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壊疽性口内炎、ニジェールで栄養失調の子どもに広がる

 最貧国の一つ、西アフリカのニジェールで、壊疽(えそ)性口内炎が発生しています。

世界でこの病気にかかる人は、14万~18万人いますが、その大半がニジェール人です。
壊疽性口内炎は、体のもつ自然免疫力が極端に落ちた状態で発症するもので、栄養不足やビタミン欠乏症などが体に起きています。また水の汚染などの衛生問題も関係しています。
 
壊疽性口内炎とは
 
栄養状態の大変悪いときに化膿菌と腐敗菌との混合感染によって起こる重症の口内炎です。
急性の口内炎で、潰瘍や壊死を伴い、歯肉や口角から壊疽になり、鼻など顔面に至ります。
病気の進行が非常に早く、壊死は72時間以内に起こり、顔に症状が現れてからではもう手遅れという現状です。
 
原因はなにか?
 
口腔内の多種の常在菌により感染します。それらが病原となるのは、口の中の粘膜の抵抗力を落とすような不衛生な状態や傷など局所的に問題があるケースか或いは、体全体に何らかの問題があるケースです。体全体の問題としては、亜鉛欠乏など栄養状態不良、中毒、極度の疲労、ステロイドの常用などが考えられます。(口腔洗浄器)
 
症状は?
 
急性壊死性潰瘍性歯肉炎として、口腔内の歯肉から発生することが多く、初めは、歯間乳頭(歯と歯の間の歯ぐきの部分)あるいは辺縁歯肉(歯茎部分)に限局した壊死性の潰瘍ができます。
 
病変が口蓋、口底など隣接粘膜に広がると急性壊死性潰瘍性口内炎と呼ばれます。多種類の細菌が混在していますが、誘因としては、重症の栄養障害、免疫力の低下、感染症などがあります。
潰瘍を形成すると口腔内は不潔になり、接触痛、出血、強い口臭などの症状があらわれます。また進行すると高熱、食欲減退など全身症状を伴い、全身衰弱、栄養失調などがあれば、病巣は、深部にまで拡大してしまい、筋肉、骨、皮膚などの壊死をきたします。この状態に至った場合を、壊疽性口内炎と呼びます。
 
治療は、全身的背景の改善が重要で、同時に抗菌薬の投与を行います。接触痛があるので、栄養管理や口腔内の清掃が必要です。
 
昔、日本でも
 
かつては、日本でも死病と恐れられ猛威を振るった時期があったようですが、昭和30年以降は、激減して古典的疾患となり、今は医学書から消えている病気です。
 
当時は、水癌(すいがん)ともいい、口腔内に何らかの刺激があり、そこに抵抗力の弱くなった部分に細菌が感染して発症し、治療法は、局所的に病巣を切除・焼灼し、清潔安静と滋養強壮を保つほかなく、死亡率は、70~95%に及んでいました。(口腔内カメラ)
 
予防方法について
 
アフリカでの壊疽性口内炎の予防は、この病気に関する知識を広め、母親たちに知識を持ってもらい、子どもが感染した場合には、一刻も早く手当てを受けるように呼びかけているそうです。早い段階でこの病気を発見できれば、結果は非常に向上するとのことです。

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