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スポーツ歯科とは? 2020年五輪に向け重要性が高まる歯科医の活躍

全国の私立歯科大学・歯学部(15大学17歯学部)が加盟する一般社団法人日本私立歯科大学協会は10月21日、国民生活と密接な関わりを持つ歯科の最前線を伝える「第5回歯科プレスセミナー」を開催した。 セミナーでは、同協会の副会長・専務理事である明海大学の安井利一学長より、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて重要性が高まっている“スポーツ歯科”に関する講演「歯科とスポーツを探求する―健康づくりと安全対策そしてスポーツ・パフォーマンスまで」が行われた。 ◆ロス五輪後、スポーツにおける歯科の重要性が認識される 安井利一学長は、日本スポーツ歯科医学会理事長、日本臨床スポーツ医学会常任理事、国立スポーツ科学センター非常勤医師、日本体育協会スポーツデンティスト部会委員を務めるなど、日本におけるスポーツ歯科の第一人者である。 1986年のロス五輪まで、日本ではオリンピック出場選手に対する歯科の組織的なケアは行なわれていなかったが、歯科トラブルによってベストパフォーマンスが出なかったと言う選手が大会後に20数名いたことが判明。それ以降、オリンピック特別強化指定選手は全員が内科・整形外科に加え歯科の定期健診を受けることになったという。 安井学長が1990年、米国コロラドスプリングスにあるUSOC(米国オリンピック委員会)トレーニングセンターを視察した際、診察室の環境や選手の健康管理などあらゆる面で日本と大きく異なり、非常に驚いたという。たとえば、当時の日本ではボクシングの選手ですら口にフィットしない既製のマウスガードを装着していたが、アメリカでは歯科医の指導のもとで選手一人ひとりのマウスガードが作られていた。そうした現実を目の当たりにし、安井学長は「我が国の歯科のサポートは今のままでいいのだろうか」という思いを強く持ったという。 私たちは重い物を持ち上げる時など、dentalzz手や足に力を入れる瞬間は自然と歯を食いしばる。歯の状態や咬み合わせが運動パフォーマンスに影響することは、伝承や経験としては知られていたが、安井学長がUSOCを視察した当時の日本では、なぜそうなるかという“サイエンス”に基づくエビデンスがなかった。いわゆる“根性論”ありきの時代だったのだ。 ◆歯や咬み合わせに関するサイエンスからのアプローチが進む しかしさまざまな調査や研究が進み、運動と歯・咬み合わせに関する様々な関係がわかってきている。たとえば、ゲートボールの上手い高齢者が入れ歯を外すと下手になってしまうのは、歯がないと下顎が固定されず頭が動いて体の軸がぶれるからである。また、咬み合わせの力が弱いと動作に時間がかかり、咬み合わせの面積が広いと体のふらつきが少ない。こうしたサイエンスに基づく研究は現在、2020年に開催されるオリンピック・パラリンピック東京大会に向けてさらにそのスピードを高めている。 2011年の「スポーツ基本法」には歯学の役割が明記され、また2012年の「スポーツ基本計画」で歯学がほかの分野と連携しながら研究を進めることが求められるなど、医学、生理学、心理学などとともに、歯科はスポーツにおいて重要な役割を担うようになっている。 ◆咬み合わせの良さが有効に作用するスポーツもわかってきた 咬み合わせは、スポーツ全体の約70%の種目でパフォーマンスに関わってくると考えられている。たとえば、射撃やアーチェリーなどの競技種目では、咬み合わせの面積が広いことが重要と推察されている。これは、咬み合わせがなくなると頭が動き、その動きのバランスをとるために手足が動くと言う「姿勢反射」が起きるからだ。 また私たちの体には、ある部位に力を入れると離れた部位の筋肉が興奮する「遠隔促通(えんかくそくつう)」という機能が備わっている。そのため、歯を咬みしめて咬筋(こうきん)を収縮させると足や手首で伸筋と屈筋が興奮し、関節が固定される。