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反対咬合の治療をするタイミングと年齢別の治療方法/注意点

反対咬合の治療をするタイミングと年齢別の治子供や自分が反対咬合で治療をしたほうがいいのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。反対咬合とは下顎が前にあり前歯が反対になっている噛み合わせのことです。実は、年齢によって反対咬合を治す矯正治療は変わってくるのです。そして成長によっては治した噛み合わせも戻ってしまうこともあるのです。今回は年齢別の反対咬合の治療法と注意点をお伝えします。ぜひ、参考にしてください。(歯科矯正器具)

1.反対咬合とは
 
反対咬合とは下の前歯が上の前歯より前に出ている状態で、受け口とも言われます。奥歯の場合も下の歯が上の歯より外側にある場合を反対咬合と言います。
原因は下顎が上顎より過度に成長する場合や、上顎の成長が少ない場合に起こります。遺伝的な原因も多く、ご両親や祖父母が反対咬合の場合は本人も反対咬合になる場合もあります。
 
2.反対咬合の治療法
 
2−1.乳歯の時のマウスピース矯正
 
4歳から7歳くらいまでで、乳歯の時や前歯の永久歯が生え始めの頃に開始する場合、ムーシールドやT4Kと呼ばれる反対咬合用のマウスピースタイプの矯正装置で治していきます。このころの反対咬合の原因は舌の位置や使い方が原因で反対咬合になっていることが多いため、マウスピースタイプの矯正装置で舌の位置を改善することによって、反対咬合を治します。
 
治療事例
 
乳歯の段階ですが反対咬合の症状が強いためにムーシールドというマウスピースタイプの矯正装置で治しています。反対咬合が強いと、より悪化する傾向が強くなることがあります。そのためこの時期でも反対咬合を直す必要があります。期間は6ヶ月から1.5年程度、費用は12万円から35万円程度です。
 
ムーシールドとは
 
舌や口の周りの筋肉によって歯並びに影響しないようにする矯正装置です。日中1時間、夜寝るときの使用によって上の写真のように反対咬合が治ります。また、ムーシールドを外しても元に戻らないように舌や口の周りのトレーニングをしておく必要があります。
 
2−2.前歯の永久歯が出てきたら小児矯正
 
7歳から9歳くらいまでに、永久歯の前歯が出てきたけれど反対交互になってしまった場合、上顎を広げる矯正装置で治していきます。このころの反対咬合の原因は上顎の成長が足りないことによって起こることが多く、上顎を広げ下顎の成長に追いつかせるようにして反対咬合を治していきます。期間は1.5年程度、費用は15万円から40万円程度です。
 
治療事例
 
前歯が永久歯に生え変わってきたところで反対咬合になっています。顎を広げる装置と前歯のねじれを取る装置で反対咬合を治しています。治療後は成長によって戻らないか観察していきます。
 
 上顎拡大装置とは
 
上顎の真ん中には左右に分かれた骨のつなぎ目の正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)があります。このつなぎ目は10代の前半にはまだ左右分かれているので、このつなぎ目を上顎拡大装置で広げることによって、上顎を大きくします。詳しくは「子供の歯並びを治す!矯正治療の事例と適切なタイミング」を参考にしてください。
 
2−3.すべての永久歯が生え揃ったらブラケット矯正
 
14歳くらいになり、すべての永久歯が生えそろった時点で反対咬合になってしまった場合はブラケット矯正で治療していきます。必要であれば凸凹が強い部分は抜歯し、歯の一つ一つにブラケットという矯正装置をつけて治療を行なっていきます。期間は2〜3年程度、費用は80万円前後です。
 
治療事例
 
永久歯に生え変わった時点で反対咬合になっています。ブラケット矯正の装置をつけて治していきます。ブラケット矯正を行う場合は成長が止まったことを確認してから行います。
 
2−4.顔の方まで治したいときは外科矯正
 
成長期が終了した時点で反対咬合がかなり強い場合は外科矯正にて治療を行います。外科矯正とは顎自体を外科的に前後ろに移動させ、矯正治療を行うことです。噛み合わせから顔の形まで全体的に治していきます。期間は3〜4年程度で、保険診療3割負担の方で60万円から80万円程度です。
 
