歯磨きを頑張っているが歯肉炎が治らずどうしたらいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。歯肉炎と歯茎が腫れて、出血や口臭などの症状が出ている状態のことです。しかし、実は歯肉炎は歯磨きだけで治らないこともあるのです。歯医者では歯磨きが足りません、もう少し頑張ってくださいといつも言われる方も実は他に原因がある場合もあるのです。今回は歯肉炎を自宅で治す7つの方法と最新治療法をお伝えします。ぜひ参考にしてください。(歯科診療ユニット)
1.歯肉炎とは
歯肉炎とは歯茎が腫れている状態のことを言います。歯肉炎は乳歯や子供の時でも起こり、歯茎が赤くなったり、出血したりします。多くの場合はプラークが原因になります。しかし、砂糖が多い食生活をしていると血中の血糖値が上がり、歯磨きを頑張っても歯肉炎が改善しないことも分かってきました。また、風邪をひいたり、疲れている時など体の抵抗力が下がった時により悪化しやすく
2.歯肉炎を自宅で治療する7つの方法
歯肉炎の多くは自宅で治療することが9割です。食生活の改善や歯磨きのやり方を変えるだけで多くの場合は治すことができます。
2−1.甘いものを控え、食生活を改善する
歯磨きをいくら頑張っても歯肉炎が改善しない、いつも歯茎に赤みを帯びている、このような方は糖分の多い食生活になっていることが多いです。血液中の糖分が多いと歯肉炎になりやすいというデータがあります。甘いものを控えるだけで歯肉炎が改善します。3ヶ月甘いものを控えてみてください。見た目にも歯茎の色が変わるはずです。
2−2.体力を改善させ、免疫力を高める 風邪をひいたり、花粉症などのアレルギーがある方は免疫に異常が起き、歯肉炎が悪化することがあります。歯茎は常に口の中の細菌と体の抵抗力が戦っている場所です。歯茎の健康は体の健康を映し出します。運動などをして免疫力を高めておくことは歯肉炎の改善に役立ちます。
2−3.口呼吸から鼻呼吸に変えていく
歯茎の粘膜は唾液の力によって守られています。唾液の中には殺菌作用のある成分が含まれています。口呼吸によって歯茎が乾燥すると唾液のバリアーが無くなり、歯茎が無防備になるため歯肉炎が起こります。特に口呼吸の方は常に口が乾燥するため歯肉炎が起こります。また、口呼吸は風邪やアレルギーの原因にもなります。口呼吸から鼻呼吸に改善することによって歯肉炎だけでなく、体の健康を取り戻します。詳しくは「口呼吸によって起こる9つの危険と6つの改善方法」を参考にしてください。
2−4.飴やハイチューではなくキシリトールのダブレットに変える
口の中に長時間甘いものがあると、細菌が増殖し、歯肉炎が悪化します。口の中は適度な湿度と温度に保たれていて細菌が増殖するには格好の場所です。そこに細菌の餌となる甘いものがあれば、細菌は爆発的に増殖し、歯肉炎が起こります。飴やハイチューなどで長時間、細菌の餌を与え続けるのではなく、キシリトールのタブレットに変えるだけで歯肉炎を改善することができます。詳しくは「噛み方で変る!キシリトールガムで効果的に虫歯予防する方法」を参考にしてください。
2−5.歯磨きは磨いているではなく磨けているが重要
歯磨きをしていない方はほとんどいないのではないでしょうか。しかし、磨いていると磨けているは違うのです。歯磨きをした後、歯垢染め出し液を使ってみてください。どこに歯垢が残っているか一目瞭然です。この歯垢を自分で完璧に取れれば歯肉炎は早期に改善します。詳しくは「虫歯や歯周病を徹底的に防ぐ「歯磨き力」をつける6の秘訣」を参考にしてください。
2−6.歯磨き前のデンタルフロスで歯の将来が決まる
歯肉炎の80%は歯と歯の間で起こっています。歯肉炎を治すにはまず、デンタルフロスを使う、それも歯ブラシで磨く前に使うことが必要なのです。それだけデンタルフロスが重要なのです。デンタルフロスで歯肉炎の症状の出血や口臭もチェックできます。詳しくは「歯医者は絶対やっている!デンタルフロスで虫歯や歯周病を防ぐ方法」を参考にしてください。