これを利用すれば瞬間的に関節を固定する重量挙げや腕相撲、あるいはテニスでボールを打つ瞬間などに運動の効果が高まると推察される。逆に、舌を出すなどして歯を咬みしめない状態にしていれば、関節が固定されないので素早くしなやかに動ける。テニスや野球などでボールを打つ瞬間以外はリラックスしていたほうがいいのは、こうした理由からだ。「筋力をうまく使うには練習を重ねることが重要。それも、ただ繰り返し練習するのではなく、歯科医学的なエビデンスを取り入れながらより効率的に練習することが必要」と安井学長は強調する。 ◆「スポーツで前歯を失う子どもを減らしたい」―予見学習やマウスガード装着の普及啓発にも取り組む アスリートのパフォーマンスに加えて、スポーツ歯科では体育活動における外傷予防も重要なテーマとして捉え、啓発活動にも取り組んでいる。スポーツで前歯を失う中学生・高校生は多く、それを減らしていくには子どもたちに対する教育が重要になるからだ。 ルールの理解や技術の習得、用具の管理に加えて、教育で特に重要なのは「予見学習」である。すでに体育活動における過去のデータを見れば、どの競技で外傷が多く起こっているか、また外傷がどの部位に多いかもわかっており、そのエビデンスを基にきちんとサポートすることが求められる。そしてもう1つ重要なのが安全具の装着だ。中学校のバスケットや高校の野球は外傷が多く、その部位も上の前歯に集中していることから、こうした体育活動でマウスガードの装着が徹底されれば外傷の可能性は大きく減る。 ◆超高齢化社会を迎えた日本で歯科医療教育はますます重要に 安井学長の講演の後には、神奈川歯科大学大学院口腔科学講座社会歯科学分野の山本龍生教授より、「歯の健康とその後の認知症・転倒・要介護の関係―歯科から健康寿命延伸への貢献を目指して―」と題した講演が行なわれた。 日本人の「要介護」の期間は世界的に見ても長く、いかにして健康寿命を伸ばすかが重要な課題になっている。そんな中、最近の研究において歯の健康が悪化することで認知症や転倒・骨折のリスクを高めることが明らかになってきた。これは、「要介護状態になったために歯の手入れができなくなって歯の健康が悪化する」というこれまでの想定とは逆のルートであり、山本教授は要介護の約55%が歯の健康と関連していると見ている。私たちが「8020」(80歳で20本以上の歯を保つこと)を達成し健康寿命を伸ばすためにも、歯を失う原因となる虫歯と歯周病の予防がますます重要である。 ◆2020年とその先に向けた歯科医の適正配置と啓蒙活動も展開 人生を豊かに過ごすために必要な歯科知識の啓蒙や2020年に向けたスポーツ歯科の重要性は今後さらに高まるようすだが、スポーツに携わる歯科医の数は現状、足りているとは言い難い。 安井学長によれば、歯科医は病院に属したり開業を行う一般歯科医のほか、日本スポーツ歯科医学会の認定医や日本体育協会が認定するスポーツデンティストが存在する。認定医もスポーツデンティストも一般の歯科医療も行いながら行う活動のひとつだが、いずれも現在歯科医の資格を持つ医師にはまだ馴染みがないという。 各歯科医の活動は実にさまざまだが、認定医とスポーツデンティストで大きく異なる点はスポーツ選手への関わり方にある。認定医はオリンピック関連の大会や健康診断でスポーツドクターとして選手の診療にあたり、スポーツデンティストは各都道府県の競技団体に属し国民体育協会と協働し国体選手の歯科健康の維持を担う。例外もあるが、スポーツに携わるトップアスリートたちの歯の健康を担う歯科医界にとっては、いずれの歯科医も今後増員を必要としているという。 安井学長はスポーツと歯の健康に関し、学校体育の現場や生涯スポーツに関わる人々、競技スポーツに関わる人々に3つのアドバイスを提示している。学校体育の現場に携わる学校医には、部活や授業による前歯欠損の際にできることを通達しているとともにマウスガードの使用も推進。日本私立歯科大学協会も、学校医に有事の際の対応方法を明示したパンフレットを配布しているという。