治療事例
 
成人の方の反対咬合の矯正治療です。顔の変形も見られましたので、外科的に顎を下げる手術と矯正治療を併用して治療を行います。手術には入院が必要ですが、歯を無理に移動させないため、噛み合わせはとても安定します。
 
2−5.時間をかけたくない人はセラミック治療
 
矯正治療をするほど時間かかけられない方にはセラミックで治療する方法もあります。セラミック治療は歯の形を変えることによって反対咬合を治します。歯の形を極端に変えなければいけないために、歯の根には大きな負担がかかってしまいます。また、一部分だけ矯正治療をして、セラミックを併用させる方法もあります。
 
3.反対咬合の治療の注意点
 
3−1.反対咬合は身長が伸びると悪くなる
 
身長が伸びると下顎も成長するため反対咬合が悪い方向に向かいます。上顎は頭の骨に繋がった骨のために、体や下顎よりも早く成長します。しかし、下顎は体の成長と同じ時期に成長するため、上顎より遅れて成長します。そのため反対咬合の方は身長が伸びると悪化する傾向になります。
 
3−2.成長によっては戻ってしまうことがある
 
小学生や中学生の時、反対咬合を治しても、その後の成長によって戻ってしまうことがあります。低年齢の時に反対咬合を治すことによって、安定した噛み合わせが得られる場合があります。しかし、高校生ぐらいになって急激に身長が伸び、それに伴って下顎が伸びると反対咬合が戻ってしまうことがあります。
 
3−3.治療の期間が長くなる
 
反対咬合の治療は成長によって左右されるために期間が長くなることがあります。反対咬合は前歯が永久歯に変わった時点で一時的にも治しておいたほうがいいです。しかし、その後の成長を観察していく必要があるため、治療が長期間に及ぶことがあります。その間、ずっと矯正装置を付けているわけではなく、成長のタイミングを見ながら、矯正装置を使ったり、外したりして成長を誘導していきます。
 
4.反対咬合になりやすい方
 
4−1.家族が反対咬合だとなりやすい
 
顔の形はご家族の方に似てきます。下顎が出ている反対咬合がご家族の方にいる場合は本人も反対咬合になる可能性があります。これは遺伝的な原因によるものです。しかし、全ての方が反対咬合になるわけではありません。
 
4−2.舌小帯が短いとなりやすい
 
舌小帯とは舌の裏側にある筋のことです。舌小帯が短いと舌が上顎まで持ち上げられず、いつも下の前歯を押してしまい、下の前歯が前に出て反対咬合になります。
舌小帯を伸ばすトレーニングをしても伸びない場合は、舌小帯を切ることもあります。詳しくは「舌小帯が短いと受け口になる/切らずに伸ばす方法」を参考にしてください。
 
4−3.上顎が狭いとなりやすい
 
上顎は舌が押し付けられることによって広く成長していきます。舌の位置が正しい位置にないと上顎が狭くなり、反対咬合になります。上顎を広げる矯正治療と正しい舌の位置での飲み込み方をトレーニングする必要があります。詳しくは「うちの子大丈夫!子供の歯並びが悪くなる7つの癖と8つの異常」を参考にしてください。
 
4−4.唇裂、口蓋裂など先天的な異常がある方はなりやすい
 
生まれた時から唇や上顎に亀裂が入っている方がいます。授乳が上手にできないために亀裂部分を低年齢の時に塞ぐ処置をします。このような異常がある場合は上顎が狭くなりやすく、反対咬合になることがあります。形成外科、小児科、矯正科などと連携を取りながら大人になった時にきれいな噛み合わせになるように治療を進めていきます。
 
 まとめ
 
反対咬合は簡単に治ってしまう場合もあれば、成長と追いかけっこをしていつまでも治らない場合もあります。しかし、反対咬合を一時的にでも治しておくことによって、悪化する範囲が小さくなり最終的なブラケット治療をする際にもブラケットを付けている期間が短くて済む場合もあります。反対咬合になっていたら歯医者で一度相談し、自分や子供にどのような治療が効果的なのかご相談してください。

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