2−7.効果的な歯磨き粉の使い方で歯肉炎を改善する 最近の歯磨き粉は歯肉炎に効果の高い製品が多く出されています。効果的な使い方は歯磨き粉はたっぷり使い、歯磨き後のすすぎは少なめにして、味が残るようにします。歯肉炎用歯磨き粉の中には炎症を抑える成分が含まれています。成分を歯茎に浸透させるには時間が必要です。歯磨きをしている時間だけでなく、歯磨き後もその成分が浸透するようにすすぎを少なくすることによって歯磨き粉の効果が持続します。
3.歯医者で行う最新治療 3−1.3DSで直接、歯茎に薬を浸透させる
3DS(Dental Drug Delivery System)とはマウスピースの中に歯肉炎に効く薬を入れ、直接歯茎に浸透させる方法です。口の中には唾液があり、薬をつけても流されてしまいます。歯磨き後、マウスピースに薬を入れ歯茎に浸透させることによって歯肉炎を改善する方法です。歯肉炎の状態によって薬を選びます。まだ、多くの歯医者で行っているわけではないので、かかりつけの歯医者で相談してください。
3−2.抗生物質で歯肉炎の原因菌を叩く
歯肉炎の症状が強い場合には一時的に抗生物質を使うこともあります。歯肉炎の腫れが強く歯磨きができないなどの強い症状の場合は、抗生物質で改善させます。ただし、抗生物質はあくまでも一時的な改善のために使うものでその後の治療を行わなければすぐに戻ってしまいます。
4.治療が難しい歯肉炎 4−1.薬物性歯肉炎(薬物性歯肉増殖) 高血圧の薬やてんかんの薬で歯茎が大きく膨らむようになることを薬物性歯肉炎といいます。担当医にお薬を変更できるかどうかを確認します。お薬を変更しても治らない場合は膨らんだ歯茎を切除することがあります。
4−2.妊娠性歯肉炎 妊娠中期に女性ホルモンの影響で歯茎が腫れやすくなることを妊娠性歯肉炎といいます。妊娠性の歯肉炎の後、そのまま放置してしまうと重度の歯周病に移行してしまうことが多いので、妊娠中には定期的に歯医者でクリーニングをおすすめします。(ストレートハンドピース)
4−3.急性ヘルペス性歯肉炎 乳幼児に多くみられ、ヘルペスウイルスによって感染する歯肉炎で歯肉は鮮やかな赤色になり、お口の中に白色や黄色の小さなつぶつぶがたくさんでき、痛みがあります。歯肉炎の部分は歯ブラシで磨いてもあまり効果がないため、ガーゼで周りの汚れを拭うくらいにし、洗口剤や軟膏などで対処します。小児科に受診し、1週間程度で改善することが多いです。
4−4.急性壊死性潰瘍性歯肉炎(きゅうせいえしせいかいようせいしにくえん) 急に歯と歯の間の歯茎に潰瘍ができて、痛みや口臭を伴う歯肉炎です。原因はよくわかっていませんが、プラーク、ストレス、喫煙、栄養障害などが考えられています。2,3日で急速に進行します。症状が出ている間はお口のなかを清潔に保つようにしますが、歯肉炎部は痛みが強いためガーゼなどで、拭う程度にします。感染防止のために抗生物質や痛み止めが処方されます。
4−5.慢性剥離性歯肉炎(まんせいはくりせいしにくえん) 歯茎の表面の皮がはがれ落ちて、痛みを伴う歯肉炎です。歯茎がヒリヒリしたり、水泡が出来ることもあります。主に、生理不順あるいは閉経後の女性に多くみられ、2、3本の部分的な歯茎から全体の歯茎に広がっている場合もあります。歯ブラシが当たっただけでも痛みがあるため、柔らかい歯ブラシで優しく磨きます。完治するのは難しく再発を繰り返します。
まとめ 歯肉炎は体の異常のSOSです。歯磨きだけでは改善できない場合もあるのです。自分の歯や歯茎を健康に保ちたいのであれば、体の健康を維持する必要があります。
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