テニスやゲートボールなど、生涯スポーツに携わる人々には噛み合わせの定期的なチェックを呼びかけた。また、競技スポーツに携わるトップアスリートたちには、専門的なスポーツドクターに係るようアドバイスしている。 2016年度の歯科医志望者数は確定していないものの、暫定数を見ると歯科医を志望する学生の数は年々上昇している。安井学長は「美味しく食事を採る、会話するといった歯の健康はスポーツ界のみならず長寿社会を迎えた日本にとって大切なもの」とコメント。優秀なスポーツ選手を育む土壌にはスポーツに知見のある歯科医がさらに必要だとし、学生や現在の歯科医に向けてスポーツと歯の関わりを啓蒙していきたいとした。 ◆歯科医師の養成に向けて―人々のQoL向上のために 歯科プレスセミナーはこれまでに、口腔がん、アンチエイジング医学、口腔機能と脳の科学、肺炎予防のための口腔ケアなど、歯科医学・歯科医療から国民生活を考えるテーマについて講演を行なってきている。司会を務めた日本私立歯科大学協会副会長の小林馨氏(鶴見大学歯学部長)からは、「対象疾患に変化が出て起きており、歯周病が2型糖尿病、心血管系疾患、未熟児・低体重児出産などと関連することが分かってきている」との紹介もあった。まさにこれからの歯科医療は、単に虫歯治療にとどまらず、私たちの体の健康やQoL(Quality of Life)と直結するものと言えるだろう。 明治時代、富国強兵の名のもとに医学教育が国策に据えられた一方、歯科医学教育を政府は推進しなかった。そのため歯科は個人の歯科医師の努力によって私立大学に設立され、その経緯から現在も歯科医師の約75%は私立大学出身者が占めているといい、日本の歯科医療教育における私学の貢献は大きい。日本私立歯科大学協会では、歯科医学・歯科医療との現状と将来について社会に発信するとともに、加盟校間の様々な情報交換、教員や職員等の資質向上のための研修などを行ない、これからますます活躍の範囲が広がる歯科医師の養成に取り組んでいくとしている。
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あごカクッて音してる?歯のひび割れも引き起こす「無意識な食いしばり」習慣

長時間同じ姿勢でパソコンの画面を見たり、何かに熱中していると、無意識に歯を食いしばっていることありますよね? これが原因であごへの負担が大きくなり、「口が大きく開かない」「あごが痛い」という人が増えているそうです。 なんでも、上下の歯の接触時間が健康に深刻な被害を及ぼすそうなんですが、ご存知でしたか? そこで今回は、東京医科歯科大学准教授・木野孔司さん監修の『自分で治せる!顎関節症』を参考に、歯周病や歯のひび割れまでも引き起こす“歯の食いしばり”のリスクについてお話しします。 ■1日20分以上の歯の接触が大きな負担に 口を閉じているとき、上の歯と下の歯は接触していますか? 実は、上下の歯と歯の間にわずかな隙間があるほうが、関節や筋肉にとっては楽な姿勢なのだそうです。 ものを食べたり、会話をしているときに歯と歯が接触するのは瞬間的なものです。接触する時間を合計しても1日20分程度であるのがよいそうです。 20分以上歯と歯を合わせ続けてしまうと、関節にも筋肉にも余計な力がかかり、大きな負担になるといいます。軽い接触でも、あごの筋肉に負担がかかり、更には関節が圧迫され、筋肉は緊張状態になります。 この状態になってしまう癖を、専門用語でTHC(Tooth Contacting Habit)と呼ぶそうです。 ■口を閉じたときの舌の位置に注意 力を込めて食いしばるのは一瞬ですが、軽い接触は長時間化になりがちで、問題はより大きくなるといいます。 問題なのTCHであるという自覚がない人が多いということです。TCHの目安になるのは、口を閉じて歯の位置を確かめてみることも大切ですが、そのほかにも舌の位置で確認するという方法もあります。 