歯石除去を自分で行う7つのステップとおすすめできない理由
前歯の歯石が気になるが歯医者は苦手で、自分でどうにか取る方法がないかと考えている方も多いのではないでしょうか。歯石除去をする道具のスケーラーは通販でも買うことができます。しかし、実は歯石除去を自分で行うことは歯医者自身でも難しいことなのです。今回はどうしても自分で歯石除去を行いたい方に7つのステップとおすすめできない理由をお伝えします。ぜひ参考にしてください。
1.自分で歯石除去を行う7つのステップ
1−1.2週間、歯ブラシやデンタルフロスで歯を丁寧に磨く
歯茎が腫れていたり、出血のある状態で歯石除去を行うと歯茎を傷つけてしまいます。歯医者でも歯茎の腫がある場合は歯磨き指導を行ってから歯石除去を行います。歯茎が腫れた状態で歯石除去を行うと、少し触っただけで出血があり、歯石がきれいに取ることができなくなります。そのため最低でも2週間はデンタルフロス等で歯を磨き、歯茎を引き締めてから歯石除去を行う必要があります。詳しくは「歯医者は絶対やっている!デンタルフロスで虫歯や歯周病を防ぐ方法」を参考にしてください。
1−2.歯石除去用のスケーラーを準備する
スケーラーとは歯石を取るための道具です。通販で売られているのは鎌のような形をした鎌形スケーラーと呼ばれるものです。スケーラーは通販で購入できます。歯医者ではすべてのスケーラーを滅菌していますが、自宅では滅菌するような機材がないためアルコールや煮沸、赤ちゃん用の消毒液などで消毒してください。
1−3.下の前歯の唇側から歯石を取ってみる
スケーラーの取り扱いには十分な注意が必要です。まず、鏡を見ながら下の前歯の歯石を取ってみます。歯の根元に沿わせ歯茎側から上に1mm程度動かしながら歯石を取ります。3本の指でスケーラーを持ち、1本の指は歯に固定させます。動かしすぎたり、手が滑るとスケーラーが歯茎や頬を傷つけ、出血が多くなるので慎重な操作が必要です。
1−4.下の前歯の舌側の歯石を取ってみる
下の前歯の舌側は歯石が多く付く部分です。鏡の前で口を大きく開け、歯石が見えるようにしながら、唇側と同じように歯茎側から上に動かすようにしてください。
1−5.歯石除去後の消毒は行わない
自分で歯石除去を行った後は消毒をしたくなるものですが、現在の考え方では傷のついた体の部分は薬で消毒はせず、水洗いで十分という報告があります。歯石除去を行った後はよく口をすすいでください。どうしても心配な方はコンクールのうがい薬で軽くすすいでください。通販等で購入可能です。
1−6.何度かに分けて歯石除去を行う
歯石除去は一度にすべてを行うのではなく、歯石を取った後、1、2週間程度しっかり歯を磨きます。そうすれば歯茎が引き締まり、隠れていた歯石が出てきます。歯石除去と歯磨きを繰り返して歯石除去を行っていきます。
1−7.担当衛生士の凄さがわかる
自分で歯石除去を行ってみると歯石除去の難しさがわかると思います。通常、歯石除去は国家資格を有する歯科衛生士が行います。歯科衛生士はできるだけ痛みが少なく、取り残しがないように歯石を取ってくれます。詳しくは「お口の健康を守るエキスパート!歯科衛生士になる方法」を参考にして下しい。
2.自分で行う歯石除去をおすすめしない理由
2−1.自分で歯石除去をしてもほとんど取れない
自分で歯石を取ってみた方はわかると思いますが、歯石はきれいに取ることはできずほとんど残ってしまいます。歯医者でも多くの部分は超音波スケーラーで歯石を砕きながら取ります。細かい部分を手用のスケーラーで取ります。詳しくは「絶対歯石を取ったほうがいい本当の理由」を参考にしてください。
2−2.重要な歯茎の中の歯石が取れない
歯石が最も歯茎に悪い影響を及ぼすのは歯茎の中の歯石です。この歯石は血液と唾液によってできた歯石で縁下歯石(えんかしせき)とよび、黒く見えます。縁下歯石があると歯周病を悪化させます。自分で歯石が取れる範囲は歯茎の上の縁上歯石(えんじょうしせき)までになります。詳しくは「危険!黒い歯石は歯茎の出血からできている」を参考にしてください。
2−3.すぐに歯石がついてしまう
歯石を取った後、歯の表面はざらざらとし細かな歯石が残ります。歯の表面をきれいに磨き上げないとすぐに歯石がついてしまいます。そのため歯医者では歯石を取り終わった後に歯の表面を滑沢にし、歯石が付きにくい状態にします。自分で歯石を取った後、歯の表面を磨くことができないためにおすすめすることができません。
2−4.歯茎に傷をつけ、下がりやすい
歯茎が腫れている状態で歯石を取ると、歯茎に傷がつきやすく通常よりも歯茎が下がってしまうことがあります。歯医者で行う歯石除去は歯や歯茎を確認しながら歯石を取ります。自分で歯石を取っていて、手を滑らせ歯茎に傷をつけてしまうと、部分的に歯茎が下がってしまうことがあります。
2−5.歯茎が腫れることがある
自分で歯石を取っている時に、歯石を歯茎の中に押し込んでしまうことがあります。歯茎の中に入った歯石によって歯茎が急に腫れ上がり、痛みが強くなることがあります。歯医者で行う歯石除去は水を流しながら行うために、歯石が歯茎の中に入らないように洗い流しながら行っています。
3.歯医者で行う歯石除去の方法
3−1.歯周病の状態を検査する
歯茎や歯を支えている骨の状態を確認します。歯石によって歯周病が進行している場合、不用意に歯石を取ってしまうと歯茎に腫れや痛み、急激な歯茎下りの原因となります。そのため歯茎の状態を把握した上で歯石除去の準備をします。詳しくは「30代以上の方必見!歯周病に負けない5つの知識と3つの治療法」を参考にしてください。
3−2.歯の磨き方を確認する
歯垢が付いていたり、歯茎が腫れている状態で歯石を取ると多くの出血が起こります。出血が起こる歯茎の状態で歯石を取ると腫れや痛みだけが強く、歯石をしっかりとることができなくなります。また、出血によってすぐに歯石ができてしまいます。そのため、歯磨きの仕方を改善し、出血がない歯茎にしてから歯石を取ります。
3−3.歯石を数回に分けて取っていく
歯磨きが丁寧で定期的に歯石除去を行っている方はすべての歯石を1回で取ることができます。しかし、定期検診を行っていない方は歯茎の状態によって3回から6回程度かかります。ブロックごとに歯石除去を行い歯茎の改善を確認していきます。
3−4.歯茎が改善した状態を検査して確認する
歯周病の状態を再度検査し、歯茎の出血や腫れ、歯周ポケットの深さを確認します。歯周ポケットが深い場合は通常の歯石除去では歯石が取りきれないために、外科的に歯石除去を行うこともあります。
4.歯医者で行う歯石除去の費用
保険診療3割負担の方は初診時3千円程度、再診時1千円から2千円程度です。歯茎の状態や歯周病の進行によって異なります。
自費診療の場合初診時1万円から3万円程度、再診時5千円から2万円程度です。自費診療の場合は歯医者によって大きく異なりますので、かかりつけの歯医者に相談してください。
まとめ
歯石除去を自分で行うことは歯医者としてはおすすめできるものではありません。定期的に歯医者で歯石を取り、一生自分の歯で食べられる口の中の環境づくりをおすすめします。
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