした。実際、歯みがき習慣の改善など口腔(こうくう)ケア意識の高まりや近代的な歯科医療により、今後も日本人の歯の残存数は増え、そう遠くない未来に8020の目標値は達成されると見ている。しかし、歯の残存数が増えるのに伴い、ますます歯周病が増え、毎日のケアが重要となることを指摘している。 また同調査により、中等度の歯周病といわれる歯周ポケット4mm以上の人は、高齢者層(65~69歳、75歳以上)および若年層(20~24歳)の間で前回調査より増加していることが分かった。特に80~84歳の人は、前回調査よりポイント増と大幅に上昇。 この結果に対し、「日本人の残っている歯が増えているということは、当然のことながら歯周病のリスクも高まります。特に高齢者は唾液の分泌量減少や口内細菌に対する免疫力の低下、さらに、ブラッシングが以前より上手に行えなくなるなど、様々な歯周病罹患(りかん)のリスクにさらされています。高齢化の進む日本では、今後しばらくは歯周病は増加傾向を示すと考えられます」とコメント。また、若年層で歯周病が増えたことに対しては、自立して親の関与から離れたことで、歯みがきなどのセルフケアがずさんになっていることを要因のひとつとして挙げている。 毎日の歯みがき回数は依然増加傾向 歯ブラシにデンタルフロスやマウスウォッシュを組み合わせて歯周病予防 さらに調査では、毎日2回以上歯みがきを行う人が7割以上というが判明した(1日2回、3回以上)。特に3回以上磨く人は、前回調査時よりポイント増加している。しかし、1日3回以上歯みがきをする人はまだ25%と多くないのが現状だ。歯科医療機器 中川先生は、「歯周病や虫歯などの口腔トラブルを減少させるには、歯ブラシの届かない歯間部を掃除するデンタルフロスや、口内細菌を殺菌するマウスウォッシュなどを組み合わせることが重要です。そして、歯科の定期検診に加えて、予防意識を持って日常のオーラルケアを行うことが何よりも大切だと考えます」とコメントした。
歯肉炎を放置しておくと口臭や早産リスク増大につながる!
歯みがきをしているときや硬いものを食べたときに、歯茎から血が出てしまった――。そんな経験のある人は、歯肉炎を疑ったほうがよいだろう。現代人の多くが患っているという歯肉炎だが、その症状とは具体的にはどのようなものがあるのだろうか。 今回は、矯正歯科クリニック院長の今村美穂医師に、歯肉炎の症状と歯肉炎になりやすい時期や、生活習慣などについて詳しく解説してもらった。 歯肉炎は歯周炎の前段階 歯肉炎は「歯周炎」と深い関わりがある。歯周炎はかつて「歯槽膿漏(のうろう)」と呼ばれており、歯の周りの骨が溶けて最終的には歯が抜けてしまうという怖い病だ。歯周炎と歯肉炎をまとめて「歯周病」と呼び、歯肉炎は歯周炎の前段階だと今村医師は話す。 「歯周炎を引き起こす細菌が歯槽骨(しそうこつ: あごと歯を結ぶ骨)に入っていくときの最初の症状が歯肉炎です。細菌が歯槽骨まで到達せず、歯肉のところで炎症を起こして腫れている状態になります。それがもう少し深部まで入ってくると、歯周炎になってしまいます」。 悪化して歯周炎になる前に、何とか対処しておきたいもの。自分が歯肉炎かどうかは、どこで判断すべきだろうか。 「歯周炎のように口臭がするなどの症状が出にくいので、知らずに進行してしまっているのが歯肉炎です。歯みがき時に『痛む』『しみる』などの症状がある場合には要注意ですし、出血があれば、ほぼ歯肉炎と考えて問題ないと思います。歯肉に炎症ができることで腫れてしまって、出血するというのが最も大きな特徴です」。 歯茎から血が出てしまえばほぼ間違いないが、歯肉炎はそれ以外には自覚できる症状が少ないことから、いつの間にか病状が進行してしまうところが怖いところ。血が出ていなくても、歯茎が腫れて赤くなっていたり、痛んだりしみたりするようなことがあれば、早めに歯科クリニックなどに行って対策したほうがよさそうだ。では、歯肉炎になりやすい生活習慣や環境はあるのだろうか。 「細菌感染ですから、口腔(こうくう)内に歯周病菌が生息しやすい環境を与えたり、細菌の温床になってしまうような場所があったりすると、そこに棲みついてしまいます。結局は、歯みがきなどで口腔内のよい状態を長い時間持続させることが一番です。また、歯列が良くないと歯周炎の温床となる場所を作りやすいですね」。 歯みがきで温床となる部分を除去することも重要だが、口腔内の乾燥も悪化の要因となるので、口呼吸ではなく鼻呼吸を心がけよう。他に血糖値が上がると歯肉炎が改善しないというデータもあり、間食をなるべく控えることも推奨されている。 思春期や妊娠期は歯肉炎になりやすい つまるところ、口腔内をいつも清潔に保ち、プラークや歯石などのない状態をなるべく長く保つことが何よりの予防になるわけだ。だが今村医師は、特に歯肉炎になりやすい時期があると解説する。それは思春期と妊娠期だ。 「思春期や妊娠期はホルモンのバランスが変わって新陳代謝が激しくなり、細胞の活性が盛んにおこなわれます。そのような時期は、歯肉炎の原因となる菌に過剰に反応してしまいます。また、妊娠初期のつわりなどで吐くこともあるでしょうが、嘔吐(おうと)で口の中が酸性になって虫歯のリスクも上がってしまいます」。 つわりがつらくて歯みがきを簡単にすませてしまい、いつの間にか重度の歯周炎に移行してしまうケースも多くあるという。X線フィルム自動現像機 さらに、妊娠期についてはおなかの中にいる子どもへの影響も懸念されている。歯肉炎が悪化した歯周炎を持つ患者における早産・低体重出産の出産リスクは、通常時の約倍にもなるというデータや、歯周病菌が母体を通じて胎児にも感染してしまうという報告もある。どんなにつわりがつらくても、子どものためにはしっかり口腔内をきれいにしておきたいところだ。 「妊活のお気持ちがあるのであれば、その時点で口腔内の状態をよくしておくことが、お母さんの心構えのひとつだと思います。歯周病菌が一度でも口腔内に着床してしまうと、完治することはありません。お子さんへのリスクを考えると、妊活の前に口腔内のよい状況を維持できるように改善していくことが大切です」。 「ちょっと血が出たくらいだから」と軽く考えている人も少なくない歯肉炎。ところがそれを放置していると、水面下で静かに歯周炎へと進行して取り返しのつかない事態になりかねない。毎日の歯みがきで自分の口の中をしっかりと把握し、歯や歯茎からのサインを見逃さずに対処することが歯肉炎を寄せ付けない最善の方法といえるだろう。