上あごの面に舌全体がぴったりついている、または舌先が下の前歯の裏側についている、という人はTCHの可能性が高くなるので注意しましょう。 ■口の中のあらゆるトラブルに では、TCHによりどのような障害が起きてくるのでしょうか? まず、歯ぐきに負担がかかることで歯周病にかかりやすくなります。そして、歯の下部にあたる顎関節にも負担がかかり“顎関節症”(がくかんせつしょう)をひきおこしやすくなるそうです。 また、歯自身にも負担がかかり、ひび割れを起こします! それにより、血管や神経を圧迫し痛みも伴ってきます。このようにして、口全体のトラブルにかかわってくるのです。歯科機器通販 ■まずは自覚することから 夢中になって作業しているとき、姿勢が悪くなっているときにTCHは起きやすくなります。また、ストレスを抱えていると全身の筋肉に力が入り、無意識のうちにあごにも力が入ってしまいますよね。 “歯を食いしばっている”と感じたら、体の力を抜いてみましょう。まずは気づくことから、そして、自分で治すという強い意志をもって生活習慣を見直していことが大切です。 以上、口全体のトラブルを引き起こそす“歯の食いしばり”のリスクについてお伝えしましたが、いかがでしたか? これから、クリスマスパーティや忘年会・新年会などのイベントで、たくさんおいしいものを食べる機会が多くなりますね。おいしいものを不自由なく食べるために、歯と舌の関係を意識しながら、食生活、日常生活を送ってみてはいかがでしょうか?
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生理前・生理中に歯痛が起こる原因とは

急に歯が痛くなることが何度かあり、思い返してみると、生理前や生理中だったということはありませんか?また、そのとき歯医者に行ったものの、特に虫歯も見つからなかったという経験がある人もいるようです。生理と歯痛にはどのような関係があるのでしょうか。生理前や生理中に歯痛が起こる原因について解説します。 月経前症候群の症状のひとつ 女性は、生理が近づくと黄体ホルモンの分泌が活発になります。ホルモンのバランスが変化することで、生理が始まる1~2週間ぐらい前から、女性の身体にはさまざまな不快な症状が現れます。これを月経前症候群(PMS、Premenstrual Syndrome)と呼んでいます。 PMSの症状のひとつに、歯痛があげられます。ほかにも、下腹部痛、腰痛、下腹部の張り、乳房の痛み・張り、頭痛、肩こり、めまい、冷え、肌荒れ、むくみ、便秘・下痢、イライラする、疲れやすい、のどが渇く、憂鬱になるなど、人によってさまざまな症状が見られます。PMSによって睡眠不足になったり身体が疲れたりすると、免疫力が低下し、炎症反応が強く出やすくなります。炎症反応が強く出ると、もとからあった炎症も悪化しやすくなります。また、免疫力が低下すると細菌にも感染しやすくなるため、虫歯や歯肉炎などのトラブルも起こりやすくなります。 もともと虫歯がある場合も 痛みは感じない程度の虫歯が、生理になると痛み出すこともあります。 女性の身体は生理になる直前から、子宮の収縮を促進して、子宮内の血液を排出する「プロスタグランジン」という物質が多く分泌されるようになります。プロスタグランジンは、発痛増強物質であり、下腹部痛などの生理痛の原因となります。また、歯痛の原因物質でもあるため、分泌量が多いと歯の痛みが強くなることもあります。タービンハンドピース 生理中に分泌された女性ホルモンは、歯茎の毛細血管まで行き届きます。歯周病菌の中には、女性ホルモンを栄養源として活性化し、増殖するものがあるため、生理中は特に歯肉炎になりやすいと言えます。 歯や歯茎に痛みの出やすい生理前や生理中は、特に口の中や歯、歯茎を清潔にしておくことが大切です。そして、少しでも痛みが出た場合は、早めに歯医者を受診し、症状が進行しないうちに治療しましょう。
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【歯科医師が教える】入れ歯とインプラントの違い。どっちを選択すべき?

失った歯を補う代表的な治療方法 入れ歯やインプラントはいずれも失った歯を補うための治療法です。 虫歯や歯周病、事故などで歯を失いそのままにしていると、咬み合わせに影響が出てきます。正常な生活を送るためには、入れ歯やインプラントといった方法で、失ったところを何かしらで補わなければなりません。 少ない本数や部位によってはブリッジという被せもので補うこともありますが、ここではよく話題となる入れ歯とインプラントの違いについてお伝えしましょう。 入れ歯とは? 残っている歯に金具を引っかけて、失った部分にプラスチックの歯を入れる方法です。 周りの歯に引っ掛けているため、毎食後取り外して洗い、支えにしている歯もよく磨く必要があります。なお歯をすべて失っても、唾液や吸着力で支えることができるので作成することができます。 インプラントとは? 失った部分の骨に直接芯を打ち、歯の形の被せものをする方法です。 骨に埋まっている芯と組み合わせるため、自分で取り外しをすることはありません。他の歯と同様にしっかり磨き、メンテナンスの際にインプラントの内部を確認します。入れ歯と比較すると他の歯への負担が少なくなります。 インプラントのデメリット 以上のことだけを考えると、インプラントのほうが魅力的に思われるかもしれません。しかし、インプラントには入れ歯に比べて以下デメリットがあります。歯科ユニット 1. 身体への負担 インプラントには外科処置が必要なため、入れ歯の作成に比べ身体への負担が大きくなります。もちろん麻酔は使用しますが、心の準備が必要な人もいるでしょう。また飲んでいる薬や持病によっては受けられない場合もあります。 2. 金額と作成期間 入れ歯は保険が適応されるため、通常1万円前後で作成出来ます。また1~2ヶ月で完成します。(素材や金具を変える場合は自費) 一方インプラントは、メーカーや病院にもよりますが全て自費となるため、1本につき30万円、作成期間は半年から1年ほどかかります。 入れ歯とインプラント、どちらがオススメ? 本物の歯にかなり近い仕上がりや噛み応えを重視する人は、インプラントを選ぶ傾向にあります。 入れ歯は歯茎を模した大きなプラスチックが口に入るため、見た目で他人に気づかれてしまったり、口の中で違和感があり、噛んでいる感じがわかりづらいといいます。 このようにそれぞれにメリット・デメリットがあるため、十分に歯科医師と相談しながら、自分に合った方法を選択するようにしましょう。
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歯垢沈着で女13.1歳、男8.6歳の寿命短縮「皆歯が命」と医師

白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏が、歯垢と寿命の関係について解説する。 * * * 歯垢(しこう)とは、細菌が凝集して形成されたビオフィルム(菌膜)であり、歯の表面に沈着する。歯垢が沈着すると歯肉炎を引き起こし、最終的には歯の損失に至る。 歯垢は、動脈硬化に関与することも知られている。動脈硬化病変に歯周病菌が検出される一方、歯垢の治療をすることで動脈硬化病変が改善するという報告もある。そんな中、歯垢に関する新たな研究結果が注目されている。 スウェーデン・ストックホルムのカロリンスカ研究所歯学部門のビルジッタ・セーデル博士は、明白な歯周病が認められなかった30歳~40歳のストックホルム在住の健常な男女1390人を対象に、1980年代半ばから24年間にわたって歯垢の沈着や歯周病の程度と死亡率の関係を長期的に追跡調査した。 2009年までに1390人中58人が亡くなったが、セーデル博士が生存者と死亡者の歯垢の沈着状況を調査したところ、死亡者には歯茎が歯垢で覆われている症例が多かったのに対して、生存者の歯垢は部分的な沈着である症例が多かった。この調査で歯垢沈着の程度と死亡率の間に明らかな関連性が見いだされたという。 さらに、死亡した女性の平均年齢は歳、男性の平均年齢は歳で、スウェーデンの統計データによる標準余命と比較した結果、歯科用タービンハンドピース歯垢沈着を認める女性では歳、男性では歳も寿命が短縮している計算となった。 死亡した58人中、がんに罹って亡くなった人は35人におよんだ。死因となったがんは、女性では乳がんが最も多かったが、男性では前立腺がんや悪性黒色腫、消化器がん、肺がんや脳腫瘍など様々ながんが報告された。 これらのがんの発症に歯垢がどのように影響しているのかは、この調査研究では結論が出なかったが、セーデル博士は「感染症や炎症が全悪性腫瘍の15~20%に関与することから、歯垢が口腔や全身の感染症や炎症を引き起こし、がんの発生率を上げている」可能性を指摘する。歯垢が脳の機能低下や動脈硬化、がん発症にも関与するとなると、やっぱり皆「歯がいのち」なのである。
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がんの放射線治療が少し楽になるかもしれない、副作用の口内炎の治療と予防に効果のある薬が検証中

がんの放射線治療や化学療法にはさまざまな副作用がある。放射線治療による口内炎もその一つ。 口内炎の予防と治療に効果のある新薬が検証中で、苦痛を和らげてくれるかもしれない。 がん治療の副作用 コロラド大学がんセンターから、2015年8月に紹介されている。 がんの治療中には、さまざまな副作用が出てきて、がんを抱える本人を苦しめる。その中には、疲労、吐き気、嘔吐や、痛みなどがある。 その一つが、口内炎。放射線治療の副作用としてよく見られるが、これまであまり注目されてこなかったと研究グループは説明する。 なぜ口内炎ができるかは、細胞が傷付けられるから。がんの放射線治療は、がん細胞を破壊し、同時に健康な細胞も傷付けている。口の中の細胞は急速に分裂しており、放射線治療による影響を受けやすい。回復するのが間に合わず、口内炎や感染症を起こす。 炎症の経路をブロック 新しい薬剤候補は、重要な炎症経路をブロックするという。「形質転換成長因子β(TGFb)」「NFKb」と呼ばれるものに働いて、感染に対する免疫反応を調節するもの。歯科用高圧蒸気滅菌器 脳腫瘍と、頭頸部がんで臨床試験が進められる。放射線治療を受けている期間中、週に2~3回、点滴で投与される。 将来的にはさらに多くのタイプのがんに使えるようになるだろうと、研究グループは予想している。 さらに、薬剤候補に抗がん作用もある可能性が示されたという。 口内炎を治療することで、生活の質が大きく改善される。実量化されると、大切な治療となりそうだ。
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還暦過ぎの歯周病0は8% 郷ひろみは歯磨き1セット10分程度

最初は歯肉(歯茎)の部分が赤くなり、少し腫れる。痛みはないが、そのまま何もしないでいると、歯茎はさらに腫れ、歯をさわるとぐらつくようになって、ときどき口臭や膿のにおいさえ感じられたりしているうちに歯が抜けてしまう…これが歯周病だ。 加齢とともに罹患者は増え、「国民の8割が歯周病」といわれている。 そんななか、10月18日に60才の誕生日を迎えた郷ひろみが、全国ツアー最終公演を迎えた日に、「歯周病0」を明かして話題になった。歯科医師で国立保健医療科学院統括研究官の安藤雄一さんに話を聞いた。 「本質的には年を取ったから歯周病になるとはいえないんです。ただ現象としては、年を取った人のほうが歯周病は進んでいるのも事実です。国の調査では、全国の60才前後の年齢で、全く歯周病の疑いのない人は8%しかいません」マイクロモーター 2011年歯科疾患実態調査で、60~64才の男性のうち、歯肉に歯石や歯周病などの所見がない人の割合はわずか%という結果がある。 「歯周病にならないようにするためには、たばこを吸わない、虫歯にならないのも予防法の1つ。というのも小さな虫歯だとあまり問題ありませんが、大きな虫歯の場合、治療で詰め物をすることになります。詰めるとどうしても詰める部分に段差ができてしまい、そこに汚れがたまりやすいんです。歯周病の原因となる菌は空気がないところを好む。そうなるとにおいも伴ってくるんです。 歯周病を防ぐには、毎日の歯みがきが重要ですが、においや出血、あるいはむずむずするなど何か違和感があるところは、重点的にしっかりと磨きましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを使うと効果があります。また、自分で汚れをすべて取り除くのは難しい場合が多いので、歯科医で歯石を取ったり、クリーニングをしてもらうことが必要です。状態がいいかたは1年に1回でいいですが、そうでなければ3か月に1回など、定期的に通院しましょう」(安藤さん) ちなみに郷は、朝食後、ランチ後、ディナー後、就寝前の1日4回、歯ブラシ、デンタルフロスを用いた歯みがきと、舌磨きを欠かさない。1回にかける時間は1セット10分程度だという。
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理研と東京医科歯科大、歯胚の分割操作で歯の数を増やす技術を開発

理化学研究所(理研)と東京医科歯科大学は12月24日、歯のもととなる原基「歯胚」の分割操作を行うことで歯の数を増やす技術を開発したと発表した。 同成果は、理化学研究所 多細胞システム形成研究センター 器官誘導研究チーム 辻孝 チームリーダー、東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 顎顔面矯正学分野 森山啓司 教授、大学院生の山本直 氏らの研究グループによるもので、12月17日付の英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。 今回、同研究グループは、胎齢日のマウスの臼歯歯胚をナイロン糸で結紮することでひとつの歯胚を2つに分割し、この分割した歯胚が口腔内で正常な歯に発生するかどうか、また、再生した歯が天然の歯と同等の生理的機能を持つかどうかを検証した。 この結果、6日後には上皮組織に囲まれ、完全に分断された2つの歯胚が発生。また、分割された歯胚が口腔内で正常な歯に発生するかを確認するため、結紮歯胚をマウス腎皮膜下に移植したところ、30日後にはエナメル質、象牙質、歯槽骨を持ち、歯根膜や歯槽骨に囲まれた正常な組織構造を持つ独立した2つの歯が形成されたという。 胎齢日のマウス臼歯歯胚の結紮による分割操作と器官培養6日目の写真 歯の再生では、分割歯胚が天然歯胚と同等の組織構造を持つだけでなく、口腔内に移植したときに、移植を受ける個体の顎骨と正常に生着し、さらに周囲組織と連携し機能することが重要となっている。そこで同研究グループは、マウスの口腔内に分割歯胚を移植し、歯の発生過程をマイクロCTで観察。移植約2カ月後には反対側の歯と咬合し、機能していることを示した。さらに、分割歯に対して歯列矯正の際に加える力(矯正力)を加え、歯根膜の機能である骨リモデリングによる歯の移動について解析。歯科医療機器矯正力を加えることによって十分な歯の移動が認められ、骨リモデリングを介した歯の移動がなされていることから、歯根膜機能も天然歯と同等であることを示した。また、分割歯では神経が再生し、中枢と接続して機能的であることもわかっている。 分割歯胚の口腔内移植後の経過像。分割歯胚をマウスの口腔内に移植しマイクロCTにて萌出過程を観察したもの。移植約2カ月後には反対側の歯と咬合していることがわかる 同研究グループによると、今後はこの方法をヒトに応用することで、先天性歯胚欠損や歯の喪失患者の自己歯胚を用いて、免疫学的拒絶反応を受けることなく歯の数を増やせる可能性があるとしている。
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【カップルに悲劇】歯周病はキスで移る!?経験者の話に驚愕

©ぱくたそ 以前、しらべぇでは歯周病により総入れ歯になる恐怖を伝えた。 歯磨きで出血は危険信号!?女性の3人に1人は「よく血が出る」と回答 歯周病と聞くと若者には馴染みがないかもしれないが、けっして他人ごとではないという。とくにパートナーがいる人は、キスによって歯周病が感染することをご存知だろうか? ■歯周病とは 歯周病とは、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が歯ぐきに炎症を引き起こし、歯を支える骨を溶かしてグラグラにしてしまう病気のこと。 進行して歯ぐきからの出血などが起こった後、歯が自然に抜け落ちることもあるとか。 歯周病の原因は、歯の周りに着く汚れ(プラーク)に含まれる細菌。歯周病を患っている人とキスをしたときに、菌が移る可能性があるそうだ。 ■恋人が歯周病を患っているのは1割! しらべぇでは、アンケートサイト「マインドソナー」を使って、全国の10代〜50代の男女321名を対象に、歯周病に関する調査を実施。まず、「恋人が歯周病を患っている?」と聞くと、1割程度の人が該当した。歯科用エアーコンプレッサー ■恋人に歯周病を移された自覚があるのも1割! さらに、「恋人に歯周病を移されたことがある?」と、移された側の自覚を尋ねてみると、こちらも同様に1割程度の人が「移された」と答えているのだ。 互いに歯周病だと気づいていない場合もあるだろうが、両調査の数値はがほぼ合致している。カップルは、疑いを持ったほうがよいかもしれない。 ■経験者に直撃「彼に移されて…ショックでした」 ここで、恋人から実際に歯周病を移されたという20代後半の女性から、話を聞くことができた。 —歯周病は彼氏から移されたのですか? 「そのようです。歯科医院で先生に診てもらったときに、歯周病だと診断されました。まさか自分が歯周病になるとは考えていなかったので、ショックで…。先生に『彼氏も歯周病の治療をしている』と伝えたら、キスで歯周病菌が移る可能性があると指摘されました」 —彼にはそのことを伝えましたか? 「はい、彼も驚いていました。謝っていたけど、もしかしたら私が移してしまった可能性もないわけではないので…今になってはわかりませんが。お互いに謝りあって、これから治療と歯磨きがんばろうねと励まし合いました」 キスは、恋人との大事なコミュニケーションのひとつ。お互いのことを考え、一度しっかり歯科医院で診てもらったほうがいい。手遅れになって、総入れ歯にならないように…。
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【一般人も歯が命】歯がキレイな人は会話が得意!出世や年収にも影響が…

かつて「芸能人は歯が命」というキャッチコピーのCMが一世を風靡。歯がキレイな人には、健康的なイメージや清潔感があり、その人の魅力を一層引き立てる効果があるようです。 ただ、毎日のブラッシングや定期的な歯石除去など、美しさを保つためには努力も必要。 そこでしらべぇ編集部では、歯のお手入れに余念のないプラークコントロールの申し子たちの特徴について、アンケートを元に様々な角度から調査してみました。 Q. 歯がキレイなほうですか? 4人に1人が自分の歯はキレイと自信を持っています。 多いのか少ないのかわかりませんが、比較対象として、dentalzz「肌がキレイである」と思っている人の割合と比べてみましょう。 Q. 同年齢の人に比べて、肌はキレイなほう? 肌よりも歯がキレイであると思う人の割合が少なくなっています。 ■ 歯がキレイだとどんないいことが? まずは、歯がキレイなのと肌がキレイなのには関係があるのか、調べてみたところ… どうやら歯美人は肌美人と言えそうです。虫歯治療に使用される銀の詰め物は、金属アレルギーを引き起こす場合もあるらしいので、肌荒れに悩んでいる方は、急がば回れの精神で、歯の治療を試してみてもいいかもしれません。 ■ さて、忙しい毎日のさなか、自分の歯や肌ときちんと向き合える人というのは、しっかりものか、ちょっと余裕のある人のような気がします。という訳で、こんなアンケートと組み合わせてみました。 Q. 歯がキレイな人は出世している? 歯がキレイな人は、そうでない人よりも出世するようです。デキる男女は、ステインや虫歯菌などを寄せ付けるスキなど与えないのでしょう。玉の輿に乗りたい婚活女子の方は、相手の歯に着目してみるのも一つの手かもしれません。 続いて、生活に余裕のある人、つまり、お金持ちたちの傾向を見てみましょう。 Q. 年収は? 年収700万円以上から、歯がキレイという傾向が顕著に。とくに1000万円以上の人たちの割合の高さが目立ちます。やはりお金に余裕のある方は、自分磨きにも余念がないですね。 最後に、性格的な傾向を調べてみました。 Q. 人と話すのは得意? 歯のキレイな人は、人と話すのが得意な人が多いようです。口下手で悩んでいる人は、歯のお手入れから始めてみるのはいかがでしょうか? ■ 歯医者が苦手という人も、最近は無痛治療といって、ほとんど痛みを感じさせずに治療してくれるところも増えています。 少しのあいだ口を開けていれば、美肌・出世・収入・社交性を手に入れられるかもしれませんので、試す価値はありそうです。
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